5話 双子 ①
祭りから数日たったある日。
今日も晴天、雲1つもない空が広がっている。
午前から気温はぐんぐん上がり、庭には陽炎が見えるくらいだ。
時折、吹く優しい風がなんとも心地いい。
一宮の仕事部屋に、一乃と明蘭の2人がいる。
明蘭が一乃の机に、何冊か本を持って来た。
読み込まれているのか、表紙の端が少し破れている。
「一乃さんはどこが面白かった?」
明蘭が目を輝かせて質問する。
「……私は、1巻でしょうか」
「1巻ね! 分かる! 主人公と親友の掛け合いが良いわよね」
小説の話をしているらしい。
確かに晴蘭が、「明蘭は本を読むことが好きだ」と言っていた。
好きな話題になると、ここまで明るい人になるとは。
「一乃さんは4巻まで読んだことがあるって言ってたわよね」
「はい」
「じゃあ、これ! 全部貸すから暇なときにでも読んで」
一乃が目をぱちくりする。
「いいんですか?」
「ええ、読みたくなったら、私もこの部屋に来るから」
「……ありがとうございます」
一方、廊下では、扉の前で晴蘭と朝晴が膝を立てて床に座っている。
龍臣が廊下の奥からやって来た。
「……何をしているんだ?」
やれやれとした顔で晴蘭が扉の方に親指を向ける。
「女子会だよ。女子会」
「は?」
「男子禁制。終わるまでここで待ってるの」
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