第十二章~1人の秘密~
ここから結構ハイスピード学園恋愛ですw
それからというものの、数日間。
まったく、蘭と話せなくなってしまった。
蘭の方も、心中察したらしく、頬が赤らんでいる。
あの手紙はずっと内ポケットにしまったまま…
しかし、そんな平和な日々が何時までも続くわけではなかった。
男という物は非常に鈍感であるのが世の常だ。
ある日、部活動が始まるギリギリに授業が終わった。
慌てて教室を駆けて出ようと想ったのが運の尽き。
「キャーーー!」
誰かとぶつかり、相手がドシっ!と覆い被さるようにして転んだ。
と、その時、目を疑った。
宙に舞うその紙は、あの誰にも言っていない秘密の手紙…
慌てた。
そして、ぶつかってしまった相手が運悪く、乙姫だった。
「え…何この手紙…!」
「いや、見なかったことにしてくれ。ほら。プライバシーのなんたらで…」
もはやしどろもどろ。
すると乙姫の視線と目つきが一気に変わる。
時既に遅し。とはこのことだ。
反対側の扉に、(おそらく僕を迎えに来たであろう)蘭が
ボー然と立ち、硬直していた。
完全に誤解された。
ボクは教室の床に仰向けに。
その上には乙姫が手紙の一件について騒いでいる。
「栗山君って…そういう人だったの?ウソでしょ?」
「いや、これは転んで… 本当になにもないんだ!」
「じゃあ、乙姫さんがなんで私の書いた手紙持ってるの?」
「だから、偶然に偶然が重なって…」
すると乙姫が泣き出した
「ズルイ… 蘭ってこんな風にアプローチできるんだね。私だって告白したかったのに…」
今告白されましたが何か…
「貴女こそ人の手紙を勝手に読んでおいて『ズルイ』はないんじゃないの?どうなのよ!栗山君!」
女同士の対決の板挟みになってしまった…
必死に感情を露わにした蘭。その姿勢がうらやましかった乙姫。
自分の想いを知られてしまった蘭。その想いを偶然にも見てしまった乙姫。
幸か不幸か…天使か悪魔か…悪戯はやめて欲しい…
そう想った…
全てがばれた。別に悪いことはしていないが、女二人が許さない。
全て今から、板挟みなのである。
蘭曰く「私への想い、はっきりして!」とのこと。
乙姫曰く「絶対に取られたくない!」とのこと。
そのまま、適当に流せば大丈夫だ。そう一瞬でも思った僕はまた浅はかなのだ。
蘭…勘違い多すぎw
と突っ込むなと突っ込んでおきますw