第6話 -塩作りも軌道に乗りそうです-
ちなみに作者は胸より尻派です。
誰も聞いてないと思いますが。
むしろ聞かないで~w
<第6話 -塩作りも軌道に乗りそうです->
「いやあ、爺と致しましても味方が増えるのは心強うございますな!」
「全くですよ。無駄な争いは極力避けるべきですよね」
爺とグラスが意気投合していた。
「にゃ……。お魚……」
「待つでござるよ!? 拙者は正確には魚ではないでござる!?」
クジラ魔族が獲物を狙う目をしたバステトに必死で言い訳している。
「何というかカオスじゃのう」
親睦会と称して始められた宴会で、だいぶ両陣営共に打ち解けてきたようである。
「良いではないか! 仲良きことは美しきかな、なのじゃ!」
「その通りですよ、村正様」
いつの間にやら仲良くなったカヨウとスキュラが村正の横で美味しそうに料理を口に運んでいる。
カヨウはすっかりスキュラが好きになってしまったようでべったりだ。
「そうしておると仲の良い姉妹か母娘のようじゃな」
「とすると、村正様が父御でございますね?」
「かかっ。ワシはそんな器ではないわい」
さりげなく爆弾を投下したスキュラを何とか凌ぐ村正。
横では深夜が「それ以上ふざけたことを抜かしたらお仕置きする」と言う目でスキュラを睨んでいるので、軽く肩をすくめてスキュラが退いた。
「我には母がおらぬ故、スキュラのような母がおったら嬉しいのじゃ!」
「母はちょっと……。せめて姉ポジションでお願いしたいものです……」
微妙な表情のスキュラ。
やはり若く見られる方が嬉しいのだろう。
「なに、カヨちゃんもスキュラも見目良いことは間違いないわい。姉妹で十分通じるじゃろうさ。種族的な問題はあるがな」
「人の姿に化ければよいことです。見破られなければ問題ありませんわ」
「なんと! スキュラは変身できるのじゃ!?」
目を丸くするカヨウ。耳もぴんっと立っている。
「カヨウは出来ませんの? それほどの魔力がありながら?」
「出来んのじゃ! 魔法は上手くないのじゃ!」
えっへんと真っ平らな胸を張るカヨウに苦笑するスキュラ。
「自慢出来ることではありませんよ、カヨウ」
「うう……。苦手なモノは苦手なのじゃ……」
シュンとなってしまい、狐耳がぺたんとなってしまうカヨウであった。
その様子を見てさすがにいたたまれなくなってしまったのか、スキュラがカヨウにこう提案する。
「私は魔法はそれなりに得意だから教えてあげましょうか?」
「本当なのじゃ!?」
「ええ。特殊な魔法はダメだけど。三柱戦が始まって正式に陣営に組み込まれたらそれも教えてあげられるわ」
「渡りに船じゃな」
「ムラマサ?」
村正の呟きにカヨウが反応する。
村正にとっては、まさに渡りに船の話である。
カヨウの有り余る魔力を魔法として出力出来るようになれば戦力の底上げになるし、そのついでに村正もスキュラに師事すれば一石二鳥だからだ。
「スキュラよ。儂にも魔法について教えてくれい」
「ムラマサも修行するのじゃ! 嬉しいのじゃ!」
カヨウが顔をほころばせる。スキュラも嬉しそうだ。
「村正様でしたらもう、それは手取り足取り腰取り……」
「腰は遠慮したいのう。深夜に怒られてしまうわい」
「残念ですわ。意外ですね、村正様ほどの御方が魔法は不得手でいらっしゃる?」
「儂とて万能ではないわ。深夜と違ってな」
ちらりと深夜を見ると少しだけ「ふふん」とでも言いそうな顔をしていた。
それもスキュラを見ながら。
唇を噛むスキュラ。
「私に万事お任せ下さいませ。一流の魔法使いにして差し上げますわ!」
「お、おう。よろしく頼むぞ」
「よろしく頼むのじゃ!」
妙に気合いの入っているスキュラに若干引き気味の村正と単純に喜んでいるカヨウ。
このあと、一ヶ月に渡るスキュラ師匠の鬼の特訓によって村正とカヨウは二人とも一端の魔法使いに育っていくのだが、そのあたりの話は割愛するとしよう……。
さて一ヶ月後。
「二年のうちの一ヶ月じゃ。大事な時間じゃが、有意義じゃったのう」
「なのじゃ! 我も魔法が使えるようになったのじゃ!」
ほくほく顔の二人。
深夜と迎えに来たグラスも満足そうな顔である。
「そう言っていただけますと私としても嬉しい限りですわ」
「世話を掛けたな、スキュラ」
「そう思っていただけるなら責任を取って下さいまし」
そう言いながらしなを作るスキュラ。
「なんじゃ、スキュラはムラマサを狙っておるのか!」
「おほほ」
「ダメなのじゃ! ムラマサは我のなのじゃ!」
「早い者勝ちではありませんわよ?」
「儂は儂のものじゃて……」
火花を散らす二人を見ながらため息をつく村正。
「ところで、スキュラよ」
「……忘れていませんでしたか」
「当たり前じゃ。それも元々の目的じゃったからのう」
村正が言っているのは、この【海魔の迷宮】に隠されていた秘宝のことである。
スキュラとしても大事な秘宝であるため、渡さずに済むものなら渡したくはないのであろう。顔が曇っている。
「分かりました。この水を操る魔道具【操海珠】は村正様にお渡しいたします」
そう言いながらがばっと胸をはだけるスキュラ。
