4話②
「ここか」
今度は男の声がした。
振り向くと、龍臣が立っている。
「四宮とすれ違って、ここにいるって聞いたから来てみた」
2人の隣にしゃがむ。
「何をしてるんだ?」
手元を覗き込んだ。
「凪さんに術の使い方を教えてもらっていました」
「術? でも今は……」
龍臣が一乃を見た。
「……ある」
「?」
「……一乃の中に、三宮と一乃の力がある」
意表を突かれた顔をする龍臣。
「……らしいです」
「? なんでだ?」
「……詳しくはよく分かりません」
「そうか」
龍臣が凪をチラッと見た。
説明してくれの顔をする。
「……ちょ、ちょっと引き出してみたんだ」
「……引き出す? そんな事が出来るのか?」
食い気味に詰め寄る龍臣に押される凪。
「う、うん……一応……。少し面倒だし……一宮の場合、たぶん一定期間しか使えないけど……」
「……」
驚きの龍臣。
しげしげと一乃を見る。
「龍臣さんは、昔、術符を使った事があるとおっしゃっていましたね」
「あ、ああ……」
「今も出来ますか?」
「……まぁ」
龍臣が紙と筆を受け取とる。
紙に複雑な紋様を描いた。
今までに見た事がない紋様だ。
「描くのは随分久しぶりだな。意外と体が覚えているものだな」
龍臣が紋様の描かれた紙を手のひらに乗せる。
優しく、フッと息を吹いた。
すると、紙がうねり、ひとりでに動き出す。
クルクルと回転し、丸くまとまったかと思うと、龍臣の手のひらに、小さな黒色の鳥が生まれた。
龍臣が手を空に払うと、鳥が空高く羽ばたいていく。
「……これは、初めて習ったときの術だ」
「目眩し用だな」
「……」
一乃が空を見上げ続ける。
鳥は見えない高さまで飛んでいってしまった。
「一乃にだって出来ると思うぞ、やり方はそんな難しくない」
「龍臣様」
廊下の奥から声がした。
桔梗が立っている。
「お客様がお見えですよ」
「ああ、分かった。今行く」
「じゃあ、頑張れ」
龍臣は桔梗と一緒に行ってしまった。
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