4話④
「星の宮」の玄関前。
重役の5人と環奈がやって来た。
全員で東の方角を見る。
「あれ……」
先日、行った林に巨大な何かがいる。
口に牙を生やし、大きな目を動かしている。
太い腕を振り、横に大きい体を動かす。
決定的なのは、頭に1本の角が生えていること。
あれは――
「鬼……?」
鬼は滅んだはずだ。
この世にはいない。
でも、この圧倒的な力は?
見ているだけで感じる。
押しつぶされそうな重圧。
「……あれをどうにかしろって!?」
明蘭が鬼を指して言った。
凪が目を細めて見る。
「……初めて見た」
朝晴が考える。
「……夜月も小さかったけど似たような物、生み出してたな」
凪が続けた。
「もしかして……初めから、鬼を作るために「月の杜」を創設した……?」
「……」
朝晴が下を向く。
「そうなのか……?」
「あの時――奈取さんは……林で目印を作ってたのかな」
「鬼が「星の宮」へ来る目印」
鬼が唸る。
体に木々が当たるのが嫌なのか、目の前の木を片手でもぎ取った。
振り回し、木を薙ぎ倒していく。
鬼が持っていた木を投げた。
6人のいる「星の宮」に向かって落ちてくる。
「!」
龍臣が宝刀を抜いた。
落下してくる木に向かって刀を振り抜く。
木が空中で真っ二つに切れた。
切られた木が地面に転がる。
近くで見るとかなりの太さがある。
人間が当たったら一溜りも無い。
「と言ってもどうするんだ?」
龍臣が言った。
「奈取さんが封印はするなって言っていたね」
凪の言葉に朝晴が続ける。
「封印なんて出来ないだろ」
「一乃、あれ、どうにか出来るか?」
龍臣が一乃に聞いた。
一乃が鬼を見る。
「……あれは……」
一乃の言葉を朝晴が遮る。
「いい、あれはいい、無理だよ」
凪も賛同する。
「そうだね。一宮だけじゃ……」
「あの……」
一乃が片手を上げた。
「凪さんに教えていただきたい事があって」
「え? ……俺?」
凪が驚いた表情をする。
「あ、あと、みなさんにも聞いてほしくて……」
「ん?」
「?」
「いいわよ」
6人で密集して声をひそめる。
「……凪さん……」
一乃が凪に聞く。
「ええ!? あれをするの?」
凪が今日1番の声を出した。
「それしかないと思って……」
「……ま、まぁ、そうなのかも……」
すごく悩んで凪がもう一度、口を開いた。
「……本当に、それしかないかも」
「具体的にどうすればいいんだ?」
「とりあえず、あの鬼をこっちに呼ばなくちゃいけない」
「……えー」
全員で鬼を見る。
太い腕を振り、林の木々を薙ぎ倒す。
視力はあまり良くないのか、こちらを視界に入れても気にも留めていない。
木々が倒れる音の方へと向かっている。
しかし、徐々に徐々に「星の宮」へ近づいていた。
一乃が鬼とは別の空を見る。
「一乃ちゃん?」
「……来てます」
「小さい方が?」
「はい」
「早く対処しないとだな」




