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星の宮の妖祓い  作者: 春伊
第4章
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3話②


 夜月が一乃と明蘭を見る。


 一宮という人間は太陽が出ていれば力がないと聞いていた。

 話が違う。

 今はある。

 ……でも噂で聞いていた程ではない。


 それよりも、隣の青い女の方だ。

 あまり見たことのない類の力が感じられる。

 不思議だ。

 「星の宮(あそこ)」の土地の力と繋がっているような気さえする。



「一乃さん、助っ人呼んでもいい?」

「? はい」

「私、戦闘型じゃないから」

「? はい?」


 明蘭が懐から扇を出した。

 一度、縦に振る。

 横についている鈴が小さく鳴った。


「あ、今いい? 来て?」

 まるで目の前に相手がいるかのように話す。


 もう一度、明蘭が扇を縦に振った。

 鈴がもう1つあるかのように音が重なって聞こえる。


「どうしたの?」

 上から声がした。



「ごめんね、晴蘭(せいらん)



 明蘭の付人の、晴蘭が木の枝の上にしゃがんでいた。

「ぜーんぜん? で、どうしたの?」

「この方と、お手合わせ願おうと思っているの」

 明蘭が丁寧に手を夜月に向ける。


「お手合わせ? 喧嘩中?」

「売ってきたのは向こうよ」

「それを買ったの?」

「今から買うのよ」

「はあ……」

 晴蘭が頭をぼりぼりかいた。


「まぁ、いいけど……」


 「よっ」と言って枝から飛び降りてきた。

「一乃ちゃんはいいの?」

 晴蘭が心配そうに聞く。

「はい」


「……うちのお姫様たちは元気だなぁ……」


 晴蘭が夜月を見る。


「あっちも女子だし……」


 明蘭が扇を構える。

 晴蘭が右足で地面を2回叩いた。

 叩いた地面から扇が出てくる。


 扇をサッと開き、明蘭の隣に並んだ。


「なによ? あんたたち……」


「なあに、急に?」

「怖気ついた?」


「そもそも他人の土地に入ってきて、やっていい事とダメな事の分別がつかない訳?」

「明、ここ別に敷地外だよ」

「隣じゃない。似たようなもんよ」

「まぁ、……月のなんとかの土地ではないけどね」

「そうでしょ? 何かやらかして「星の宮(こっち)」に被害があったらたまったもんじゃないわ」


「……な、なによ」


「いいじゃない、売ってきたのはそっちなんだから、遊びましょうよ。どうせ他人ん地なんでしょ?」

「明……さっきと言ってること全然違うよ。開き直らないで?」

「うるさいわね」



「……」

 夜月が懐から何かを出した。

 持ち手の先に金色の鈴が3段に並んで付いている。

 シャンッと綺麗な音が鳴った。


「神楽鈴?」

「……「月の杜」は神社なの?」


「そうよ、知らなかったの?」

 朝晴から聞いたこともない。

 黙る2人に夜月が煽る。

「知りもしないか。来たことも、何処にあるのかも分からないもんね」


「……確かにそうね」

 明蘭が冷静に答えた。


 夜月が神楽鈴を右から左へ3回鳴らす。

 鳴らした箇所から、黒いモヤが出てきた。

 次第に形作られていく。


 右から順番に、ウサギ、猫、鳥の形になった。


「行くよ?」

 夜月が神楽鈴を構える。


 鳴らすと同時に、動物たちが分裂して動き出した。






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