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第一幕 第六話:「古渡神社-荒ぶる神の社」(前編)

第六話・前編では、義輝の心境の変化を描いた短いお話と、古渡神社に忍び寄る不穏な気配を描きました。


物語の舞台は少しずつ、学校から神社へ、そして祭りの準備の中へと広がっていきます。

ひまりや義輝の成長とともに、神々との縁もまた深まり始めています。


静けさの中に芽生える決意と、日常の延長に潜む異変。

その対比を楽しんでいただけたら嬉しいです。

<静かな変化>


 龍神の末裔であると知った日から、義輝の朝は変わった。

 けれどその事実を人に語ることはできない。ひまりと心を通わせたとはいえ、日常に持ち込むにはあまりに大きすぎる秘密だった。

 だから彼は、幼い頃に“自分だけの秘密”を抱える場所にしていた天雅がいる神社を選んだ。ここなら気兼ねする事なく、胸の奥に芽生えた決意を竹刀に込めることができる。

 まだ夜が完全に明けきらぬ境内に、冷たい空気が張り詰めていた。

 東の空は群青から白へと滲みはじめ、鳥の声すらまだ聞こえない。


 義輝は拝殿脇に立ち、竹刀を握りしめる。両の手は冷え切っていたが、その中に宿る決意だけは確かだった。


 ブン………………


 静寂を裂く竹刀の風切り音が、境内にひとすじ響く。

 一振りごとに息を吸い、吐く。その白い吐息が、刀筋の軌跡と共に空へ溶けていく。


「……そこで、意識が揺らいでいる」


 背後から、凛とした声が響いた。振り返らずともわかる――天雅(あまのみやび)だ。

 白拍子の装束をまとったその姿は、夜明け前の淡い光に包まれ、まるで境内に立つ御神木のように静かに佇んでいる。


挿絵(By みてみん)


