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星の宮の妖祓い  作者: 春伊
第5章
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3話③


 あの日、


 やっと一宮家にたどり着いた時、一乃と紅葉は一緒にいた。

 もう日没近く。

 庭は薄暗く、足元が見づらい。

 母屋の方を見ると、橙色の炎に包まれて、見たこともない妖がいた。


「紅葉!!」


 

 紅葉が地面に、仰向けに寝ている。

 一乃は涙を溜めて彼の手を握っていた。


 遂に来たか。この時が。


「ああ……照星……」

 紅葉が弱々しく喋る。

「来てくれたんだ。ごめん、忙しいのに」

「……別にいい……」

 母屋の妖はこちらを見向きもせず練り歩いている。


「……照星」

「なんだ」

「お願い……「星の宮」と一乃を頼んだよ」

「……ああ」

「お前と友達で良かったよ。楽しかった。ずっと」

「……紅葉……」


「俺もだ……」

 その言葉を言うだけで精一杯だった。

 紅葉が笑う。


 続いて一乃を見た。

 涙が頬を流れている。

 紅葉が優しく拭った。

「一乃」

「大丈夫……」


「……約束しよう」


「一乃なら大丈夫だ。……だからね、絶対、諦めちゃダメだ」


「約束できる?」

「…………はい」

「うん、いい子だ」



 日が落ちる。

 西の空はまだ橙色に染まっているが、もうここは完全な夜。


「!」

 一乃から、眩いばかりの光が放たれる。

 妖もそれに気がついた。

 方向転換して、こちらに来ようとする。


 一乃が妖を真っ直ぐ見た。

 躊躇わず、手を突き出した。


 手から閃光が生まれ、大きな妖の体を貫いた。


「……一乃!」


「一乃様!!」

 それと同時に、崩れかけた建物から環奈が飛び出してきた。


 フッと光が消え、一乃がその場で倒れ込む。


 母屋の方を見ると、妖が崩れ落ちていく最中だった。

「環奈、一乃を担げるか?」

「はい!」

「……一緒に行くぞ!」

 紅葉を担いで、環奈と一緒に一宮家を出た。





 ―――


「……椎名様にとって、一宮は――」

 秘書が聞く。


 照星が言った。

「……親友の、置き土産だ」




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