2話④
2話は過去のお話と本編のお話があります。
今回は本編です。
何気なく、廊下を歩いていた。
空には、半月がのぼり、小さな星もチラチラ光っている。
今日は、帳簿の間違いを見つける事が出来てすっきりした日だった。
でも、なぜか眠れない。
眠れない日は散歩に限る。
何も考えたくない。
「……あれ?」
明かりの付いている部屋がある。
日中にいた一宮の仕事部屋だ。
どうしたのだろう。
仕事がまだ忙しいのか。
部屋の前まで来ると、本当にいるのか?というくらい部屋の中は静かだ。
コンコン
扉を叩いてみた。
「はい」
いつもの、のんびりした声が返ってくる。
朝晴がサッと扉を開けた。
「一乃ちゃん」
一乃が寝巻きを着て、自分の椅子に座っている。
「どうしたの? 仕事、終わらなかった?」
「いいえ……眠れなくて……」
「そっか……」
朝晴が机を挟んで一乃の向かい側にある椅子に腰をかける。
「朝晴さんは?」
「……俺も寝れない」
「……うるさいですか?」
「音は鳴ってないよ、でも、なんでかな? 寝れなくてね」
「一乃ちゃんは大丈夫? なにか考え事?」
「思い出してしまって……」
「?」
「……朝晴さんは、考え事ですか?」
一乃に真っ直ぐ見られ、口をつぐんでしまった。
少し、目線を下に落としてしまう。
「妹さんですか?」
「……うん、そうだね」
「久しぶりにお会いしたと」
「そう、11年ぶりだったよ。なにも変わっていなかったな。大人びていたけど」
朝晴が少しだけ笑って言った。
一乃がその様子を見て質問した。
「嬉しかったですか?」
「え?」
「会えて」
朝晴が考える。
目線を横に移した。
「うーん、複雑かな」
「複雑ですか」
「うん、嬉しいような、驚きとかいうか……」
「申し訳なさもあるというか……」
「謝りたいことがあるんですか」
「うーーん、それもちょっと違うような」
「?」
「難しい」
「でも……」
今度はちゃんと一乃を真っ直ぐ見る。
「もう一度、会って、話してみたいな」
あ、っと続ける朝晴。
「緊張して出来ないかも」
「兄妹でも?」
「あはは、兄妹でも」
困ったように朝晴は笑った。
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