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16:魔物、魔人

 空に浮かぶ紫色の光。その奥底から異形の者が次々と飛び出してくる。

 緑色の肌をした一メートル少々の小鬼ゴブリン。逆に三メートルはある巨大な豚に似たオーク。更に空には何十羽もの骨の鳥、ボーンバードが暗雲のようにひしめいていた。

 一匹一匹は大した事のない魔物だ。ゴブリンは警察でも駆除できるし、オークは新人ヒーローの一人前への昇格試験扱い。ボーンバードは射撃や飛行可能なヒーローからすればただの的だ。

 しかし数が異様だった。戦いは基本的に数の勝負。いくら一対一なら楽勝であろうと、この数十を超える大軍はどうにもならない。


 ただそれだけではなかった。

 魔法陣が再び輝くとそこから巨大な岩石が落ちてくる。いや、それはただの岩ではない。よく見ると生き物の足のような形をしている。

 それは道路を、家を、街を押し潰し四本の足で立った。


「オォォォォォォォォォ!!!」


 苔にまみれた岩石の塊。それが四足歩行のドラゴンの形となり咆哮を上げた。

 全高は四十メートルはあろう巨体を人々は見上げる。まるで夢か幻かと我が目を疑うだろう。

 大型の魔物が現れるのは比較的珍しい。群れる習性のある魔物がまるごと地球に来るのもたまにある。しかしそれが同時に来るのは異常事態だ。

 そしてもう一つ。オーク達の姿にも違和感がある。普段なら動物の毛皮を衣服代わりにし、木や石を簡素な武器にしているのが一般的だ。しかしこのオーク達は鎧を着ている。斧や鉈のような金属の武器を持っている。

 彼らは徒党を組んでいる。それも群れだなんてものじゃない、もっと社会性のある軍団だ。


 岩石の竜、ロックドラゴンの頭に人影が一つ。

 黒い鎧、風になびくマントが特徴的な人物。しかし彼は人間ではない。

 紫色の肌、額から伸びる角。身体の構造は人間に似ているも、明らかに人ではない別の生物。


「……ここがチキュー。勇者の故郷か。成る程、確かに我々よりも文明だけは発達している」


 爬虫類のような細い瞳孔が街を見回す。

 彼は人間とは違った道を歩んできた生物。魔物でありながら、オークのような亜人より知性を発達させヒトに近い存在。

 魔人。プライドが高く地球に逃げる事を極端に嫌うせいか非常に珍しい。目撃例は数えるほどだ。

 そんな魔人が地球に現れた。それも大量の魔物を率いて。


「フフフ、悪くない。人間ごときが我々より優れた文明を築くなら、我らが有効に使ってやろうではないか」

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