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星の宮の妖祓い  作者: 春伊
第5章
73/88

1話②

一乃と先生のお話をもう一つ。


 熱い。


 梅雨がまだ明けず、蒸し蒸しとしていた。

 環奈曰く、熱が出たらしい。

 実家の離れで布団を敷いてもらって朝からずっと寝ていた。

 環奈は母屋で仕事があるようで、飲み物を夕方に持って来てくれたっきり、離れには来ていない。

 

 つまらない……

 でも、体は辛い。

 頭も重い……


 横目で外を見ても雨が降っているだけ。


 ……寝よう。


 早く、楽になりますように。


 ……



 ん?


 気配がする。


 まぶたが重い……


 目を開けて、縁側の方を見た。


 先生?


 白髪の人がこちらに背を向けてる。

 周りには紙が散らばっていた。


「せん……せ?」

 先生が振り向いた。

「ああ、起こしちゃった?」

 何かを書いていたのか、筆を持っていた。

「大丈夫? 水飲む?」

「……はい」

 先生が湯飲みに水を入れてくれた。

 飲むと熱い体に、冷えた水が通っていく。


「まだ熱があるね」


 環奈と一緒。

 おでこに手のひらを当てる。

 手がひんやり気持ちいい。


「ゆっくり休んでね」

「……先生」

「うん」

「まだ……ここにいますか?」

「?」

「……い、て……」


「いるよ」


「大丈夫」



「そうだ、早く良くなるようにこれをあげよう」

「?」

 先生が、床でなにやら手を動かす。

 鼻歌を歌いながら紙を折っている。

「……ほら、できた。はい」

「? なんですか、これ……」

「折り紙」

「おりがみ?」

「うん、鶴を作ってみたよ」


 紙が何回も折られ、鳥のような形をしている。

 背中の部分を膨らませ翼を広げてくれた。

 手に乗せて見てみる。

 

 初めて見た。

「気に入った? 枕元にでも置いてね」


 鶴を枕の隣に置いた。


 鶴を隣にして、もう一度布団に入る。


 先生を見た。

 床に散らばった紙をかき集め、パラパラ見ている。


「ん? どうした?」

「……いいえ……」

「何か面白い話をしようか」

「おもしろい?」

「あ、ハードルは上げないでね」

「?」

「何がいい? 仕事の話し? 照星の話でもいいよ」

「……先生の、話しがいい」

「俺?」

「はい」

「……そうだなー、じゃあ……」






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