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恋の始まり

放課後誰もいなくなった教室には私達しかいない、夕日のオレンジ色が窓から差し込んでほこりがキラキラとひかってすこし綺麗。

友人たちがいた教室とはまるで違って見える、うん、全然違う。

きっとこれは夕日のおかげでも、ましてほこりのおかげではもちろんなくて。

私の目の前に立つクラスメイト桜さんのおかげなんだろう。

そんな桜さんは困惑という言葉を文字通り体現していた。

それはもちろん私のせい。

「・・・・・・う、うん??」

「キスって好きな人とじゃないと出来ないっていうじゃん?」

「そ、そうだね・・・」

ここで私の言葉にうなずいてるあたり桜さんも少しパニックに陥ってるよね。

「じゃ、していい?」

「あ、のでも、弥生さん・・・」

「だめかな?」

「・・・・・・。」

少しの沈黙の後私を潤んだ目で見つめ返してゆっくり口を開いた。

艶っぽい。

「弥生さんなら・・・・・・いいよ。」

桜さんの言葉に思わず顔が緩んでしまう。

「ありがと、桜さん。」

私はゆっくり桜さんとの距離をちぢめた、目を合わせたまんまで。

近くによると少しだけ見下ろす形になる。

上目遣いが卑怯だって言うのがなんだかわかる。

これは反則的な可愛さだ。

それにしても綺麗な肌だな。

どんなスキンケアしたんだろ。

白い頬が今はかわいそうなくらい真っ赤だ。

私は左手でそっと包み込むように桜さんの頬に触れてみる。

やわらかい、親指でなでると桜さんのまつげが不安げに震える。

すべすべで気持ち良いな、いつまでもこうしていたい。

わくわくする気持ちを抑えて桜さんの目を見る。

瞳が揺れていて誘うように拒むように私を引き寄せる。

ここまでしておいてなんだけどすっごい緊張するな。

震えてるの桜さんに気づかれてるかな。

でも桜さんも震えてるからわかんないかも。

わかんないといいけどな。

私がそっとくちびるを寄せるとおんなじ速度で桜さんが瞼を閉じていく、くちびるとくちびるが触れるときになって私はようやく桜さんが自分にとって特別な存在になったことに気づいた。

いくらのりのいい私だって、ただの友達にキスしようとなんかしないって。

桜さんにキスしたいって思ったからキスしていいって聞いたんだって。

これが恋じゃなくてなんなんだ。

下心満載じゃん。

ふう。

でもせっかくこんなに近くに桜さんがいるのに何にもせずに体をはなすなんて私にはできない。

私は震える桜さんの瞼にそっとくちづけを落とした。

くちびるから桜さんの震えが伝わって私の心を震わせた。

べたぼれじゃないか、私。

そっと体を離すと目を開けた桜さんと目が合う。

混乱してるらしい桜さんが口を開く前に私が口を開く。

「桜さんごめんね。」

あ、これじゃ振ってるみたいじゃないか。

ちがうちっがう。

桜さんも今にも泣き出しそうだし!

泣かないで!!

「好きだよ。桜さんのこと好きになっちゃった。」

目がまん丸だよ桜さん。

でもいまいち信じてないでしょ?

私は桜さんの背中に手を回してぎゅっと抱きしめる。

「や、やよいさん・・・・・・」

私の腕の中から戸惑っている桜さんの声がする。

「好きだよ、大好き。」

耳元でそう囁くと桜さんはびくっと震えた。

「ほ、ほんと?」

信じてくれたのかな?

「ほんとのほんと。」

「ほんとにほんとにほんと??」

前言撤回、まだ信じてもらえてないらしい。

震える声で何度も確認する桜さんがこんなに愛おしい。

「ほんとのほんとのほんとだよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、信じる。」

「ありがとう、勇気出して告白してくれて。」

「ううん、ありがとうは私だよ。」

私の胸に頭を預けながら囁く桜さん。

なんかみなぎってきた。

腕の中にいる桜さんがどうにもこうにも愛おしくてぎゅっと強く抱きしめた。

疑りぶかい桜さんが強く抱きしめられてるって実感できるであろう強さで、そして私たちは初めてのキスをした。

くちびるを離したときに見せた桜さんの笑顔を私はきっと忘れない。

・・・・・・今夜は眠れそうにないな。





「あ、わかった。」

「・・・・・・なにが?」

もう暗くなってしまった帰り道。

私たちは手をつないでゆっくり歩いていた。

急に話し出した私をとがめるどころか優しくたずねてくれる桜さん。

良い彼女だな、私は幸せものだ。

ごめんよ世の中の男性諸君、この子は私のものだ。

ううん、少子化が進んじゃうな。

「今日の桜さんの告白を聞いてどこかで聞いたことがあるせりふだなぁと思ったんだ。」

桜さんは思い出そうとするように目を閉じた。

キスできそう、しちゃおかな。

「ごめんなさい、なんて言ったか覚えてない・・・・・・」

あ、目開けちゃった。

「ううん、いいよ。桜さんは世界中の大好きをあつめても私のあなたへの愛に足りないって言ってくれたんだよ。」

思い出したのかぽんっと音が鳴りそうなくらい赤くなる。

「そんな恥ずかしいこと言ったの私・・・・・・。」

うつむいてもごもご言ってる。

「昔大好きだったアニメの歌にそんな歌詞があったんだ、いい言葉だよね、感動しちゃった。」

「なんていうアニメ?」

「魔方陣グルグル」

「??ごめんなさい知らない、今度、聞いてみるね。」

真面目だなあ、桜さん。

「本当にいい言葉だよね。額に入れて飾りたいくらいだよ。相田みつをみたいな感じで。」

「え!?」

「色紙に書いてきてよ、桜さん。」

「ええっ!?」

「あはは、冗談だよ。もう、可愛いんだから。」

「弥生さんって、意外に意地悪なんだね。」

そう言う桜さんはけして責めるような言い方じゃないから私は安心して意地悪できるんだよ。

「嫌いになっちゃう?」

「それはありえないよ。」

ほらね、まっすぐ私を見てそう言う桜さんはかっこいい。

めちゃめちゃ可愛いのにたまにかっこいい彼女。

美味しいなあ。

・・・・・・しかし私は今いったいどんな顔して桜さんを見てるんだろうね、急に照れて私から視線をそらしてずるいとか何とかつぶやいてる桜さんを見て私はそんなことを思った初めて二人で下校する帰り道。

恋をすると世界は変わる、これはほんとに。

私の世界を変えてくれた彼女を私はどれくらい大切にできるのかな。

ちゃんと優しくできるといいな、ちゃんとが何かはわからないけれど。

ちゃんとたいせつにしたい。

どんなときも一番近くで、一番の味方でいてあげたい。

そしてずっとずっと一緒に歩いていければいいなと思った。





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