4話③
「お勤めご苦労様です。兄上。このような、所でお会い出来るなんて思ってもいませんでした。今は、どうされました?お暇を頂いているんです?」
憎たらしい笑顔で、こちらを見て来る。
「仕事が片付いたから息抜きをしているだけだ」
「そうでしたか、兄上くらいとなれば、さぞ、どんな業務も片手間でやって退けそうですね」
両手をポンと叩いて嬉しそうに話す。後ろの従者は龍臣に首は垂れるものの挨拶はしない。
「そうそう、小耳にはさみました。今、あの一宮様と共同で任務を任されているそうですね。俺は心配で」
「心配?」
「一宮様が兄上のお邪魔になっているんじゃないかと思いまして。だって兄上お1人でも簡単に出来てしまうような任務ですよね?動物退治でしたっけ?」
「……」
わざと腹立たしく話すのは、雪臣の昔からのやり方だ。相手を怒らせ、駆け寄って来た大人に泣きついて味方につける。いつも、味方につくのは雪臣だった。
「俺の任務のことはいい、これは俺の問題だ。今日は、どうして「星の宮」に来たんだ?」
「これから椎名様の所へ行くんです。お呼びがありました」
「椎名様から呼び出し? どうしてまた……」
「聞いておられないのですか? 兄上には……いえ、今はお聞きにならなくてもよろしいです」
「! どういう……」
「俺は急いでいますので、ここで失礼させていただきます」
龍臣の前を鼻を上げて通り過ぎる。後ろの従者もお辞儀だけして、雪臣に着いて行った。
(聞いていない……なぜ? ……いいや、考えるな。どうせ、また怒らせるための言い回しだ)
悶々と、様々な考えが頭をよぎる。
「チッ」
実母はいなくなった。継母との間に男の子が生まれた。もう、自分は見てもらえないのか。
二宮の人間が1つの任務を遂行するのに、なにをくすぶっている。
「副頭領として雪臣を推薦したい。助力をお願い申し上げます」
誰よりもあなた様を知っています――
……なぜ?なぜ?どうして?
龍臣が勢いよく扉を開けた。
「!」
中にいた人物が、その音に驚く。
龍臣の表情に気がついた。心配そうな顔で覗きこむ。
「龍臣さん? 大丈夫ですか?」
一乃が持っていた書類を机に置き、近寄って来た。
「一宮」
「はい」
龍臣が一乃の腕を掴んだ。
「お前は、どうして……」
「?」
「……お前はなにをやったんだ? 何が出来るんだ? 今までも、これからも……部屋に引きこもって書類整理。術の事も知らない」
「……」
「なぜあの人からは一目置かれているんだ! お前はなんなんだ!! 力がないんだろう? なにも知らないくせに! 五宮からも目をかけられて!!」
「た、龍臣さん……」
「一宮っていうのは、そんなに偉いのか? 血がそんなに大事なのか!? 一も二も三も四も五も同じ人間だろう!」
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