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探索者は異世界でも宝を求む  作者: 葉月風都
第3章 いざ、獣魔の迷宮へ
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第3話 -合流しよう-

短いです。

面倒なので揉めません。

<第3話 -合流しよう->




地下三階:


「おお、新しいハンターか?」


 階段を降りた先で待っていたのは、三人組の男たちであった。

 簡易テントを張って、物資を守っているようだ。


「そうじゃ。お主らは補給部隊か?」

「今はな。三階の魔物を一通り掃除するまでは交代しながらやるんだよ」

「そうか。では頑張るとよい」


 そういって村正と深夜は奥へ進もうとする。

 そこへ、男たちが少し慌てたように声を掛ける。


「待てって。焦るなよ。新手が辿り着いたら攻撃部隊が戻るまで待たせておくように言われてるんだよ」

「そんなことは知らぬ。儂らは儂らで動かせてもらうぞ」

「二人でか。しかも手ぶらでどこまで行こうってんだよ」


 呆れたように笑う三人組。


「それは儂らだけが知っておれば良い。第一ハンターは自己責任じゃろう。お主らに指図される謂われは無いわ」

「何だと!」

「まあ落ち着けって。確かにハンターは自己責任だ。引き留める権利はオレたちにはねえさ。」


 三人組のリーダーとおぼしき男が真面目な顔で切り出す。


「だけど、あんたらもアールファのギルド所属だろう。こんなところで無駄に喧嘩腰になっても、街で顔を合わせた時に気まずいだけだ。そうだろう?」

「まあ、確かにそうかもしれん」

「どうせもうすぐ攻撃部隊も帰ってくる。顔合わせだけでもしておいたらどうだい。その後はそれぞれ好きにすれば良いさ。オレたちは依頼を受けた面子でパーティを組んで無事に帰れる確率を上げたいからそうしてるだけだ」


 そう言って肩をすくめる男。


「ふむ。お主の言うことには一理ある。確かに急いでいるわけではないからな。ここは一つ、お主の言うことを聞いておこうかのう」

「はは、そいつはありがたいな。こんなところで喧嘩はごめんだからな。オレはクレイン。ランクはシルバーだ」

「ご丁寧に痛み入る。儂は村正、此奴は深夜じゃ。ランクはシルバーじゃよ」


 差し出された右手を握って握手を交わすクレインと村正。

 二人と三人組は、ベースキャンプで情報を交換し合うとある程度打ち解けたようだ。


「なるほどな。では攻撃隊に参加しているのはシルバーランク15人の4パーティか」

「そうなるな。そろそろ3時間経つから、戻ってくる頃だろうよ」


 交代しながら戦闘を行うことによって疲労を軽減し、お互いが無事でいられる確率を少しでも上げようというのだ。

 迷宮の間引き依頼を受けることが出来るのだから、全員シルバーランクなのは当然である。ゴールドが一人も混じっていないのが逆に珍しいくらいだ。


「シルバーしか今はいないんでな。あまり無理はせず地下五階くらいまでで狩れるだけ狩ろうって事になったのさ」

「なるほどなあ。安全第一じゃな」

「そういうこった。お前さんたちはどこまで行く気なんだ?」

「この迷宮は初めてでな。行けるところまで行こうと思っておったよ」

「たった二人でか。無理はいけねえよ」

「そこまで無理はせんよ。危険なら引き返すつもりじゃ」


 自己責任とは言っても、ハンター同士のつながりや連帯感はあるし馬鹿にしたものでもない。

 互いの無事を祈るのは人として当然のことでもあろう。


「死なない程度に頑張れよ。死んじゃあお終いだからな」

「かかっ。肝に銘じるとしよう」

「お、帰って来たようだな」


 クレインの言う通り、通路の向こうから大勢の人の気配が感じられた。

 15人もいればかなり遠くからでも分かるものだ。


「帰ったぞー」

「お、その二人は新顔だな」

「追加か」


 村正と深夜を見て、思い思いに声を掛けてくるハンターたち。

 ひとまず自己紹介をお互いに済ませると、現状についての情報を共有する。


「大体三階は間引いたと思うぜ。そろそろ下の階を目指してもいい頃だ」

「そうね。四階までは下級の魔物だから、もういいでしょう」


 15人のうち、4人が女性ハンターだった。

 女性たちは深夜を見てテンションを上げている。

 奴隷だと聞いて一瞬ムードが険悪になりかけたが、奴隷の証である魔法の首輪もないし、扱いも丁寧だし、本人が「私がそう言っているだけです」としれっと暴露したので事なきを得た。


「従者なのにわざわざ『奴隷です』なんて言わなくてもいいのに」

「いえ。そのようなものです。村正様には命を賭けてお返ししなくてはならない程の恩がありますので」

「そんな必要は無いと言っとるんじゃがのう」

「それより、なんでムラマサさんはおじいちゃん喋りなの?」

「癖じゃな」


 女三人寄れば姦しいとは言ったものだが、三人に限らず姦しいものじゃなあと村正は心から思っていた。


「さて、面通しも済んだ事じゃし、儂らは行くとしようかのう」

「む、同行せんのか?」

「儂らは集団行動には向いとらんゆえな。別に含むところはないぞい」


 言外に「それ以上詮索してくれるな」と滲ませる村正。

 それを察することが出来ないものはこの場にはいないようだ。


「まあ、無理に引き留めはせんが。階段側にベースキャンプを張るのが間引き依頼の常だからな。何かあったら戻ってこい」

「ご親切、有り難く頂戴いたす」


 頭を下げると、村正は深夜を伴って速度を速めて去って行く。

 それを見送るハンターたちの目には複雑な思いが見て取れた。


「浮き世離れした二人組だったな」

「あの二人でしょ、ハンター登録するまえに中級の黒角馬と赤熊を倒して素材持ち込んだのってさ」

「生意気な新人三人組を殺気だけで黙らせて改心させたって話も聞くわよ」

「実はオレ、その場にいたんだよ。正直オレもチビりそうになったわ」

「マジかよ……」


 支部長にまで目を掛けられているという噂も聞こえてくる。

 この間引きの依頼でもどれだけの戦果を上げるのだろうかと期待五割、心配四割、残り一割のやっかみを込めて、二人が消えていった通路を見つめるのであった。


お読みいただきありがとうございます。


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