4話③
「よ!」
今度は、明るい声が響いた。
声が聞こえた方を見る。
今度は朝晴が立っていた。
「二宮とそこで会って、いるって聞いたから、来てみたぞ」
どっこいしょ、と2人の間に座る。
「ああ、これか」
と、1枚紙を取り出した。
「勉強熱心だな……って……あれ?」
朝晴が一乃を見る。
「……凪か」
「うん」
「へぇー、すごいな」
じー、と一乃を見る。
「さすがだな」
「昔、朝晴さんは部屋の照明を壊してたって聞きました」
「え、俺?」
「……忘れた?」
「あー、いやー」
「大広間の廊下の照明3つ壊してたよ」
「……よく覚えてるな」
「椎名様が、カンカンだったからね」
「あー……」
2人の会話に一乃が申し訳なさそうに入る。
「あの……それで、それから、どうやって出来るようになったんですか?」
「え? ああ、練習かな。何回も何回も練習したよ。凪に付き合ってもらって」
「……」
「凪は教え方が上手いからな〜」
「じゃあ……その練習の成果を出してみてよ」
「今?」
「今」
朝晴が庭に向かって手を出した。
一乃と凪も庭に目を向ける。
なにも起きない……
が、地面に落ちている枯れ葉がチラチラと動き始めた。
次第に1枚、2枚……と増えていき、風の渦が出来る。
小さな竜巻が出来上がった。
ふよふよと目の前を、左右に行ったり来たり。
その度に、周りの枯葉を巻き上げた。
段々と大きくなり、大人の腰くらいの大きさになった。
一乃の長い髪が吸い寄せられる。
朝晴が一度、パンッと両手を叩いた。
竜巻が弾け飛ぶ。
枯れ葉が勢いよく、辺りに散らばった。
「まとめて置いておいたほうが掃除しやすかったかもよ」
「……失念していた」
一乃はまだ、竜巻があった方を見ている。
「一乃ちゃんは、なにを練習するんだ?」
「力の使い方を」
「? 使えてるだろ?」
「あまり加減が分からなくて……」
「力の加減?」
「……」
朝晴は少し考えた後、手を出した。
「一乃ちゃん、手を出して」
「?」
「ここ、ここに集中してごらん、それで……想像するんだ」
朝晴が一乃の手のひらの中心に筆で小さく丸を書いた。
「力は流れだ。いつも流れてる。大きくするか、小さくするか、それも想像」
「大丈夫だよ」
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