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隠れ家の主


 螺旋階段を勢いよく登る4人・・・・。




 ギャラリーから通報された警察から逃げていました。




 3Fに着き、みなみがフロアに入ります。




みなみ「・・・・もう少しでセーフゾーンだ。」




 この先にゲームのバイオハザードのセーブゾーンのような場所があるそうでした。本当だろうか・・・・・。




ポン「僕、このビルはじめて来ました!!」




ハク「私も!こんなビルあったんだね!」




 『fan』と書かれた看板のお店に入る一同・・・・。






 店内は赤を基調としたとてもシンプルなスナックでした。カウンターが8席、ボックスが小さいの含めて4席ほどある落ち着きのあるお店でした。






みなみ「はー・・・・・・はー・・・着いたぞ・・・・。」




 みなみはボックス席に身を投げ出します。ネクタイを緩めます。




ポン「僕・・・久しぶりに・・・走りました!心臓が潰れそうです!・・・」




にしま「あんな嫌味なよくわからん人間が同業者で居るんだな・・・・。」




みなみ「あれはマンダと言って、俺達の商売仇だ。今まで何回もあいつのフカシを受けて仕事を邪魔されている。・・・・もう遠慮する事はないわ、いよいよきたのに手を出しやがった・・・。きたのの会社の恐ろしさを知らない馬鹿だとは思わなかったな。」




ハク「私、あの人苦手かも!なんか目つきが嫌らしい感じがして・・・・。」




にしま「スーツも、学校の制服みたいにみんな同じのものを着て・・・。」




みなみ「あいつの会社で派遣登録してる人間からも評判が悪いからな。あのクソダサいスーツも大方どこかの利権絡み案件だと思う。・・・何故あんなに売り上げがいいのか。・・・まぁ、いずれ分かるさ・・・。この業界に居ればいずれ・・・。どっちが正しいかなんて一目瞭然だ」




 皆考えている事は同じでした。何故そこまでして皆マンダの派遣会社である「マンズ企画」で働きたいのでしょうか。




 ガチャ・・・。




 紫色のドレスを着た長身でスタイルの良い、先程の女性がゆっくりと店に入ってきました。




 この女性・・・先程下で見た時から表情が一つも変わりません。顎を引いて、とても凛々しい顔をしていました。・・・表現が少し難しいのですが、とてもシャキッとした顔つきをしていました。




みなみ「助かったよ、アリス。」






アリス「あんたやりすぎよ、最近治安が悪くなってるっていうのに。警察がそこら中に居るのよ?」




 ここはみなみの知り合いのお店でした。少し酒焼けした声のこの強そうな女性がこのスナックのママだそうでした。




みなみ「やりすぎも何も、マンダの方から絡んできたんだよ。」




にしま・ハク(さっきも思ったけど・・・この女の人・・・・誰?・・・・)






 ガチャ・・・・




 この店のボーイと思われる、金髪で白いシャツの男性が入ってきました。




みなみ「・・よぉ、パオ。」




パオ「・・・み、みなみさんお疲れ様です。外が今凄い騒ぎになってますよ。今日は何したんですか?」




みなみ「ちょっと揉めてな。マンズ企画の連中と」




パオ「この前もですけど、きたのさんのとこの若い奴等と川沿いで揉めてたでしょ。」




みなみ「揉めたよ。感謝してない人間が居て、少し心外だったんだよ。こっちだって危ない橋渡ってんだよ・・・。でも俺もにしまも一切向こうに手を出してないからな。当日暴れていたのはきたのと、幹部のカンだ。・・・もし捕まるならあいつらが捕まればいいんだよ(笑)」




パオ「ほどほどにしとかないと、本当にやられちゃいますよ・・・。とにかくここに居たら安全です。暫く居てください。・・・ママ、とりあえず奥の部屋に入ってもらいましょうよ。」




 奥からもう一人、様々な色で髪を染めている若いドレス姿の女性がOKサインをしながら出てきました。






アリス「もう準備済みよ。」




ハク「みなみとは何回も飲みに行ってるんだけど、ここははじめて!」




にしま「逃げ場に使うってことは、ここはみなみの隠れ家だな・・・。俺達が来たことで迷惑が先方にかからなければいいけど・・・・。」




 店の奥には、外側からでは全くわからない隠し部屋のような部屋がありました。扉は吊ってある板のような物を取り外して入るようなタイプの扉でした。声さえ出さなければ、恐らく見つかりません。




にしま「てか、さっきのマンダの話だけど・・・きたのとのレートの話?ホントなんか?」




 笑い出すみなみ。




 みなみ「おいおい、お前あんな話を本気にしてんのか?・・・んなわけねーだろ(笑)俺がそれやったら、俺がきたのに殺されちまうぞ(笑)・・・その件は俺に任せろ。3人ともその時が来るまで内密に頼むぞ。口外するとこっちの立場が悪くなるからな。」