「邪気は、人の心の揺らぎに入り込む。剣に込める祓いの力は、一筋でなければならぬ」


 義輝は歯を食いしばった。たしかに先ほどの一振りは、頭の隅で雑念が生まれ、竹刀から意識が離れていた。その一瞬の揺らぎが、太刀筋を鈍らせた。


「……さあ、もう一度」


 天雅の声は厳しいが、底に温かさがあった。

 義輝は再び正眼に構え、祓うべきものを思い浮かべて呼吸を整える。


 振り抜いた竹刀の軌跡が、澄んだ風の筋を境内に刻む。

 息が静かに途切れた瞬間、世界そのものが音を失ったかのように沈黙が訪れた。


 天雅の口元がわずかに緩む。


「……さっきよりは良い。だが、まだ揺らぎは消えていない。日の出までに、あと五十回」


 義輝は頷き、再び竹刀を振り上げた。

 東の空はほんのりと朱を帯び、境内に一日の始まりを告げる気配が静かに満ちていった。


 そして胸に残った静かな余韻は、そのまま義輝にとって今日一日を迎える合図となった。




 教室には朝の光が差し込み、まだ小さなざわめきが漂っていた。

 義輝が扉をくぐると、窓際に座っていたひまりがぱっと顔を上げる。

 その笑顔は、昨日までとはまるで違う――胸の奥からあふれ出すような、抑えきれない喜びに満ちていた。


「おはよう、義輝くん!」


 声にも弾みがある。義輝は思わず足を止めた。


「……おはよう。なんかすごく嬉しそうだな」


 ひまりは大きく頷き、言葉を急いだ。


「うん! あのね、神明社も秋葉社も、この前まで本当に寂れていたのに……今は全然違うの。

 参拝に来る人たちがね、『鳥居をくぐった瞬間、空気が澄んでいて胸が軽くなった』って

 言ってくれて……。

 『参道を歩いているだけで涙が出そうになった』って人もいたんだよ。

 “何度来ても気持ちが良い神社だから、また来るね”って……そんな声が増えてきてるの!」


 ひまりの声は弾んでいた。その笑顔に、義輝も心の奥が温かくなる。


 ……そういえば。


 彼はふと、今朝の天雅の社を思い出した。

 いつの間にか新しいしめ縄が張られ、紙垂は白く清らかに揺れ、榊は瑞々しい緑を湛えていた。

 境内の砂利はきれいに均され、落ち葉一つ落ちていない。

 掲示板には、以前は見かけなかった月例祭の案内まで貼られていた。


「……俺の通ってる神社も、気づいたらきれいになってたんだ」


 ひまりは少し考えてから、微笑んだ。


「うん、それってきっと、神様が応えてくれてるんだと思う。……でもね、それだけじゃなくて、地元の

 人たちがまた神社を大事に思って、神さまと縁を結び直したからじゃないかな」


 義輝はその言葉に胸が温かくなるのを感じ、ゆっくりと頷いた。

 神と人が互いに手を伸ばし合い、結び直される縁。その結果が、いま目の前にある清らかな光景なのだと、二人は自然と確信していた。


「それでね……父さんも大忙しなの。お供えも増えて、記録や管理も大変で。だから、てまりお姉ちゃん

 がお手伝いしてるの」


「てまりさんが? ……あの財務に厳しい?」


 義輝の茶化すような声に、ひまりは小さく吹き出した。


「そうなの。お金の数え間違いは絶対に許さないからね。帳簿つけは完璧! でも、そのおかげで

 父さんも助かってるみたい」


 笑いながらも、ひまりの瞳はきらきらと輝いていた。

 それは家族の奮闘への誇らしさであり、何より神社が本当に生き返ったことへの深い感動だった。


 義輝は彼女の横顔を見つめながら、心の奥でそっと頷く。

 神々と向き合った自分たちの行いが、確かに現実に繋がり、人の心を動かしている。

 その事実が、何よりも尊く思えた。


「……ひまりは、もう“神様と一緒に歩いてる”んだな」


 義輝の言葉に、ひまりは一瞬驚いた顔をしたが、やがて柔らかく微笑んだ。


