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探索者は異世界でも宝を求む  作者: 葉月風都
第2章 はじめてのいせきちょうさ
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第2話 -お約束のハンターズギルド-

すみませんが説明回です。

良くある話なのでさらっと流して下さると嬉しいです。

<第2話 -お約束のハンターズギルド->




 すれ違った商人の言っていた通り、そこまで大都市でもないが、間違っても小都市ではない大きさだ。

 ちなみにアールファの街は、人口で言うと2万人程度。城壁内の都市面積は3平方kmほどである。中世ヨーロッパのそれなりに大きい都市を思い浮かべてもらえばいいか。面積がそれなりに広いため、住みやすくはあるようだ。


 この世界、魔物という人間にとっての天敵が存在するため、都市は基本的に防壁に囲まれている。また、籠城に備えて都市内にある程度自給自足できるような畑などが存在するのが一般的であった。


「さて、まずはハンターズギルドとやらに行ってみるかのう」

「それがよろしいでしょう」

「ところで深夜よ。これからも奴隷で通す気なのかよ?」

「それが一番この世界では都合が良さそうですので」


 しれっとのたまう深夜。


「妹とか養女とかでもいいんじゃぞ?」

「いえ。私など奴隷で十分でございます」

「よく言うわい」


 呆れたような顔をする村正。

 ハンターをするのであれば、奴隷だからといって特別困るわけでもない。相手によってはいい顔をしないかもしれない程度だ。


「まあ、お主がそれで良いなら構わぬ」

「はい。そうさせていただきます」


 10分ほど歩いたところに噂のハンターズギルドはあった。


「まだ文字は分からんのう」

「私が分かりますので当面問題は無いかと」

「うむ。儂はおいおいでよかろうよ」


 西部劇に出てくるようなスイングドアを押し開けて、ギルド内へ入る。

 もうすぐ昼のせいか、建物内部には人気は少ない。


「酒場や食堂は併設されているわけでは無いんじゃなあ」

「トラブルの元だからではないでしょうか?」

「それもそうじゃな。荒くれ者に酒なんぞ危険すぎるわい」

「あちらが事務関係のカウンターのようですね」


 奥のカウンターを指さして深夜がいうので、村正はずかずかと建物を歩いて行く。


「もし、お嬢さん」

「は、はい?」

「ハンター登録をしたいんじゃがな」

「あ、登録の方ですか。少々お待ち下さい……」


 カウンターに座っていたのは二十歳くらいの若い金髪の人間女性だった。

 顔はそれなりに整っているが、何より目を惹くのはその胸だ。

 控えめに言ってもかなり大きい。

 カウンターに胸が乗るくらいだ。


「アリスせんぱーい、新規登録のお客さんですうー」

「もう、ブリジットったら。そろそろアンタ自分でやんなさいよ……」


 奥からもう一人人間女性が出てきた。

 こっちの女性はもう少し年上で、胸のサイズは普通だ。むしろ小さめだ。


「こんにちは。ハンターズギルド、アールファ支店へようこそ。新規のご登録ですね」

「そうじゃ。よろしく頼む」

「お一人ですか。それとも、そちらの可愛らしいお嬢さんもですか?」

「二人ともした方がいいのか? それとも儂一人でも構わんか?」

「お一人でもパーティを結成して依頼を達成することは出来ますが、ハンターランクを上げることが出来るのはハンター登録されている方だけです」


 説明を聞いてみると、ハンターにはブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ミスリルの五つのランクがあるのだそうだ。

 実はその上にオリハルコンランクがあるのだが、それについては一般のハンターには知らされていないし知る必要も無い。


 また、ハンターではなくてもパーティを結成して依頼を遂行することは可能だが、登録されていない者はランクを上げることは出来ないのだそうだ。パーティのリーダーが依頼受注の際の基準になるらしく、特にそれでも問題は無いそうな。


 また、奴隷だからといってハンター登録が出来ないとかそんなことも無いそうだ。

 実際、裏切らない戦力として奴隷を登録する金持ちハンターもいるらしい。

 

