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探索者は異世界でも宝を求む  作者: 葉月風都
第4章 三柱戦
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第2話 -魔王様とお友達になりましょう-

<第2話 -魔王様とお友達になりましょう->


 さて、どうしたものかと思案する村正。


 正直どうでも良い話だ。

 魔族に与しようが与しまいが、それで村正のやることが変わるわけではない。

 この世界の人族や魔人族に恩や義理があるわけでも無い。

 だからといって恨みがあるわけでも無いので、積極的に破壊活動をしようという気にもならない。


 ただ、迷宮戦争とやらが起きてしまうと、迷宮には入りづらくなるのではないか。

 それなら表向きは協力者とやらになっておいて迷宮に攻め込むのは悪くない、そう村正は考えていた。


「正直どうでもいいんじゃが……。ところで、迷宮の奥には宝があるか?」

「あるのじゃ! その迷宮の魔王が持っている秘宝があるのじゃ」

「ということはこの迷宮にもあるのじゃな?」

「あうあ!?」


 しまったという顔で慌てて口を押さえるカヨウ。

 グラスが呆れた顔でカヨウを見ている。


「あるんじゃな?」

「……あるのじゃー。でも、勘弁して欲しいのじゃー」


 ぷるぷると震えながら上目遣いで村正を見るカヨウ。

 だから可愛いな、もう。


「何、別に『ころしてでもうばいとる』とか思っとらんから安心せえ。じゃが、他の魔王の宝を奪いに出かけるのは面白そうじゃな」

「なのじゃ。だから協力者になってたも?」

「ふむ。だが、儂自身はこの世界の人にも魔人にも恨みは無い。積極的に破壊活動に手を染める気は無いぞい?」

「それは仕方ないのじゃ。迷宮戦争に力を貸してくれて、勇者と戦ってくれればそれ以上は望まないのじゃー」


 ぱたぱたと九本の尻尾が揺れている。


「それならば良かろう。ただし、条件があるぞ?」

「何なのじゃ?」

「魔王の持つという秘宝。それの所有権は儂によこせ。いいな?」

「分かったのじゃー」


 ぱあっと顔を明るくするカヨウ。

 それを見ていた五体の超級魔族たちも、孫や娘を見る祖父母や両親の顔になっていたのが印象的だった。


「そんなことで人類の敵たる魔族の協力者になって良いのですか?」

「そんなことではないぞ。魔王の隠し持つ秘宝、そう聞いただけで胸がときめくわい。人類の敵扱いがなんじゃ」

「はあ……。我々としてはありがたいのですがね。勇者一行と戦うことになるかもしれませんがよいので?」

「構わんよ。立ち塞がる者は、人だろうが魔だろうが神だろうが勇者だろうが……斬るのみじゃよ」


 そう言って剣呑な笑みを浮かべる村正。

 深夜はそんな村正を「さすが我が主です」と言わんばかりの誇らしげな顔で見つめていたのだった。


「分かりました。ありがとうございます」

「では、詳しい話を詰めようではないか」


 条件についてグラスと詰めていく村正。

 とはいっても、村正としては「落とした迷宮の秘宝の所有権」と「人族魔族に対して害を為すことを強制しない」という二点程度しか必要な条件は無い。

 なぜなら深夜がいるからだ。やろうと思えば、深夜とメガロの力を使えば魔王にでも成り代われる立場に村正はいるのである。

 だが、そんなことには毛ほどの興味も無い村正であった。


 第三者としてではなく、当事者として堂々と宝をもらいに行く。 

 それが村正の望みだ。


「して、迷宮戦争は始まっておるのか?」

「まだなのじゃー」

「そうなのか。して、いつ始まるのじゃ?」

「2年後なのじゃー!」


 元気よくそう言ったカヨウに村正は脱力した。

 まだ2年も猶予があるのである。


「そうか。2年もあるのか。のんびりやれそうじゃなあ」

「2年なんてあっという間なのじゃ?」

「人とは時間の間隔が違うのですよ、魔王様」

「そんなものなのじゃ?」

「そんなものじゃよ、カヨちゃん」

「そうかー。そういうものなのじゃー」


 ひとまず2年の猶予があると知った村正。

 この2年を有効に使って下調べをしておく必要があるのうとすでに考えを巡らせている村正であった。




「さて、儂らはひとまず地上に戻るぞ」

「そうなのじゃ? もっと遊んでいけば良いのじゃ」

「いや、いつまでも帰還せんでおったら面倒なことになりそうじゃからな。一度街へ戻って置かねばのう」


 死んだと噂されるのも面倒だし、おそらく迷宮戦争について知っているはずのギルド上層部に変に勘ぐられるのも困る。

 村正としては余計なことに煩わされず宝探しがしたいのである。


「そうかー。じゃあ、それが終わったらまた遊びに来てくれるのじゃ?」

「ずっと迷宮におるわけにもいかんよ、カヨちゃん」

「そうなのか……。さみしいのう」


 目に見えてしょぼーんとなるカヨウを見ていると何となく罪悪感を感じる村正であったが、そこは心を鬼にする。

 深夜の視線が厳しいせいではない。

 ないったらない。


 同じ和服系美少女の深夜とカヨウであるが、深夜がクール系幼女であるのに対してカヨウはカワイイ系ロリ美少女である。

 系統としては棲み分けは可能だと考えたい。

 それに、村正はロリコンという名の紳士では無い。


「そんな顔をするでない。なに、一度街へ戻ったらここへまた来ようではないか。まだ聞きたいこともあるし、今後のスケジュールも相談せねばならんからな」

「そうか! じゃあ、待ってるのじゃー。約束なのじゃ!」

「うむ、わかった」

「これで我らはと、友達なのじゃ!」


 顔を赤らめて言うカヨウ。

 決死の覚悟で言いました的な。


「友達か。そうじゃな。協力者よりはその方が余程良いのう」

「そうか! じゃあ、我と村正は友達なのじゃ!!」

「今日から友達じゃな」


 満面の笑みを浮かべてぱたぱたと手と尻尾を振るカヨウたちに見送られながら、村正たちはグラスの転移魔法によって第10層へと転移する。


「すまんな。ここまででええぞ」

「いえ。こちらこそ協力者の件といい、カヨウ様のお相手といい、有り難い限りです」

「構わん。魔王の友で人類の敵という役回りも面白そうじゃしのう」


 呵々と笑う村正。


「では、また会おう」

「お待ち申し上げております」


 そう言って、グラスは転移魔法で消えていった。


「さて深夜よ。地上へ戻るとするかのう」

「御意」


 そうして二人は、地上への道を戻り始めるのだった。


お読みいただきありがとうございます。

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