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「あべこべの国」(Reverse Country):鈴×蓮

#記念日にショートショートをNo.32『あべこべの国~天地有用カエルの国編~』(Reverse Country:Turn it upside down,Frog Country part)

作者: しおね ゆこ

2020/5/3(日)憲法記念日 公開

【URL】

▶︎(https://ncode.syosetu.com/n6156id/)

▶︎(https://note.com/amioritumugi/n/nb9c7c3d5505e)

【関連作品】

「あべこべの国」シリーズ

 「もう友達でいられない。」

7年前、幼馴染の蓮に言われた言葉。

呆然と立ち尽くす私を残し、蓮は私に背を向けて歩いていった。

それ以来、ずっと家は隣り同士で、同じ小学校を卒業し、同じ中学校に通っているのに、蓮とは一度も口を利いていない。

幼心に覚えた好意が行き過ぎてしまったのだろうか。ばかに騒ぎ過ぎてしまったのだろうか。

理由は分からないが、あの時から、私たちはもう赤の他人も同然だった。

中学を卒業すれば、高校はバラバラになり、おそらく再び出会うことは難しいだろう。出会えたとしても、修復が出来ないほどに年齢を重ねた頃になっているのは、容易く予想できる。

タイムリミットは迫っていた。

やり直したかった。


 久しぶりに夢を見た。それも、現実に起こったことの。

苦い記憶の夢に縛られていて、居心地の悪い寝覚めだった。それでも明日になればまた学校が始まり、また赤の他人のように過ごさなければいけない。

やり直したい過去に囚われていたら、どんよりとした気分に捕らえられてしまった。

顔を洗ってこよう。そう思い、身体をベッドから起こす。

 「こんにちは、ようこそ〝Dnal Ebokeba〟へ!」

目の前に、カエルがいた。思わず、ベッドに尻餅をつきそうになる。…と思ったら、湖畔の草の上に、尻餅をついていた。何かが、おかしい。

「ごめんなさい、驚かせてしまいましたね。」

カエルがそう詫び、私に手を差し伸べる。吸い寄せられるようにその手を掴むと、カエルは軽々と私を引っ張り起こした。何だかよくわからないままそのカエルを観察する。

ただのカエルではない。そのカエルは、真っ黒で、お尻が顔に比べてかなり小さかった。ザ・アタマデッカチ・ガエルなのだった。

 見渡すと、草木が緑に生い茂る原っぱが一面に広がっており、カエルの向こうには湖が見えた。湖の向こうには、おとぎ話に出てくるようなかわいらしいお城が建っている。

 何で自分がこんなところにいるのか、そもそもここはどこなのか、皆目見当も付かなかったが、とりあえず礼儀は大切なのでカエルに挨拶を返す。

「えっと、こんにちは、カエルさん。ここはどこなのか、わかる?」

「だからさっきも言ったじゃないですか。〈ようこそ〝Dnal Ebokeba〟へ!〉って。」

カエルが強調して言った、一番大事だと思われるところだけが、よく聞き取れなかった。

「えっと、〝どぅなる えぼけば〟?」

「まったく、下手な発音ですね。あなた、どっからどう見ても中学生でしょ?英語、勉強していないんですか?」

それは失礼な!思わずムカッと来て、言い返す。

「私、英検1級持っているし、学校の英語の成績はいつもオール5よ!」

「10段階で?」

「5段階!!」

「まあいいか。こんなことで時間を潰している暇はないわけだし。さあ、ついてきてください。」

首から提げている紐を手繰り寄せて時計を見ると、カエルはすたこらさっさと歩き出した。慌てて追いかける。

「ちょっと、どこ行くのよ!とゆうか、〝どぅなる えぼけば〟って、どういうところなの?あなたは誰?どうなっているの?」

矢の雨のように降り注ぐ質問に、カエルは足を止めた。

 「申し遅れました。私、尾玉雀子と申します。」

カエル➖オタマジャクシさんは、振り返って優雅に一礼した。

【登場人物】

○鈴(りん/Rin):中学3年生・15歳

◎尾玉雀子(オタマジャクシ/Otama-Jakushi):カエル


*回想

●蓮(れん/Ren):中学3年生・15歳

【バックグラウンドイメージ】

【補足】

◎用語について

○「Dnal Ebokeba」

次作#記念日にショートショートをNo.33『あべこべの国~私と魔法とえぼけばルエカ編~』(Reverse Country:I,Magic,and Ebokeba-Rueka part)で解説します。

【原案誕生時期】

公開時

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