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探索者は異世界でも宝を求む  作者: 葉月風都
第3章 いざ、獣魔の迷宮へ
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第7話 -最強なのは従者タグは事実-

事実ですからね?w

<第7話 -最強なのは従者タグは事実->




 一体は獅子面の女。

 なぜ女とわかったかというと、頭部はライオンだが、身体はナイスバディのお姉様だったからだ。

 ボンキュッボンである。


「残念だ……」


 心底村正は残念に思っていた。




 もう一体は猫耳の美少女。

 頭部が人型のためにどう見ても獣人である。

 尻尾はともかく、手足の先が完全に獣なのでかろうじて魔物と判断できる。

 こちらは少女というのに相応しいつるぺたーんとしたほっそり体型。


「見目は良いのう。じゃが貧相じゃ」


 どちらかと言えばナイスバディが好みの村正。

 獅子面と顔だけすげ替えたら良いのにと本気で思っていた。




 最後の一体は牛頭人身の巨大な魔物。

 ミノタウロスと言えば一発で通じる見た目である。

 頭部と脚部が牛。その他はマッチョな男。

 何だか知らないがテカテカしている。


「生理的にダメじゃ、あれ」


 村正だけではなく、実は深夜もそう思っていたところだった。



「何です、あなた達は。この馬鹿鬼の仲間だと認識してよろしいですか?」

「確かに仲間なんだけどねえ……」

「今すぐその汚い足をどけろ、小娘が!!」

「ニャー!! そんなケンカ腰は止めるんだニャー!!」


 気怠げな獅子女と怒り心頭な牛男。

 それを見てオロオロする猫娘。


「何じゃ、仇討ちだとか言っていきなり襲いかかってくる風でもないのかのう」

「そうだニャー! 戦うつもりはないんだニャー!」

「何を言うか、バステト! オレは許さんぞ!」

「うっさいニャー! 脳筋は黙ってるニャ、アステリオス!」


 吠える牛男をぽかりと叩く猫娘。


「ヴィネも何とか言ってやって欲しいニャー!」

「アタシはどっちでもいいんだけどねえ……」


 地面に突き立てた巨大な剣に体をもたれかけ、怠そうにしている獅子女。


「漫才か?」

「違うニャ!」

「そうか。で、お主らはこの鬼と同じく高位の魔物と思えばいいんじゃな?」

「そうだ! オレ達は四天王だ!」

「四天王か。中二魂をくすぐるのう。一人、深夜に足蹴にされとるがの」


 深夜は現れた三体の魔物が漫才を繰り広げている間も鬼を痛めつけていた。

 ひどい女である。


「おおお、タケマルー!! きっさまあああああああっ!!」

「あー! 待つニャ、アステリオス!!」


 バステトと呼ばれた猫娘の制止を振り切って、牛男アステリオスがハンマーと呼ぶのは躊躇われるような無骨な鉄塊を振り上げて深夜に迫る。


 チュイン!!


 小さいが鋭い発射音がしたかと思うと、牛男の両手両足と胴体と首に穴が開き血飛沫を撒き散らす。

 深夜の両目から放たれた怪光線が命中したのだ。

 その場にどうと倒れ伏す牛男。


「ニャアアアッ! アステリオス!?」


 猫娘バステトが慌てふためいて牛男に駆け寄る。


「その程度なら高位の魔物ですから死にはしないでしょう?」

「だ、だけどニャー!」

「襲いかかってきたのはそちらです。消滅させないだけありがたく思いなさい」


 深夜が虫けらを見るような目で牛男を見下ろす。

 半泣きの猫娘はとりあえず攻撃する様子はない。


「アンタ、強いねえ……」


 獅子女がゆらりともたれかかっていた大剣から身を起こすと、ずぼっと地面から大剣を抜く。

 優に2mはあろうかという大剣を片手で軽々と持ち上げる獅子女。

 どうみても異常な膂力である。


「そんな軽そうな得物にも見えんが、お主、凄まじい力じゃなあ」

「そのくらい当たり前さあ……。アタシは獅子だからねえ」


 気怠げな表情はそのままに、獅子の瞳は戦闘への期待にギラついていた。

 百獣の王ライオン。狩りをするのは雌の仕事である。


「ああ、面倒極まりない。村正様、少々お灸を据えてやってもよろしいか?」

「構わぬよ。深夜の好きにせい。殺してはいかんぞ?」

「心得ておりますれば」


 そう言うと、深夜が数歩後ろに下がる。


「ゆ、許してくれるのニャ!?」

「違います。いちいち雑魚の相手をするのが面倒なだけです。好きなだけ回復して準備すると良いでしょう。格の違い、というものをその身に刻み込んで差し上げまする」


 余裕の笑みを浮かべて四天王と名乗った超級魔族共を見下ろす深夜。

 その佇まいはまさに圧倒的強者。


「貴様……」

「増長するのもたいがいにしろ!」

「その余裕……。恐ろしいねえ……」

「た、戦いなんて止めるんだニャー!?」


 怒りに燃える鬼と牛男。

 瞳だけをギラつかせる獅子女。

 半泣きで狼狽える猫娘。


 奇妙奇天烈な光景であった。

 

「アニメか漫画の世界じゃなあ……」


 一人蚊帳の外の村正はあくびをしながらその光景を見ていた。

 なぜなら、深夜の勝利を確信しているからだ。


「行くぞう、タケマル!!」

「応! アステリオス!!」

「アタシは勝手にやるよ……」


 鬼と牛男が阿吽の呼吸で深夜の両サイドから挟み撃ちを仕掛けようとする。

 その一瞬後に、獅子女が低い姿勢から走り込む。


「……無駄じゃ」


 村正がぼそりと呟いたその時。


 ズンっ!!


