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星の宮の妖祓い  作者: 春伊
第5章
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3話②


 一乃がベッドで寝ている。

 昨夜、仕事部屋で倒れたらしい。

 夜に仕事をしなければいけないほど忙しいのか。


 あまり自分自身のことは話さない子だ。

 体調が悪いことも言わなかったのだろう。


 朝晴がここまで運んだと言うが、もし彼がいなかったら部屋で倒れたままだったのか……

「はぁ……」

 

 先日、奈取と夜月が捕まったこともあり「星の宮」は大忙しだ。


 特に奈取。

 元「星の宮」の人間。

 当時の五宮と「星の宮(ここ)」を去った。


 出来れば穏便に済ませたい。

 旧知の人間をどう扱えばいいのだろう。

 「星の宮(ここ)」のまとめ役としてどんな判断を下せばいいのだろう。


 

「失礼します」

 環奈が顔を出した。

 朝に来て、再度来たようだ。


「椎名様……」

 環奈が小さい声で言う。

「一乃は変わっていない。環奈も無理するなよ」

「はい」


 照星が立ち上がった。

 まだまだやらなきゃいけない事が沢山ある。

 


 廊下に出ると男の秘書が待っていた。

「椎名様は、一宮という人間に随分肩入れされていますが……」

「露骨か?」

「少しは」

「そうか、直すようにする」

「その……椎名様にとって、一宮は――」






 ―――


「照星さん」

 珍しく、1人で一宮家の離れに来てみた。

 紅葉は後で来るだろう。

 三宮に捕まって仕事の話をしていた。


 一乃と2人で縁側に座った。

 初めて2人きりかもしれない。


「照星さん」

 一乃がもう一度呼ぶ。

「ん?」

 そちらを見ようとすると、

 一乃が風呂敷を勢いよく広げた。


 小さな紙が一気に舞いあがった。

 ハラハラと落ちてくる。


 紙吹雪だ。


 一乃の顔が見なくなるほど、小さな紙が目の前を落ちていく。


 全て落ち切ったところで照星が口を開いた。


「……どうした?」

「先生が、お祝いするなら、こうするって」

 一乃が真面目な顔で照星を見る。

「……」

「えらい人になったんですよね」


 どうしてだか、ニコリとも笑わない一乃を見て笑いがこみ上げてきた。

「……はははは!」

「?」

「いいな、これ。一乃が作ったのか?」

「? はい」

「鋏、よく使えたな」

 照星が紙切れを1枚拾う。


「練習しました」

「……そうか。一回だけじゃもったいない、もう一回やろう」

 照星が床に落ちた紙を手でかき集める。

「? はい」





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