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星の宮の妖祓い  作者: 春伊
第5章
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4話②


 一乃が走る。

 すぐ後ろには環奈がいた。

 廊下を抜け、玄関から外に飛び出す。

 周りにいた者は、みんな驚いた顔をしていた。

「西……」

 玄関を飛び出した一乃は右方向の庭に走った。


「……」

 一乃が集中する。

 どっちだ。

 北の端か、南の端か。


「一乃様……」

 環奈が心配そうに後ろに立つ。


「環奈、こっち」

 一乃が左方向を指差した。

 

「?」

 一乃の差す方向には特段なにもないはず。

 ここは庭が広がっているだけだ。

 小走りに走る、一乃を追いかけた。

 白い髪が揺れる。

 

 とうとう、塀の角までやって来た。

「これだ……」


「一宮!」

 2人の後ろから、龍臣と明蘭と朝晴、凪が走ってくる。

「ここに……どうしたんだ?」


「これ……」

 一乃が下を見る。

 塀の角には、丸い石が積みあがっていた。

 凪が言う。

「結界の角か。これはひどい」


 環奈でも分かる。

 嫌な気配が石にまとわりついている。


 近づいてきた人間に気付いたかのように、気配が黒い実体になった。

 2つの赤い目、黒く長い腕と足。

 なにを模した生き物なのか……


 黒い生き物がこちらを見てケタケタ笑う。

 長い腕を器用に使い、転がっている石を掴んだ。

 そのまま持ち上げ、積み重なった石へと投げつけた。


「! ……い、た……ぃ」

 一乃が崩れる。

 環奈が後ろから受け止めた。


「あれか」

「壊そうとしている?」


 朝晴が一乃を見た。

 一乃は地面でうずくまっている。

「……」

 

 朝晴が結界の角に近づく。

 黒い生き物が警戒した。片手で転がっている石を持つ。

「……」

 また投げつけるつもりか。

 これ以上、近づけない。

 また、黒い生き物がケタケタ笑った。



 朝晴がその場でしゃがむ。

 地面に星を、その外側に丸を描いた。

 素早く右手を添える。


 結界の角――積み重なった石近くの地面から薄く光る手が生えてきた。

 そのまま黒い生き物を鷲掴む。

 黒い生き物は手に持っていた石を落としてしまった。


 キーキーと暴れ出す。

 光る手はガッチリと掴んだままだ。


 黒い生き物の動きが止まった。


 熱い。

 チリッと火花が散った。

「?」

 黒い生き物の体から炎が生まれる。

 瞬く間に光る手ごと燃え出した。

「くっ……」

 地面に手を置いている朝晴が身動ぐ。


 左手で術符を1枚取り出した。

 口元に近づける。

 

 術符が光った。

 ハタハタと羽ばたき始める。


 燃える黒い生き物に向かって飛び出した。


 飛んできた術符が黒い生き物にへばりつく。

 光る手が消えた。

 術符がついたまま、地面に転がる。


 朝晴がまた新たに術符が飛ばす。

 のたうち回っている黒い生き物にへばりついた。


 朝晴が今度は両手で地面に触れる。

 

 黒い生き物を囲むように、地面に、星と丸の紋様が出てきた。

 紋様が光る。

 黒い生き物がこちらを見た。

 体に貼りついた術符を貪っている。

「……なんて奴だ」



 一乃が朝晴の両手の近くに自身の手を置いた。

 黒い生き物を囲んでいる紋様の光が増す。

 ギ……ギ……と鳴き出した。


「ごめんなさい」

 一乃がポツリと言う。

 

 光が黒い生き物を包み込んだ。

 そのまま、地面へと引きずり込む。


 赤い目がずっとこちらを見ている。

 

 黒い生き物は、光と一緒に地面へと飲み込まれていった。





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