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星の宮の妖祓い  作者: 春伊
第3章
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4話④


 朝晴が自室に戻って行った後、一乃は何度も練習してみた。

 

 引っ張り出してきてもらった力は、量もそんなになく扱い。

 太陽を見ながら、自分の力を感じられるなんて思いもしなかった。


 何回目だろう。

 紙を1枚取り出して、力を込めてみる。


 小さな風が、目の前に生まれ、持っている紙が揺れる。

 少しだけ熱くなると、パッと紙から鳥が生まれた。


 どちらかと言うと、折り紙の鶴のようだ。

 カクカクしている。


「……」


「お疲れ様」

「難しいですね」

「何かを生み出すのは大変だからね」

「……」


「そういえば、あの人は上手だったな」

「?」

「報告書で読んだよ。奈取さんが来たんだってね」

「奈取さん」

「うん、『おわー』の」

「お知り合いでしたか?」

「あの人は前、「星の宮」にいたからね」


「よく、術で動物を作っては逃げてたなぁって思い出した」

「……」


「もう終わりにしようか。あまりやっていても疲れるだけだし」


「……」

 一乃が東側の空を見る。



「え?」



 ズンッと空気が揺れた。


 一乃が反応する。

「壊れる……」


 急いで立ち上がり、2階へ駆け上る。

 東へと走り、行き止まりの廊下の窓から外を見た。


 何か見える。


「あれは……」

 凪は青い眼で遠くを見た。


 見たことがある。



 約1年前、一宮家に現れ、全てを破壊した妖がいた。


 自分は「星の宮」にいたが、2階からあの光景をずっと見ていた。

 崩れていく家、橙色に染まっていく建物。

 遠くからでも聞こえる叫び声や怒号。

 災害と言った方が似つかわしい。

 あれは、”最悪”だった。



 似ている。

 空気が、重みが、圧が……


 今、「星の宮」の結界の外にいる。


「っ……」

 一乃が少し揺れた。


 妖が結界を叩く。

 

 あの一宮が作った結界が、揺れる。

 押されているのはこっちだ。


「……」


「一宮、行こう。結界が破られるかもしれない」


「一宮?」



 一乃は何も言わず、手をきつく握りしめている。



 似ている。

 あの時と一緒。



 不完全ではある。

 


 でも、


 あれは、



 あの日、先生を奪った、あの――




「一宮」


 一乃がやっと凪を見た。


 眼が、青色が、きらきらとした青が、濁っていく。


「大丈夫、ここで、待ってて」




お読みいただきありがとうございました。

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