第一章~将来~
僕は第二中学校に通う中学二年生(14) いわゆる反抗期に入る時期でもあり異性を意識し始める時期でもあり
色々と悩みはつき物と世間では言われる年頃だが僕は頬づえを付きながら硝子越しに何かを探していた。
「栗山!」
いきなりハゲた数学の教師が僕の名を呼んだ。呼んだというか叫び怒ったという方が正確なのか?
「はぁ・・・?」僕は溜息混じりの素っ気ない返事をした。
数学ができることが偉いのか?社会に出てから役に立つのか?
硝子の外で羽ばたいている鳥たちの鳴き声の方が下手な数式よりよっぽど美しく聞こえた。
「 「はぁ・・・?」じゃないっ! 」
マジで怒らせた・・・
「この二次関数を平方完成してみろ!」
完成させなければ行けないのは僕の未来とお前の頭だがな。
そんな事を思いつつ発した言葉をきっかけに雷が落ちることになる。
静寂の中発した言葉
「知りません」 クラスメイトは唖然とした。僕を除けばの話だが。
知らないものを知らないという。なにが悪いのだろうか?
下手に知ったかぶりをする現代の若者(といってもその若者というくくりの中に入っているのだが)の方がよっぽどタチが悪くないか?
そんな思いは教師の罵声によって空白の物となった。
「バカものぉ!廊下に立っていろ!担任にこのことは報告しておくっ!」
僕は何も言わず全て物持ち物を持ち廊下へと歩いていった。
バカはおまえだ。担任に言える物なら言ってみろ
言ったところでどうなる?死刑?少しお説教を喰らうくらい。
その代わり罵声を放っただけ毛が抜けるのは貴方ですがな。
そんな下らないことを思い廊下に突っ立っていると
不良どもがやってきた。断っておくが、僕は不良というくくりには入っていない。
反社会的と言うより、納得いくことしかできないタチなのだ。
パシャパシャっ!
携帯のカメラで廊下に立っている僕を撮りまくっているのである。
もうどうにでもなれ。
帰宅すると母親からこんな質問をされた。
父親が残業で遅いこの日、何故こんな面談的な空気にならなければ行けないのだろうか?
「いい?あんたもう中学2年よ?高校受験だって控えているし、いつまでもタラタラしていていいの?」
あの・・・勉強は一応それなりにやっているつもりなのですが・・・
「いや・・・勉強はやっているよ 一応ね。」
「そうじゃないの。高校は私は何処だって良いと思っている。
馬鹿な親の子だから馬鹿な高校でも良い。秀才君が集まる高校でも良いと思っている」
はぁ・・・
「でもね、親として譲れないのが、貴方の将来なのよ。」
譲るとか言う問題じゃない気がするのは僕だけだろうか
「プラプラしてプー太郎になるのか、アルバイト三昧のフリーターになるのか、サラリーマンになるのか、
それともやりたいことがあって目指しているのか、言ってご覧」
あの・・・もう将来ですか・・・?ちょっと前まで小学生だったんですよ?
「うーん 正直やりたいことはない。」
次の言葉を言おうとしたときに
「なら勉強しなさい!良い高校に行って、一流か二流の大学を出てサラリーマン!」
え?もう決定?っていうか・・・馬鹿な高校でも良いと言ったのは僕の母親のような気がするのですが。
結局親なんて子供は勉強をする道具だと思っている。
自分の学歴コンプレックスを勝手に産んだ子になすりつけているだけなのである。
ガチャン
おきまりである
こういう日は(というか毎日)必ず僕は部屋を閉め切って
何も音のない静かなところで考えるのが好きなのだ。
「将来」という二文字が僕の頭を支配していた。