「うん。そうかもしれない。だから、私もがんばりたいんだ」


 チャイムが鳴り、教室が一斉にざわめきに包まれる。

 けれど二人の胸には、それぞれの決意が静かに芽生えていた。




<新嘗祭に忍び寄る不穏>


 柔らかな夕方の陽射しが境内を包むころ、古渡神社の社務所には、町内会や氏子会の面々が集まり始めていた。

 長机の上には、新嘗祭の資料の束と湯気を立てる急須。障子越しに差し込む西日の光が、会議の場を温かく染めている。


「今年の新嘗祭は、例年以上に人が集まると思う」


 最年長の氏子総代がそう切り出すと、周囲から小さなどよめきが上がった。


「近ごろ世の中が落ち着かんせいか、心の拠り所を求めて神社に足を運ぶ人が増えておる。去年は控えめだった分、今年は祭りも大きく賑わうと思う」


「奉納舞の舞台は、境内の正面に設けましょうか」

「屋台は子供たちも楽しみにしてる。通りに並べたら賑やかになるだろう」

「今年は協賛金を出す会社が増えているから提灯を出して華やかにしよう」


 言葉が交わされるたびに、お祭りに向けての熱気が上がっていく。

 だが、その空気の奥には、わずかな緊張感も漂っていた。祭りの成功にかける熱意が強すぎて、意見がぶつかり合う寸前の熱を帯びていたからだ。


 やがて、ひまりの父が古渡神社の宮司として立ち上がり、挨拶を述べる。


「新嘗祭は、五穀豊穣に感謝し、神に実りをお捧げする大切な祭りです。今年も無事に行えることを

 願い、皆さまと共に安全と成功を祈りたいと思います」


 場の空気が落ち着くのを確かめるように静かに見渡し、言葉を継いだ。


「この社にお祀りされている須佐之男命は、その荒ぶる力によって災いを祓い、やがて豊穣をもたらす

 神とも伝えられております。どうか今年も、無事に祭りが執り行われ、皆さまが健やかに過ごせます

 よう、心を合わせて務めてまいりましょう」


 場はその言葉で落ち着きを取り戻し、再び和やかな雰囲気へと戻っていった。

 ひまりはその光景を見つめながら、神と人とを結び直す祭りの意味をあらためて胸に刻んでいた。


 障子の外では、秋風に舞う木の葉が砂利をかすかに鳴らしていた。

 その音は会議の和やかな声に溶け込みながらも、遠い山間から荒ぶる気配を運んでくるかのようだった。




 新嘗祭の準備が進む古渡神社は、昼も夕も人の声で賑わいを増していた。

 幟を立てる若者、提灯の数を数える婦人、屋台の配置を巡って言い合う町内会の人々――境内には活気が満ちていた。


 その最中、ひまりは日本舞踊の師である櫻井磐音に連れられて神社を訪れていた。

 奉納舞を舞う舞台の下見のためだ。


「ここが舞台になるのね。光の入り方も悪くないわ」


 おっとりとした声で磐音は境内を見渡す。だがその目は鋭く、舞台の高さや位置をすばやく測っていた。


挿絵(By みてみん)


「うん……ちょっと緊張するかも」


 ひまりが呟くと、磐音はにっこり笑った。


「大丈夫よ、ひまり。観客が何百人いようと、目の前にいるのは神さまお一人だと思いなさい。

 そうすれば自然と舞えるから」


 その言葉に、ひまりは驚いたように目を瞬いた。

 普段はふわりと柔らかい磐音の声が、今は妙に力強く響いて聞こえたからだ。


「……先生、やっぱりすごいです」

「ふふ、すごいのはあなたよ。私は背中を押すだけ」


 磐音は軽く肩に手を置き、さらにおどけるように囁いた。


「それにね、人を綺麗にするのは外見だけじゃないの。心が輝けば、その人らしい美しさが舞にも

 生き方にも表れるわ。私は、そういう美を見つけて引き出したいの」


 ひまりは胸が熱くなるのを感じた。――磐音先生は、舞を教える以上のものをいつも与えてくれる。だからこそ、この人を心から尊敬し、師としてだけでなく人として好きになれるのだ。


