表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の宮の妖祓い  作者: 春伊
第2章
30/88

3話②


 朝からいい天気だった。

 雲1つない空とは、まさにこの事。

 どこまでも青い澄んだ空が広がる。

 太陽は容赦なく、光と熱を放っていた。



 今日は年に一度の祭りの日。

 「星の宮」はこの連日、大忙しだった。

 祭事の準備、出店関係者の打合せ、遠方より来る来賓者の調整、とにかくやる事が目白押しだ。


 廊下を歩く人の数も一段と多い。

 

 行き交う足音を聞きながら、一乃は部屋で書類をまとめていた。

 環奈もずっと忙しそうだ。

 あまり一緒に過ごすことが出来ない。


 机には環奈が置いていった、薄紫色の羽が特徴的な鳥の人形が置いてある。

 緊急の時に使用する通信機器のような鳥。

 一乃は右手の人差し指で鳥を撫でた。


 すると――


 コンコン


 扉を叩く音がする。

「こんにちはー」

 聞いたことのある声が聞こえてきた。

「はい」

 一乃が答えると、扉が開かれる。

 

「やあ」

 四宮の付人、晴蘭が顔を出した。

「今いい?」

「はい、どうぞ」

 晴蘭が、ひょこひょこ部屋に入って来て、一乃の前の椅子に座る。

 机に両肘を付いて、笑って言った。

「明蘭が忙しそうでさー。今から着替えるからって追い出されちゃった」

「そうでしたか」


 ふふーん、と鼻歌を歌いながら晴蘭が一乃に話しかける。

「一乃ちゃん、好きなものとかある?」

「好きなもの?」

「そう、例えば……俺は昼寝とか?」

「お昼寝ですか」

「なんでもいい、食べ物でもいいよ。俺はおにぎりが好き」


「……」


 下を向いて考え込んでしまった一乃を見て、晴蘭は慌てる。

「あ、ごめん、ごめん。無理に考えなくてもいいんだ。ちょっと気になっただけだからさ。……また分かったら教えてよ」

「……はい」


(……私の好きなものってなんだろう?)

 一乃が考える。


「明蘭はね、かわいいものが好きなんだよ。子どもの時にもらったウサギのぬいぐるみまだ持っているんだ」

「明蘭さん、かわいらしいですね」

「あはは、そうだよね。あと……本読むことも好き。家に沢山、本があったんだよ」

 晴蘭が嬉しそうに言う。


「でね、辛いものとか静電気が嫌いなの」

「せいでんき?」

「扉に触るとたまに、バチッ! ってならない? あれだよ。ちょっと痛いんだよね」


「今日もなにもないといいなー」

 頬杖をつきながら晴蘭が言った。

 そんな晴蘭を見て、一乃が言う。

「緊張しますか?」

「ううん。俺は大丈夫。きっと明の方が緊張しているだろうね」



 ―――


 祭りがもうすぐで始まる。

 一乃と晴蘭は共に大広間へ行くことにした。

 あそこで、明蘭の舞が披露される。


 廊下に出ようと扉を開けた時。

「おっと……」

 五宮朝晴が顔を出した。

「あ、五宮さん。一乃ちゃんと祭りに行くけど一緒に行く?」

 晴蘭が朝晴に聞いた。

「……あ、ああ」

 珍しく歯切れの悪い返事をする。

 その様子を見ていた一乃が朝晴の背中をさすった。

「一緒に行きましょう」

「……」

 少しだけ考えていた朝晴がニカッと笑う。

「そうだな。せっかくの祭りだもんな」




お読みいただきありがとうございました。

少しでも気になった方は、いいね、ブックマークして頂けると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