 空気が、大地が歪むほどの衝撃。

 深夜に飛びかからんとした三体の魔族は、無様にも地べたに縫い付けられた。


「こ、これはっ!?」

「身体が……動かん……!?」

「なんだい……コレは……」


 全身が上から強大な力で押さえ込まれ、指一本動かせない。


「【圧力器官】、出力40パーセント。力場を固定」


 深夜の持つ戦闘人形(コンバット・ドール)としての能力【圧力器官】は、任意の指定した空間に超高圧力の力場を形成する力である。

 形状は自由に設定でき、最大半径は1km。

 最大出力で稼働させた場合、深深度潜行を可能とする原潜ですら容易にぺしゃんこにするだろう。


「にゃああっ!?」

「漸次圧力パーセントを上昇。そこの猫娘はどうするのか?」

「そ、そんニャこと言われても……」

「お前も四天王の一人。見かけのようなか弱い存在ではあるまいが」

「……」


 無言で俯く猫娘。

 その姿がかき消えたかと思うと、村正の背後に瞬間移動でもしたかのように現れる。

 深夜に敵わぬと悟って、主である村正を直接狙おうというのだろうか。


「こんニャことはしたくないのニャー!」

「下策よな」


 今まさに襲われようとしている村正だったが、相変わらずの落ち着き払った態度。

 いっそ憎らしいほどだ。


「ニャッ!?」


 同じように瞬間移動した深夜に首を掴まれ、吊り上げられる猫娘。

 首に深夜の指がギリギリと食い込んで、細い首が今にも折れ曲がりそうだ。

 苦悶の表情である。


「ニャ……」


 何か魔法を発動しようとしたようだが、その前に腹部に深夜の空いた手がめり込む。

 首を支点にしてぶらぶらと揺れる猫娘。


「無駄です。私の【妨害器官】によって魔素の動きはあなた方には制御不可能です。よって魔法の発動は不可能だと教えてあげます」


 深夜の冷たい声が辺りに響く。


「何より、我が主を狙わんとするその卑怯な心根。万死に値します」

「殺すなというのに」

「しかし」

「良いから殺すな。深夜が儂を護ることは信じておったよ」

「主様……」


 見つめ合う村正と深夜。

 はにかむような笑みを浮かべる深夜は非常に可愛らしい。

 だが、その挙げた手の先に死にかけた猫娘がぶら下がっているのでは台無しである。

 その頃には、力場に囚われた三体も徐々に弱い部位から骨がひしゃげて折れ始めていたのだったが。


 まさに圧倒的。


 この世界の基準で言えば、この四天王を名乗る超級魔族は圧倒的強者である。

 ただの人間兵力など、千、いや万かかっても勝つことは不可能。

 最高位のハンターが二桁集まってようやくいい勝負が出来る、そんなレベルだ。


「ま、待ってくれ!!」


 そんなとき、可愛らしい少女の声が響き渡る。

 それに合わせて揺れる耳と尻尾。


「あ、誤るから許して欲しいのじゃ!!」

「魔王様、誤ってはいけません。謝らないと」

「そ、そうじゃな! 謝るのじゃ! そやつらは殺さないで欲しいのじゃ~!!」


 涙をボロボロと零しながら土下座する美少女。

 フサフサとした狐の尻尾がゆらゆらと揺れる横では、白いローブを着た黒い犬耳を生やしたメガネのイケメンが同じように土下座していた。

 柴犬っぽい尻尾がくるりと丸まってビビっていることを如実に物語っている。


「お怒りはご尤も! しかし、是非とも私たちの話も聞いてはいただけませんか!」


 地面に額をこすりつけながら懇願する犬耳男子。


「そうなのじゃ! バステトの言っていた通り、我らにはお主らと戦う気なんぞ毛頭無いのじゃ~。じゃから、話を聞いてたもれ!」


 顔を上げると、ぷるぷると震えながら涙目で訴える狐耳の美少女。

 なにこれ可愛い。


「村正様、如何致しましょうか?」

「話は聞いてやろうさ。元々その馬鹿鬼と馬鹿牛がおらねばそんな流れじゃったろう」

「村正様がそう仰るのであれば私は構いませぬが……」


 忌々しそうに力場に囚われた三体の超級魔族を見て舌打ちする深夜。


「ほれ、力場を解除してやれい。もうすぐ圧死するぞい」

「……畏まりましてございます」


 力場から解放されると、大きく息を吸い込んでむせる三体の超級魔族。

 どうやらダメージを回復しようとしたようだが上手くはいっていない。


「ああ、そうでした。魔素を使えないようにしていたのでした」


 思い出したように言って妨害を解除する深夜。

 すると、無事に魔法を使ってダメージを回復していく三体。


「感謝するのじゃ~」

「誠にありがとうございます。あの脳筋共はきつく叱っておきますので。魔王様が」

「我がか!?」

「当たり前じゃないですか。魔王様なんですから」

「はわわ~!?」


 はわわになってしまった可愛い狐耳美少女。


「ところで、魔王とかいう物騒な単語が聞こえてきたんじゃがのう」

「そのことについても全てお話いたします。ひとまず、私たちに着いてきていただけますでしょうか?」


 犬耳男子が頭を下げる。

 何やら面倒な話になりそうじゃと思いながらも、頷くしか無い村正であった。




 これが、誰にも語られはしないが、今代の「迷宮戦争(ダンジョン・ウォー)」の始まりであったそうな。


お読みいただきありがとうございます。


第3章はここまでです。

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