「ふむ。一応深夜も登録しておいた方がいいかのう?」

「いえ。私は結構でございます」

「そうか?」

「はい」


 深夜が「まずは村正様が登録なさって下さい。登録の手順に問題がなさそうなら私も登録すれば良いでしょう」というのでそうすることにした村正。

 どっちが主人か。

 すると、アリスがドッグタグのような、金属製の長方形のプレートを取り出す。


「では、登録を開始します。こちらのタグにお客様の血を一滴で構いませんので垂らしていただけますか?」

「ほう。どれどれ」


 二人同時にやらなくて良かったと胸をなで下ろす二人であった。

 なにせ深夜にはいわゆる血液は流れていないので。


「では、魔法による登録を開始します」


 血液を元に個体識別情報をタグに転写するようだ。

 網膜とか指紋認証のように、登録者本人かどうかを特定するだけで、DNA情報を読み取るとか名前とか特殊能力が分かるとかそういう魔法ではないらしい。


 村正とタグの紐付けが完了したので、そこに名前、種族、年齢など個人情報を登録していく。


「これにて登録は完了です。ギルド口座の開設は同時になさいますか?」

「うむ。頼む」


 ギルドお抱えの【術士】と職員によって管理される情報や運営されるサービスの一環としてギルド口座がある。

 要するに、定番の銀行口座である。

 自分で大金を持ち歩かなくて良い反面、何かやらかしてしまった時にギルドによって口座を凍結されたりする危険性もある。


「これで手続きは終了ですね。このあと各種説明を致しますので、ご面倒でしょうが聞いていって下さい。ブリジット!」

「ふぁ、ふぁいっ!?」


 ブリジットと呼ばれた巨乳金髪娘が素っ頓狂な声を上げる。


「それくらいは仕事しなさいよね。アンタだって登録魔法使えるんだから……」

「わ、わかりましたよう」


 何故か若干涙目である。


「わ、私、ちょっと人見知りで。魔法が使えるからって無理矢理ギルド職員に取り立てられたんですう……。こほん。で、では、説明させていただきますね」


 たどたどしい様子で話し始めたブリジットを見て、人見知りを窓口業務に就かせるのはどうなんだろうと若干呆れた村正。

 それほど魔法が使える人間は貴重なのだろうとひとまず飲み込んでおくことにしたようだ。


「ま、まずはランクについてですね……」


 ランクを上げるためには、当然依頼をこなして実績を積んでいく必要がある。

 依頼にはそれぞれゲームで言うところの「経験点」が設定されている。簡単なものは少しの、難しいものには多くの経験点が配点されている。

 また、依頼以外でも魔物駆除によってポイントを稼ぐことも出来る。当然、危険な魔物ほど経験点は多く手に入れることが出来る。


 ただし、ひたすら魔物だけを倒し続けていてもランクは上がらない。

 ランクを上げるためには「成功した依頼数」と「ランクアップに必要な経験点」と「ランクアップ試験のクリア」が必要になるのだ。


「まさにゲーム世界のようじゃのう」

「な、なにかおっしゃいましたか?」

「いや、何でもないわい。続けてくれ」


 また、依頼を達成すれば報酬として金が手に入る。

 もちろん魔物を倒した際に手に入る魔石や素材も換金することができる。


「そ、その場合は、ギルドでも買い取りしていますし、街にあるお店で個別に交渉することも出来ますう……」


 とにかく自信なさげなブリジット。

 聞いている方も不安になってくる。


「は、ハンターさんは基本自己責任なので、ギルドからハンターの皆さんにお願いすることはあまりありません。と、とにかく覚えておいて欲しいのは二つですう」


 一つ。兵隊の世話になるようなことはするな。

 一つ。死んでも知らん。


 この二つがハンターの不文律だそうだ。


 もちろん、国や街ごとに法律があるので、それには従って欲しいとのこと。

 また、著しくギルドや国家の不利益になると認定された場合には、粛正されることもあり得るので注意が必要とのこと。

 きっと高ランクのハンターや暗殺者が差し向けられるのだろう。


「さ、最後に、ハンターのたった一つの義務です。魔物の【大発生(アウトブレイク)】の際には、全てのランクのハンターに戦闘の義務が発生するんですう……」


 この世界では、極稀にある地域で魔物が大量発生することがある。

 それが【大発生(アウトブレイク)】である。

 その場合には軍隊はもちろん、ハンターも総出で魔物退治に駆り出されるのだそうだ。


「い、以上でお終いですう……」


 他にもいくつか細々とした説明をし終えると、ほっとため息をつくブリジット。

 一仕事やり遂げた安堵感が感じられる。


「うむ、ためになったぞ。ありがとう」

「記憶完了です、村正様」


 村正も大体は把握していたが、深夜が記憶しているのであれば何の問題も無い。


「ところで、この世界には宗教というものは存在しておるのか?」

「あ、は、はい。ありますう。大きく分けると二つで、一つは東大陸国家公認の『光神教』ですう。人族を生み出したとされる光神様を崇める宗教ですう」


 人族を生み出し、太陽をシンボルとする光神。

 ちなみに人族とは、人間のみならず、森人や山人、獣人のような亜人まで含めて人族である。亜人という言い方は差別用語なので注意が必要だとのこと。


