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星の宮の妖祓い  作者: 春伊
第2章
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1話④

 風が大きく大広間を抜ける。

 環奈が庭の方を見て言った。

「正午を回ったのでしょうか。もう飛んできませんね」


 矢が飛んでくる方向には必ず、朝顔が咲いていた。正午になれば矢は飛んでこない。

 朝顔は一般には朝に花を咲かせ、夕方には花を閉じるといわれている。

 勘づかせないための細工なのか。


 先ほど、龍臣が朝顔に触れると灰のように崩れ落ちた。

 そして「星の宮」に対抗する「月の杜(つきのもり)」が使う、文様が入った紙が出現したのだ。

 


 龍臣の持っている紙切れを全員が覗いて見てみる。

 明蘭が口を開いた。



「これが、前に言っていた「月の杜」っていう人たちが使っていた文様なんでしょ? その人たちが犯人っていうこと?」

「そうなるが……四宮は知っていたか? 過去に会ったことがあるとか?」

「いいえ、あなたたちの”動物襲撃事件”の報告書で初めて知ったし、面識もないわ」

「なぜ四宮様を狙うのでしょうか? 踊ってほしくない人?」

 

 環奈の疑問に朝晴が話し始める。

「そもそも、祭りっていうのは神や仏などを祀る儀式のことだ。「星の宮」にとっての祭りは、この土地の力を強くするために行うんだ」

「土地を強くするため? 土地神様みたいなものですか?」

「まぁ、そうだな、四宮家は代々、「星の宮」の祭事の時には舞を踊ってきた。それなりの力があるって訳だ。明蘭ちゃんの舞には」

「力が付くと、具体的にどんないいことがあるんです?」

「妖は現れない、術者は術を上手く使えるようになる、「星の宮」の住人の力が向上する……などなど」

「なるほど……四宮様はすごいのですね」



「「星の宮」に力が付いてほしくない、と言ったら、やっぱり「月の杜」だよな」

「彼らと言ったら、五宮様、あの奈取(なとり)という男と知り合いでしたね」

 環奈の言葉に朝晴は頭をかく。


「ああ」

「あいつが「星の宮」にいた時に知り合ったのか?」

 今度は龍臣が聞いた。


「いいや、妹だ――妹が「月の杜」にいる」


「ええーーー!!??」


 その場にいた全員が驚いた。

 気にせず、朝晴は続ける。


「反抗期で家を飛び出したんだ」

「やばくないか?」

「やばいよ☆」

 親指を立てながら朝晴が言った。



 すると――



「ごめんくださいー」



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