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BIO -警視庁超能力班-  作者: 津辻真咲
1/8

予知夢


ジリリリリリッ! 目覚まし時計が鳴る。

――あぁ、また、憂鬱な一週間が始まる。

 夢見夜美ゆめみ よみは目覚まし時計を止めた。

「おはよう」

 夜美は階段を下りてくる。リビングにはもう既に両親がいた。

「まだ、眠そうね?」

「うん」

 夜美の母はそう言うと、夜美に朝食を持って来てくれた。

《7時50分、7時50分!》

 テレビからその声が聞こえて来た。

「あ! 遅刻! じゃ、いってきます!」

 夜美は席を立ち、玄関へと向かう。

「いってらっしゃーい!」

 夜美が玄関から走り出すと、母は彼女へと手を振った



「あー、暇だ。ネズミ一匹引っかからない」

 交通課の速水瞬はやみ しゅんは伸びをする。

「まぁ、いいじゃないですか。それだけ、平和という事ですよ」

「まぁそうだが」

 同僚の高津こうつの意見に瞬は納得する。すると。

ビュン!

目の前を高速の何かが通った。

「よっしゃ! 30キロオーバーのタクシーだ! 行くぞ!」

瞬はパトカーのサイレンを鳴らす。

「ちょっ、ちょっと、まだ測定値出てないですよ!」

 高津は慌てる。が。

「そんなん待ってたら、犯人取り逃がしちまうぜ!」

 瞬はお構いなし。

『測定値 90キロ』

――合ってる。

彼は絶対速感の持ち主。そして、警視庁交通課のエース、対象を一瞬見ただけでその対象の速度が分かるのだ。だが……。



――自転車通学だからって、10分で着くかね?

ビュン!

「!?」

 夜美のすぐ横を何か高速なものが通り過ぎた。

――何? 今の?

「前の車! 止まりなさい!」

 夜美は振り向き、現状を察した。

――えぇっ! スピード違反車両だったの!?

「それから、前の自転車! 退きなさい!」

 瞬は叫ぶ。

――え?

夜美は瞬と目が合った。すると。

「って、うわぁ!」

ドテンッ! 夜美は自転車ごと倒れてしまった。

「いったぁ! 何だ、あいつ!」

 夜美は去って行くパトカーを睨んだ。



夜美は自転車を押して学校へ行く。自転車が壊れてしまったのだ。

「絶対遅刻だ。あのパトカーの奴のせいだ」

 夜美は怒り心頭に発していた。すると。

ドカーン! と、頭上から爆発音が聞こえて来た。

――な、何!?

夜美は上を見る。すると、空中を行くスカイ・カーが空中爆発をしていた。

「!」

夜美は辺りを見渡す。すると、周りの人々は逃げ惑っていた。そして、再び、頭上を見る。スカイ・カーが破片をまき散らしながら、落下して来た。夜美はそれを避けるとそのスカイ・カーのナンバープレートを確認した。

『さ2101』

「これは……」



次の瞬間、夜美は自分のベッドの上で目を覚ました。

――今の、あぁ、また予知夢だわ。何とかしないと!

 夜美は制服へと着替えた。

「いってきます!」

 そして、慌てて、階段を下りた。

「夜美? ご飯いらないの?」

 母の声が聞こえた。しかし、彼女はそっけなく答える。

「急いでるの!」

「あらあら、行っちゃった」

 母はしょうがないなぁと微笑んだ。



――どうしよう。ナンバープレートの番号は覚えているけど。どうやって、そのスカイ・カーを捜そうか……。

すると、パトカーのサイレンの音が聞こえて来た。

――そうかあの警官がいた!