「も、もう一つは西大陸国家公認の『月神教』ですう。魔人族を生み出したと言われる月神様を崇める宗教ですう」


 西大陸に住むと言われる魔人族。魔物と混同すると烈火の如く怒り、命を持って償わせようとするらしいので決して魔族扱いしてはいけないそうだ。


「そ、それと、いずれハンターさんなら触れることもあると思うのでお教えしておきますね……。魔族を生み出し、人族を滅ぼそうとする闇神を崇める『闇神教』ですう」


 どこの世界にも滅びを願う宗教というのはあるものだなあと村正は思った。

 現世でもそういう団体は必ずあったものだが、どう考えても正気では無い。


「滅びを願うなど正気の沙汰ではないのう」

「ま、全くですう。でも、何か大きな事件の影には奴らの影があるとまで言われていますので、注意しておく方がいいですよう」


 心底嫌そうな顔で話すブリジット。

 確かに触らぬ神にたたり無しというように、宗教はプラスとマイナス両方がある劇薬のような存在である。

 村正も現世にいるときはさんざん苦労させられたものだ。


「うむ、そうしよう。忠告痛み入る」

「いっ、いえっ! そんなつもりじゃ」

「いやいや、大事なことじゃよ。よし、では早速依頼を見させてもらおうかのう」

「い、依頼は、あちらのボードに金銀銅のランク別に掲示されていますので、ご自由にご覧下さい。決まりましたら、カウンターまでどうぞ……」


 頭を下げるブリジットに礼を言ってカウンターを後にすると、早速ボードを眺めに向かう村正と深夜。


「色々あるのう」

「左様でございますね。全て記録しておきますので、後で精査するのもよいかと」

「なるほどのう」


 深夜はそれぞれのボードに張り出されている依頼を映像として記録していく。

 その間に村正はつらつらとブロンズランクのボードを眺めていた。


「記録、分類完了いたしました。それより、集めた魔石を売ってしまうのは如何でしょうか?」

「おお、そうじゃったな。小さい物ばかりでも数があればそれなりの額になるかのう」


 二人は一度ボードから引き返すと再度カウンターへ。


「な、何かございましたか?」

「いやな、道すがら集めた魔石があるのじゃよ。買い取りもしてくれるんじゃよな?」

「は、はい。もちろんです。アリスせんぱーい!」

「また? 何かしら?」

「か、買い取りだそうですう」


 アリスと呼ばれた、先ほど手続きをしてくれた女性がちょっとむっとした顔をしながら近づいてきたが、買い取りと聞くと「それは仕方ないわねえ」という顔になった。


「買い取り査定は経験が必要だものね。その代わり、ちゃんと見てなさいよ。それで、買い取り希望の品物は何でしょうか?」

「うむ、下級の魔物の魔石に黒角馬と赤熊の素材じゃな」

「え? 今、黒角馬と赤熊と仰いましたか?」


 狐につままれたような顔になるアリス。

 途端に幼い印象になるので、村正は思わず吹き出しそうになってしまった。


「そうじゃな。正式名称かどうかは知らんがのう」

「しょ、少々お待ち下さいませ!!」


 そう言うと、アリスは慌ててカウンターの奥へと引っ込んでいった。


「何じゃい、急に」

「そこまで驚かなくてもと思うのですが」

「お、驚きますよう!!」


 残されたブリジットが言うには、黒角馬の正式名称は【レッサースレイプニル】、赤熊の正式名称は【フレイムベア】といい、中級に分類される危険な魔物で適正討伐ランクはシルバーランクのパーティ推奨。どちらも中級の魔物としては、この東部地域で五指に入る危険度なのだ。

 要するに何が言いたいのかというと、ハンターに成り立ての若造が少女と二人で狩れるような魔物では無いと言いたいのだ。


「大したことは無かったがのう」

「そうですね。あの村でも同じようなことを言われた記憶はありますが」

「そんなこと言われたかのう?」


 村正にしてみれば、深夜のサポートも期待できるし、あの程度の魔物がそれほど危険物扱いされる理由が全く分からないのだが。


「それはそれとして、この下級の魔石も全部買い取ってもらいたいんじゃが。おそらく百は入っとるよ」

「ひゃ、百ですか!?」


 深夜が懐から魔石の詰まった巾着袋を取り出すとカウンターにどんと乗せる。

 下級の魔石は大体1つ銀貨1枚で買い取られることが多い。

 高いと見るか安いと見るかはそれぞれだが、一般人であれば、村正が容易く屠っていた狼型の魔物にすら敵わないのが普通である。


 ブリジットが目を白黒させていると、アリスが奥から戻ってきた。


「おう、帰って来たか。早速じゃが……」

「申し訳ありませんが、この後お時間はありますでしょうか?」


 村正が話し出そうとしたのを遮ってアリスがそう質問してきた。

 もちろん村正たちには予定など何もないので時間ならいくらでもある。


「それでは、少々奥の方へおいで下さいますか。査定に時間がかかりますから」

「おうおう、そういうことなれば仕方あるまいのう」


 アリスに連れられて、カウンターの奥の部屋へと消えていく村正と深夜。

 後に残されたブリジットは、展開について行けずに「はわわ」と目を白黒させるばかりであった。


お読みいただきありがとうございます。

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