それはもう「ぷるんっ」どころではなく、「ぶるるるるんっ」と効果音が付きそうなほどであった。
一瞬、村正の目が釘付けになる。
その胸の谷間からずずずっと現れる蒼い宝玉。
それこそが水を、ひいては海をも操ると言われる魔道具【操海珠】である。
それを自らの手に受けると、村正に向かって恭しく差し出すスキュラ。
「これが秘宝か……」
それを受け取ると、目に焼き付けるようにじっくりと眺める村正。
平然とした顔のスキュラとは対照的に、【海魔の迷宮】の魔族たちは一様に口惜しそうな顔である。
深夜とカヨウがそんな様子の魔族たちを目で牽制する。
「ふむ。堪能した。美しいな」
うんうんと頷きながら宝珠を握る村正。
「どれ」
そのまま宝珠ごと自らの手をスキュラの胸の谷間に伸ばす。
「むっ、村正様!?」
「ムラマサ! 破廉恥なのじゃ!?」
驚きの声を上げる二人の魔王。
村正の手は、宝珠ごとスキュラの柔らかな双丘の間に埋まってしまっている。
柔らかく、かつ弾力のある素晴らしい手応えであった。
「む、戻らんな?」
スキュラの胸の感触を楽しみながら首を傾げる村正。
宝珠を再びスキュラの中に戻そうというのか、ぐいぐいと宝珠を押しつける。
「村正様、押しつけたからといって戻る訳では!?」
「そうなのか?」
すいっと手を戻す村正。
微妙に名残惜しそうな顔に見えるのは気のせいだろうか。
「私が体内に格納しようと思わなければ戻りませんよ?」
「そうなのか?」
「はい。魔王とは、迷宮の王であると同時に秘宝の収納場所でもあるのですよ。手に入れるためには、魔王を屈服させ自らの手で差し出させるか殺して抉り出すか。二つに一つです」
「なんと」
驚く村正。
そんなに大層なものだとは思っていなかったのだろう。
ちらりとカヨウを見ると、狐耳をぺたんとさせて頷いている。
「スキュラ様。それはおおっぴらにして良いことでは……」
「良いではありませんか、グラス。私たちは村正様と一蓮托生でございます。秘密は少ない方がよろしいかと」
「よう言うた、スキュラ。カヨちゃん、獣魔の秘宝もカヨちゃんの中にあるのか?」
「……そうなのじゃ。我の中にも魔道具【操獣珠】があるのじゃ」
珍しく真剣な顔をして言うカヨウ。
獣を意のままに操るという操作系の魔道具がカヨウの中に格納されているのだ。
「そうか。良く教えてくれたな。安心せえ。儂はカヨちゃんやスキュラの腹をかっさばいてまでそれを手に入れようとは思わんよ」
優しく笑う村正。
秘宝を何よりも愛する村正の言葉とは思えないと深夜が少し驚いた顔をする。
「秘宝だけ手に入れるなど勿体ない。迷宮もお主らも全て儂のものにしてしまえば万事解決であろう!」
「そんな……。私、村正様に望まれるのであればいつでもこの身体ごと!」
村正の「儂のものにして」発言に、むふーと鼻息も荒いスキュラ。
「さすがムラマサなのじゃ。考えることがでかいのじゃ!」
カヨウはその辺りの事は分からないのだが、とりあえず村正がスケールの大きいことを言っているので単純にすごいと思っているらしい。
「じゃからこの宝珠は閉まっておけい、スキュラ」
「はい。村正様の仰せの通りに」
宝珠を受け取り、また胸の中へとしまい込むスキュラ。
「ついでに胸もしまえ」
「しまってもよろしいのですか?」
「…………よい」
胸を下から持ち上げて強調しながら蠱惑的に笑うスキュラに、僅かの逡巡の後告げる村正。心の中の葛藤が透けて見えるようである。
「いつでも言いつけて下さいませね。私も宝珠も、村正様のものですわ」
「むー。村正は胸が大きいのが好みなのか?」
「いや、別に小さいのが嫌いだということではないぞ。それぞれに趣深い」
口を尖らせるカヨウの頭を撫でながら、うんうんと頷く村正であった。
まあ、節操が無いとも言うが。
「よし。儂は一度アールファへ戻る。塩作りは頼んだぞ」
「もちろんでございます。この一月でだいぶ私共も習熟致しましたから。今月生産した分はどうぞお持ち下さいませ」
「そうさせてもらう。また来るでな」
「ええ。ぜひお顔をお見せ下さいませね」
にこりと微笑むスキュラであった。
転移門を使うための目印はすでに【海魔の迷宮】にも設置済みだ。
その気になればいつでも来られるのである。
「うむ。塩も回収しに来なくてはならんしな」
「はい。ついでで結構ですから」
「そう言われると申し訳なくなるのう」
「ええ。それが狙いですから」
「かかっ。食えんのう、スキュラ」
微笑むだけのスキュラ。
出来る女であった。
「よし、行くのじゃ、ムラマサ」
「おうさ。カヨちゃんはグラスと一緒に迷宮へ帰るんじゃぞ」
「のじゃ!? 我も街へ行くのではないのじゃ!?」
「当たり前じゃろう……。街の用事が済んだらそっちにも顔を出すから我慢せい」
「はわわー。仕方ないのじゃ。美味いもので手を打つのじゃ!」
「分かった分かった。楽しみにしとれ」
苦笑する村正。
可愛い子狐ちゃんである。
海魔の迷宮の面々に見送られながらアールファの街への帰途につく村正たちであった。
転移で一瞬だが。
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