表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶  作者: 安音
8/9

ステラの記憶


ある晴れた日、私は本を読みながらウトウトとしていた。

そしてソファに横になる。


最近疲れることが多いな…。


それもそのはずだ。母が病気で寝込んでしまい、家事はすべて(ステラ)がしているのだから。まだ7歳の子供には大変な事だった。近所に住んでる人はたまに見に来てくれるのだが、その人達にもその人達の生活というものがある。それで頼りすぎることはしないようにしていた。ただ、人付き合いが苦手だっただけかもしれないが…。


少し眠ろうと目を閉じたとき…


「ステラー遊ぼー!」


外から声が聞こえてきた。隣の家の子か…。人付き合いは苦手だけど嫌われたくはないので、重たい体を無理やり起こして外に出た。隣の家の子は私が家事をすべてやっているのを知っている。それでたまにこうして私を外に連れ出してくれるのだ。彼女なりの気遣いだったのかと思う。


私達はすぐ近くにある森に行った。そして、花を摘んだり小動物達と遊んだりしていた。そうして私は気分転換する。


夕方になり、家に戻ってくると私は母の様子を見に行った。すると母はベッドから降りようとしていたところだった。私は慌てて近寄って言った。


「お母さん!寝てなきゃダメだよ」

「今日は気分がいいのよ。だから少しなら大丈夫よ」


母はニコニコしながら言った。それでも私は心配だったから、今日は寝てるように説得した。…こんなに強い7歳の子供はそうそういないと自分でも思う。でも母と二人暮らしだから、おかしくはない。母は渋々ベッドに戻った。私は夕飯を作るために部屋を出た。


30分後、二人分の夕飯を持って母の部屋に行った。母は私が戻ってくると私に微笑んだ。そして言った。


「ねぇステラ。もし明日もお母さんの気分がよかったら、森に散歩に行こうか」


私は驚いた。ちょっと嬉しかったけど、でも母の体を心配して言った。


「ダメだよ、お母さん。そんなことしたら病気がもっと酷くなっちゃうよ」


母は私の言葉を聞くと、悲しそうな顔をして私を抱き寄せた。


「ごめんね、ステラ。いつもお母さんの心配ばかりさせて。でも大丈夫よ。少し散歩に行くだけだから、ね?」


そう言って私に微笑んだ。私は…頷いてしまった。それから私は慌てて言った。


「でも、辛くなったらすぐ言ってね?無理はしないで。約束だよ?」


母は笑って頷いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