ハク「うん・・・まぁ無茶はしないでね。」




ポン「はぁーい!!内緒にしまぁーす!!」




 恐らくみなみは、何かをきたのと組んでやっています。俺達に飛び火がいかないように敢えて詳しい事を教えてくれないような、一瞬そのような表情をしたのを俺は見逃せませんでした。




 それから暫くみなみから俺達に話がありましたが、どうやらマンダはきたのに手を出したようです。きたのがあの程度の人間に簡単にやられるわけがありませんが、アガリに直結し、売り上げに響く可能性がある為、キャストを供給するこちら側も気が抜けません。




 ・・・きたのの恐ろしさは昔から分かっています。特に俺もみなみも・・・子どもの頃、散々やられています・・・。




 でももし、その事でみなみが下手をうったら・・・・、




 きたのが動き出し、こちらも何事も無かったようにやられてしまいそうです。






アリス「そういえばこの前、チュンさんとハツモトくんが来たよ。」




みなみ「・・・マジで?珍しいな。」




アリス「そんなことないわ。逃げる時だけ来るあんたとは違って、大体半月に1回くらい来るわよ。・・・・もしかしてあなた達が今回入社した3人組??」




にしま「・・・・あ、そうです。」




ポン「はぁーい!」




 ハクはなんだか、不思議そうな表情をしていました。




ハク「・・・私達の会社の人間ととても親しそうですけど・・どういう関係なんでしょうか?・・・・」




 慌てて割って入るみなみ。










みなみ「あーハク、この人は全然怪しい人じゃないよ。・・・この人OGだから、オーラスの。・・俺の元上司。」




3人「マジで?!?!」




 思わず立ち上がってしまう俺とポン・・・・・




2人「あの・・・はじめまして。」




アリス「いやいいのよ、もう辞めたんだから。」




 社歴(正社員になった順番)は順子さん→チュンさん→アリスさん→ハツモトさん→みなみ→ハク→にしま→ポンの順番でした。




みなみ「ハツモトさんの方がアリスより少し年上だけどアリスの方が社歴は上なんだよ。」




アリス「そういう事を言うと、私の年齢が分かるじゃないのよ(笑)」




にしま「でもお前・・・・元上司になんでタメ口なんだ?・・・」




 ちらっとアリスの方を見るみなみ。




アリス「・・・どうぞ?・・・」




みなみ「・・・・付き合ってたんだ・・・。仕事中は敬語だったけど。」




にしま「えええ?!・・・それってオフィスラブじゃねーか!!」




アリス「オフィスラブと言うほど、明るい会社じゃないでしょう(笑)まぁ・・・もぉ何年も前の話よ。」




 私以外の全員驚愕の事実に声が出なくなりました。みなみと付き合っていた事にもビックリですが、この会社のOGがこんな近くに居たのです。しかも幹部クラス・・・。その幹部と付き合っていたみなみ・・・。

 もし悪い別れ方をしていたらどうなっていたのでしょうか・・・。




ハク「ほんとに?・・・ほんとに付き合ってたの?」




みなみ「そうだよ、なんだよ悪いかよ(笑)・・・終わった話なんだよ、もう。」




アリス「あれ?・・・この子はみなみの新しい彼女?かわいいじゃない、・・・すごく色白ねぇ♬・・・羨ましい♬うちで働いてみなさいよ。どう?みなみ、内勤週3にしてこの子を週2〜3でうちにいれてもらえない?この子が来るならレート上げて貰ってもいいけど。」




みなみ「彼女じゃねーよ。・・・それは今は難しいな、外勤係で他の重要取引先に入れててな、ハクは結構忙しくしてるんだよ。それでもアリスんとこなら入れてもいいような気がするけどなぁ・・・・」




ハク「いや・・・私・・・いい・・・・。アリスさんの邪魔になっちゃうから。どうせ私にはお客さんつかないから。」


アリス「そんなことないわよ。ここで勉強すれば、最終的にあなたがお店を経営できるまでにしてあげるわ。最近みなみがきたののとこばかり女の子を入れるから、おかげでこっちは人手不足。」




みなみ「他に入れてるのは知ってるんだな。」




アリス「もちろん、全て分かってるわ。そりゃあきたのの店の方がアガリはいいからね。…しかしこんないい子を切り札に残してたなんてビックリよ。・・・気が向いたら来てね、ハクちゃん。」