「やっぱり先生って、舞より営業の方が得意なんじゃ……」

「まあ、どっちも似たようなものよ」


 磐音は楽しそうに目を細め、二人は思わず笑い合った。

 その横で、妹の朱音はじっと人々の様子を観察していた。


「……微かにささくれ立った気配を感じる」


 低く漏れた言葉に、ひまりの笑みはすぐに消える。

 境内では、屋台の並べ方を巡って言い争いが起こり、さらに資材を運んでいた男が石段で足を滑らせて膝を打ちつける。

 駆け寄る声と同時に、「だから気をつけろって言っただろ!」という刺々しい叱責が飛んだ。

 些細な行き違いが妙に大きく膨らみ、境内の空気をざらつかせていく。

 朱音の表情は険しい。


「……邪気が動いている。まだ小さいけれど、この神社に流れ込んでる。人が苛立ちやすくなってる

 のは、そのせいだと思う」


 ひまりは目を瞬かせ、胸の奥に冷たいものを感じた。

 賑わいの裏で、確かに何かが人の心を煽っている――。


 磐音は不思議そうに首を傾げたが、朱音の言葉に反論はしなかった。

 妹の直感が外れたことは、これまで一度もなかったからだ。


 ひまりは拳を胸の前でそっと握りしめる。

 ――この異変を、見過ごしてはいけない。




 ――放課後。木造の道場に、竹刀のぶつかり合う音が鋭く響いた。

 奉納舞に向けたひまりの稽古が進む一方で、義輝は大琥と練習試合に臨んでいた。正眼に構え、互いに間合いを詰める。


「面!」


 大琥が一気に間合いを詰める。

 義輝は無意識のまま竹刀を動かし、大琥の打ち込みを止めていた。


 ――今の……。


 わずかに息を呑む。

 大琥の動く“気配”が、肌に触れるように伝わった気がした。

 次の瞬間にどこを狙ってくるのか、頭で考えるより前に体が自然に応じていたのだ。


「ほう……今日は冴えてるじゃねえか」


 竹刀を引いた大琥が、口の端を上げてからかうように言った。


「まるで俺の動きが見えてるみたいだな」


 義輝は返す言葉を失った。

 ――偶然なのか、それとも……。


「行くぞ!」


 大琥が再び打ち込んでくる。

 今度はフェイントを混ぜた横面。

 だが義輝の体はまた自然に反応し、竹刀でそれを受け止めていた。

 革の小手越しに伝わる衝撃が、竹刀を手の延長のように馴染ませる。


「……やっぱり今日は妙だな。俺が鈍ってるのか、それともお前が化けたのか」


 冗談めかす大琥の声に、義輝は苦笑を浮かべつつも、胸の奥にひとつの疑問が芽生えていた。


 ――あの朝、天雅に言われた“揺らがぬ心”を意識した時。

 あれと同じ集中の中で、大琥の気配を感じ取れたのかもしれない。


 だが、それが何を意味するのか、義輝自身にもまだ答えは見えなかった。




 放課後、図書室帰りの充瑠が、分厚い資料を綴じたバインダーを抱えて校門を出てきた。

 彼女が独自で調べている趣味の歴史探求資料だ。眼鏡の奥の瞳は、普段よりも熱を帯びている。


「……古渡神社のこと、ちょっと気になって」


 声は小さいが、どこか抑えきれない興奮が混じっていた。


「この前、歴史裏話サークルで聞いたの。古渡って昔は入り江で、港町だったらしいの。漁師たちが

 須佐之男命を祀って、安全と豊漁を祈っていたんだって」


「えっ……そうなの?」


 ひまりは驚きに目を瞬かせる。


 充瑠は頷き、胸元に抱えたバインダーをぎゅっと握りしめた。


「埋め立てられて今は町になっちゃったけど、社や祭りにその痕跡が残ってるかもしれない。……古い

 事に詳しいおじさんがいたら聞いてみよう、と思って」


 その熱心さに、ひまりの胸が動かされる。

 控えめで口数の少ない彼女が、こんなふうに夢中になるのは珍しい。


「……充瑠ちゃんが頑張っていることなら、一緒に行ってみたいな」


 そう笑った瞬間、充瑠の頬がほんのり赤く染まった。





 夕暮れの古渡神社は、祭りの準備で慌ただしかった。

 幟を立てる若者、屋台の木枠を組み立てる職人、提灯を数える婦人たち。境内は人の声であふれていた。


「義輝、これ持ってくれ!」


 声を張ったのは大琥だった。額に汗を光らせ、力仕事に加わっている。

 そのそばには義輝の姿もあった。どうやら大琥に呼び出され、手伝いに駆り出されているらしい。


「…大琥くん?……それに義輝くんまで?」


 驚くひまりに、大琥はにやりと笑う。


「こいつ、普段は無愛想なくせに、こういう時は妙に働くんだよ」

「…大琥が困ってるって言うから、助けに来たんだよ」


 その瞬間、充瑠の手からバインダーが滑り落ち、紙の束が地面に散らばった。


「あっ……!」


 慌ててかき集めようとする充瑠の横で、すっと屈んだ大琥が紙を拾い上げた。


「ったく、相変わらずだな。……でも大事な資料なんだろ、気をつけろよ」


 からかうようでいて、気遣いのにじむ声に、ひまりが思わず吹き出し、義輝も肩をすくめて口元を緩めた。

 準備に追われていた町内会の人たちも、思わず手を止めてクスッと笑い合う。境内の空気が一瞬だけ柔らいだ。


「ご、ごめんなさい……」


 顔を上げられないまま紙を受け取り、充瑠の耳は真っ赤に染まっていた。


(……どうして、私はいつも……でも……やっぱり、大琥くんに拾ってもらえると、胸が苦しいくらい嬉しい……)

(……けど、こんな気持ち、言えるわけないよね)


