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記憶  作者: 安音
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時の泉【2】

今、私達は森の中を無言で歩いている。


数分前、私は不思議な事を経験した。露の話が終わると同時に、電気が走ったような痛みを感じた。それからほんの少しだけ昔の記憶を思い出したのだ。……でもホントに少しだけだから謎だし、考えてもそれ以外は思い出せないからどうしようもない。私は双子と幼馴染みに案内されながら森の中あるという、時の泉を目指して家を出た。


そして現在に至る。森に入ってから随分経ったと思うのだけど、一向に泉が見えてこない。少し不安になってきた。そんな私の気持ちを察したのか、半歩前を歩いている露がこっちを振り返って言った。


「もう少し歩くと、記憶のないステラなら驚くよ」


それからアルとアイが道から外れて、森の中へと入っていく。迷わないかと心配したが、そんな気持ちは一瞬で吹き飛んだ。そこはさっきと比べものにならないくらい美しい森が広がっていた。まるで絵の中のようだ。そして先ほど思い出したあの記憶の中に入ったみたいだった。目を輝かせながら歩く私を、露と双子は喜んでもらえたと思っているのか嬉しそうに眺めていた。アイが口を開く。


「この森は時の泉がある森。さっきまでいた森は、こっちの森に来るための入り口なの」


ふむふむ、なるほど……。露が続けた。


「こっちの森の動物達は、人間や妖精を怖がらないから安心して近づけるよ。触ってみるか?」


そして近くにいた野うさぎを抱き上げた。私は恐る恐る触ってみる…。


「うわぁフワフワだぁ…」


思わず言うと露は笑った。野うさぎは私達を全く警戒していないようだった。大きな目で見つめられて、少し不安が消えた気がした。


露は野うさぎを放してから私にあと少しだから頑張れ、と言ってくれたのでホッとして、頷いた。


それから少し歩いていくといきなり視界が開けて、目を細めるとそこは、宝石よりも美しいと言っていいほど素敵な泉があった。どうやらここが、時の泉らしい。



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