 ハクには一つ気になる事がありました・・・。




ハク「あの・・・・アリスさんはなんでオーラスを辞めたの?」




アリス「私は元々自分の店を出すためにオーラスに入ったの。出店資金が溜まってね。それでみなみが育った頃合いを見て、オーラスから出ることにしたのよ。・・・・でもいい所に入ったわね3人とも。オーラスはガチの実力至上主義よ、1年目だろうが、10年目だろうが。本当にやればやるほど、己のやり方1つで給料がものすごい勢いでグングン上がっていくわ。・・・もぉ一度上がると止まれなくなる。固定給より圧倒的にインセンティブが高いのがこの会社の特徴だからね。私は会社の雰囲気も好きだったけど、その特徴が大好きだったのよ。しかもちゃんとボーナスまであるし。たとえ事務員でも人材をしっかり入れれば、それで営業と同じようにインセンティブが付くからね。オールセールスが基本の会社よ。・・・・あの今経理されてる順子さんなんか昔はもっともっと厳しくて凄かったんだから(笑)何回あの人にダメ出し受けて辞めようと思ったか・・・・(笑)。あの人の営業記録を抜いた社員は・・・未だに居ないはずよ。」




ハク「順子さんが?・・・・へぇ、そうなんだ・・・・。」




 ハクは事務員の順子さんにとても可愛がられていました。誰を正社員で入社させるのか、会議の時に自分の後継者として真っ先にハクの名前を挙げたといいます。所長のチュンさんも最優先でハクの獲得に動いたそうでした。




みなみ「俺の中で怖いと言えばアリス。部下に言い過ぎて一体何人辞めさせたんだよ(笑)」




アリス「昔の話よ、今は丸くなってしまって全然そんなことない。・・・ハクちゃん、怖くないよ大丈夫だから。うちで働きなさい。みなみなんか通さなくていいから、黙ってチョクでやりましょう。」




 アリスさんはどうしてもハクを雇いたくて仕方がない様子でした。しかしこのアリスさんと言うOG・・・・。やはり元幹部・・・、女性でありながら過去のオーラスを仕切っていたと謂れのある凄みのある人間でした。大変失礼ですが・・・見た目もなんだったら・・・少し怖い・・・・。



みなみ「駄目だ(笑)チョクは駄目(笑)契約してんだわ。正社員の。休日の空き時間で勝手にやってその分の申告を自分でやればいいけど、基本的にはコンプライアンス違反になる」




アリス「本当にこの子ほしいわ・・・・、仕事半分でオーラスの事色々教えてあげる。電話番号交換しましょう。・・・みなみの過去のことも教えてあげるから。」




 急に晴れたように明るい表情になるハク。




ハク「えっ?・・・・それならやります!」




みなみ「なんでだよ!(笑)アリスやめてくれよ(笑)」




にしま(ちょっと待てよ・・・・もしかして・・・・・)


 ハクもしかして・・・・みなみのことほんとに好きなんじゃあ・・・・・




 今まで会社では冗談半分でそのような事を言っていましたが、この食いつきよう・・・・。






アリス「働かなくてもいいわ、仕事終わりにここに遊びに来なさい。ハクちゃんの仕事の為になるから、他に働いているここの従業員も紹介してあげる。私がオーラスを退職する時に引き抜いてきた精鋭達よ。・・・・今あなたオーラスに入社したばかりで大事な時だと思うから今後のネットワークにも繋がるはずよ。ここでの案件は全て貴方にあげるわ。レートはまた相談しましょう・・・。」




ハク「はい、是非!!」




アリス「・・・まぁみなみやハツモトくんの采配次第だけど、駆け出しの頃は女性だと重要派遣先の調査(内務の把握)の為に重宝されるわ。男性だと絶対に出来ない。女性しか出来ない仕事なのよ。」




ハク「女性しか出来ない?・・・・私がやってる仕事が?・・・・・」




アリス「そう。私も順子さんも他の女性社員達全員が通って来た道よ。みなみやそこのお2人に代わりは出来ないんだから遠慮せず、思いっきり仕事やりなさい。」




ハク「分かりました!」




 ハクが外勤で働いているお店・・・これは全てオーラス興業の重要派遣先の物件でした。チュンさんは・・・一体派遣先の何を調べているのでしょうか?・・・




 ハクは半ば無理矢理に連絡先をアリスさんと交換しました。




 このアリスという人と話せば昔の、そして今までの、これからのオーラス興業の全てがわかりそうな気がしました。




 それから暫く5人で仕事の話をしていましたが、アリスさんはこの業界の酸いも甘いも分かっていました・・・・。




 しかしみなみの元カノだったとは・・・・最近で一番の驚きでした・・・。デートとかどこ行ってたんだろう・・・・。

 これまでみなみがハクをここに連れてこなかった理由が、なんとなくわかりました・・・・。

 現場に出て、自分の肌で感じなくても全てが分かってしまうからです・・・。なんらかの答えを握っている人間だからです・・・。






 アリスさんは凄みのある女性でした。今では自分で店を経営していて、元々はチュンさんの盟友で肩を並べる幹部でした。




 豪傑ごうけつに違い有りません。




 俺達を助けてくれる、家族であれば父親であり、母親でもある役を今でも担ってくれているような人間でした。




 全てを信用していいものかどうか分かりませんが、間違いなく俺達の会社の、オーラス興業の理解者である事は間違いありませんでした。

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