「前の車止まりなさい! それから! 前の自転車退きなさい!」

 瞬の叫び声が聞こえる。

――来た。

夜美はパトカーの前に立ちはだかった。

「って! コラァ! お前! 何やってんだ!」

 パトカーは止まる。そして、瞬は窓を開けて、怒った。

「お願いがあって」

 夜美は慌てずに伝える。しかし、瞬は声を荒げる。

「今、スピード違反車両を追ってんだよ!」

「そこを何とか、警察の力が必要なんです」

 夜美は冷静に伝える。

「俺たちは今、仕事中なんだ!」

「私は人助けです」

 二人は言い合う。すると、高津が話に入って来た。

「あのー」

「何?」

「何だ!」

 二人は彼の方へ振り返る。

「スピード違反の犯人逃げちゃいましたよ……」

「何!?」

 瞬は怒る。

「お前のせいだぞ!」

 しかし、夜美は動じない。そんな夜美を見て、脱力する。

「あぁ、折角のノルマ達成が……」

瞬は落ち込む。

「私は予知夢が見れます。それで……」

 夜美は続ける。

「無視かよぉ!」

 瞬は頭を抱える。

「8時10分に葉桜通りと楓通りの交差点でスカイ・カーが空中爆発します」

 夜美は淡々と話す。

「お前、それ本当か?」

 瞬は急に真剣なまなざしになった。

「私の予知夢は百発百中です」

 夜美も真剣だ。

「分かった。乗れ」

 瞬は後部座席を指さす。

「俺も超能力みたいな能力持ってるし、お前の言う事信じてやるよ」

「ありがとう」

 夜美は信じてくれた瞬に微笑んだ。

「しかし、どこで爆発したかだけでは爆発は防げない。他に何か手掛かりは?」

 瞬はそう聞く。

「ナンバーが〈さ2101〉だった」

 夜美は答える。

「よし、それじゃ、本部で持ち主を照会してもらおう」

 瞬は無線を手に取る。

「こちら東115より本部。至急、スカイ・カーの持ち主を特定して欲しい。ナンバーは〈さ2101〉。どうぞ」

《こちら本部。至急、特定します》

「これで安心ですね?」

 助手席の高津は安堵した。しかし、瞬はそうではなかった。

「いや、ちょっと待て。今何時だ?」

「えっとですね。8時9分ですね」

 高津は時計を見て、答える。

「って! 後1分しかねぇ!」

 瞬は叫ぶ。

「えっ、あっ、そうかぁ!」

 高津も気付く。

「掴まれ! 急ぐぞ!」

 瞬はハンドルを握る。

「ちょっと待って! 相手はスカイ・カーだよ! 地面を走る陸用で見つけるのは!」

 夜美はそのことが気になった。

「大丈夫! このパトカーは空陸両用だ!」

 瞬はそう言う。そして。

「それから、予知能力者! 例のスカイ・カーを見つけたらすぐ言え!」

「どうする気!?」

 夜美は聞き返す。

「このパトカーと衝突させるんだよ!」

「はいぃい!?」

 夜美よりも助手席の高津が驚いた。

「お前らも俺みたいにパラシュート着とけ!」

「どういう事!?」

「スカイ・カーには緊急オート脱出装置がついている。だから、俺たちはもちろん、例の空中爆発するスカイ・カーに乗っている人も自動的に外へ脱出出来る!」

 瞬はそう説明した。そして、説明を終えると、高津に聞く。

「おい、後何秒だ!?」

「後30秒です!」

 高津は答える。

「くそっ! おい! 交差点に着いたぞ! 例のスカイ・カーは!?」

 瞬はハンドルをきり、夜美に声を荒げる。

「あ! いた! 葉桜通りの方!」

 夜美も指を指して、叫ぶ。

「よっしゃ! 追突させるぞ!」

「ヒィィィィ!」

 高津は隣で悲鳴を上げる。

 衝突音が辺りに響いた。スカイ・カーとパトカーが衝突した。そして、二つは大爆発した。

「おぉい! 予知能力者! 大丈夫かぁ!」

 瞬はパラシュートで降りて来ながら、夜美に叫ぶ。

「はい! 大丈夫です!」

 夜美はそう言うと、地面に着地した。

「あぁ、私の車が……」

 スカイ・カーの持ち主の男性が頭上を見上げていた。そして、瞬に詰め寄った。

「なんて事してくれたんですか! あなたたち警察官でしょ!」

「言っとくけどおっさん。あのまま交差点に進入してたらあんた死んでたよ」

「何を根拠に!」

 男性は声を荒げる。

「見てみろ。オレンジ色の閃光が降って来ているだろ。これはプラスチック爆弾が爆発したって事だ。要するにあんたのスカイ・カーにはプラスチック爆弾が仕掛けられていたんだ」

 男性は黙る。

「それじゃ、後はよろしく」

瞬は高津の肩に手をやる。そして、そのまま立ち去る。

「え、ちょっ、ちょっと!」

 高津は慌てる。すると。

「あ、私、遅刻してるんだった! それじゃ!」

 夜美もその場をあとにした。

――どいつもこいつも!

 事後処理は高津に任されてしまった。



「あの子、もしかして……」

「あぁ、きっとそうだろう」

「我々の班にきっと不可欠な人物になるじゃろうな」

「……」


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