私の知らない、双子の弟と妹
いつの間にか迷っていた。
「ここ、どこ…?」
私はつぶやく。静かな夜が私を包み込んでゆく。どうやら森の中のようだ…。
「…?」
(彼と別れて、走ってたはずなのに、なんで?)
そう、ついさっき彼氏と喧嘩して別れたばかりだった。家に向かって走ってたはずなのに、気づいたときにはもう遅かった。
「早く帰らないと…」
今日は幼馴染みの露が遊びに来る予定だったから。そんなことだけであせりがでてくる。
「ハァ、ハァ…。もう、どうなってんの?」
さっきから森の中を歩いているが、異変に気づいた。何度も同じ所を通っているのだ。
「あーもう!早く家に帰らせて!!」
私の中で怒りが爆発して、つい叫んでしまった。すると、どこからか声がした。鈴のようにか弱いが生意気な声が。
「アハハ♪ごめん、ごめん」
そして一瞬目の前が光ったと思うと、大きなトビラが現れた。そしてまた、声が聞こえてきた。
「そのトビラをくぐってこっちにおいでよ。その世界から出られるよ」
その声の主が話し終えるとトビラが開いた。私は恐る恐るトビラをくぐると、森の入り口に立っていた。トビラは光となって消え、目の前に小さな男の子が現れた。後ろには女の子もいる。男の子は私を見上げて笑うと言った。
「こんにちは、僕らのお姉ちゃん」