 そんな想いを胸の奥にそっと隠しながら、充瑠は震える手で紙束を抱きしめ直した。




 境内のあちこちで、屋台の配置を巡って声を荒げる町内会の人々。資材を運ぶ途中で足を滑らせた男に、過剰な叱責が飛ぶ。

 些細な行き違いが膨らみ、怒りや苛立ちが妙に大きくなる。


 義輝は息を呑んだ。


 ――何だ、この空気……。


 ひまりもまた、胸の奥に刺々しい違和感を感じていた。

 ふと拝殿の方へ視線を向けると、夕闇に沈む社の奥から、重苦しく、形を持たぬ影のような気配がじわりと漂い出しているように思えた。


 充瑠は気配そのものには気づいていない。けれど、境内での言い争いや苛立ちの連鎖に顔を曇らせ、バインダーを抱える腕に力を込める。


「……みんな、ちょっと変だよ。些細なことで怒ってて……なんだか怖い」

「…だな。疲れてるだけには見えねえ」


 大琥も険しい表情で唸る。


 義輝とひまりは互いに目を合わせ、拝殿を見やった。

 それは形を持たぬはずの影のように、境内全体を覆い始めていた――。放っておけば、祭りそのものを歪めかねない危機感を感じるものだった。


 ひまりは唇を結び、小さく息を吸った。


「……朱音さんに知らせよう。このままじゃ、お祭りが危ない」


 ひまりは義輝にだけ聞こえるように、そっと呟いた。

 その言葉に、義輝は無言で頷いた。


 夕闇の境内に、冷たい風がすっと吹き抜ける。

 まるで、これから起こることを告げる合図のように――。




 ひまりがスマホで朱音に連絡すると、彼女はすでに古渡神社へ向かっている途中だった。


『姉の舞に影響が出ないか気になってね。境内の気配を確かめに行くところなの』


 電話越しの声は落ち着いていたが、その奥には緊張の色が潜んでいた。


 やがて朱音が境内に姿を現す。

 ひまりは駆け寄り、境内の様子と人々の苛立ち、そして拝殿の奥から漂う影のような気配を説明した。

 朱音は静かに耳を傾け、目を細めて頷いた。


「……確かに、邪気が満ちつつあるわね。強くなる前に祓う必要がある。明日の朝、祭りが始まる前に

 やりましょう」

「はい!」


 ひまりと義輝が即座に声を揃えた。

 その隣で、大琥が一歩前に踏み出す。


「なら、俺もやる。義輝だけに良いとこ持ってかれてたまるかよ。それに……ひまりの前で格好悪い

 真似はできねえからな」


 朱音はわずかに眉を寄せ、大琥をじっと見つめた。


「……大琥くん。あなたは、何を感じているの?」


 突然の問いに大琥は一瞬言葉を詰まらせたが、やがて真剣な目で拝殿を見やった。


「……嫌な感じの塊がある。しかも、どんどん大きくなってる気がするんだ」


 その答えに、朱音の瞳が鋭さを帯び、次いでわずかに和らぐ。


「……なるほど。勘が鋭い子ね。わかったわ。同行を許可します。ただし、最初は何となくでいいから、

 私の言う通りにやってみて」

「おう、任せとけ!」


 大琥は胸を張って笑った。

 義輝は苦笑を浮かべ、ひまりは驚きと共に心強さを覚える。

 こうして四人は、翌朝に決行する「祓い」への決意を固めた。


 夕闇の境内を、冷たい風が吹き抜ける。

 それは、これから訪れる試練の始まりを告げるかのようだった――。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました!


第六話・前編のテーマは「静かな変化」と「迫り来る不穏」です。

剣を振るう義輝の姿や、ひまりの家族・仲間たちの描写を通して、日常と神秘が少しずつ結び直されていく様子を描きました。


そして最後に現れる“影”――。

次回は、この影が古渡神社にどのような影響をもたらすのか、そして義輝たちがどのように立ち向かうのかが描かれます。


ぜひ続きも楽しみにしていただけたら嬉しいです!

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