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落ちた天使  作者: 布シーツ
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初めまして!布シーツです。名前は適当に決めました(笑)この作品が初投稿になります。どうぞよろしくお願いいたします。

「ではお先に失礼します。」


「お〜。悪いな、クリスマスなのにこんな時間まで残らせちゃって」


「いえいえ、危うく一人寂しいクリスマスを過ごしてしまうところだったので逆に助かりました。」


腕時計を見ると11時30分。なんとか今日中には家に着けそうだ


「その台詞去年も聞いた気がするぞ、お前もいい歳なんだし彼女の一人ぐらいつくったらどうだ?」


「つくりたいのはやまやまなんですが、いかんせん出会いが無いもので」


「そりゃ毎日残業してたら出会いも無ぇなわな。まぁ気ぃつけて帰れよ」



「はい、では失礼します」


俺の名前は鈴峰勇二郎、入社して10年目のサラリーマンだ。そしてクリスマスのように恋人と過ごしたりするイベントは残業という理由で正当化しなんとか回避している彼女いない歴=年齢の悲しい男である。

歳は30をとうに越していて、この年まで貞操を守り抜くと何か神聖な能力に目覚めていそうだが別段そういった事も無い。ただ日々の稼いだ残業代を未来の自分の活動資金として貯金するだけの毎日だ。


コンビニでいつもの弁当とアイス1本を買い帰路につく。家から歩いて通えるのがこの会社の唯一良いところである。


毎年経験しているがクリスマスの夜は良いものだ。こういったイベントのある日の夜中は人がほとんど出歩かない為、周りがシンと静まり返り自分の歩く音だけが響いている。


歩きながら周りを見渡すと家の窓から漏れる明かりが皆んなが幸せそうに過ごしている感じがした。


そんな事を考えながらさっきコンビニで買ったカップアイスを取り出す。


買ったアイスを家に着くまでに食べ切ることが習慣になりつつある。


アイスを食べることによる満足感、寒い冬の夜にあえて外で食べるという特別感、常人ならしないであろう事をやる背徳感。帰り道でアイスを食べるだけで、3つの感情を抱く事ができるなんと素晴らしい行為であるか。気づけば習慣化しつつあるのが怖いところだ。


俺はかじかんだ手でなんとかアイスの袋を開けようとするがなかなか開いてくれない


「くっ、、ぬぅ、、くそーあかねー」


そんなこんなでアイスの袋と格闘しながら交差点付近まで歩いてきた。信号を渡って左に少し進むと俺の家がある。ここまで来たら着いたも同然である。


俺は信号が青になったのを確認し横断歩道に向かって歩く。この付近は車はあまり通らないため、信号を無視してもなんら関係ないのだが万が一の危険のため交通ルールは守るべきだろう。


横断歩道に入ると左の車道から車のライトが近づいて来るのがわかった。見るとトラックらしき影が1台こちらに向かってきている。


こんな夜中にトラックだなんて珍しいなぁ、なんて思いながら横断歩道を渡り歩く。別に急いで渡る必要もない。だってトラックは赤信号で横断歩道前で止まる。信号を無視して俺に突っ込んでくるなんてあり得ないからだ。


そう、あり得ない、はずだった。


プゥゥーーーーーー!


そんな静かな夜に鳴る筈のない音が左耳に響いた瞬間、左半身に強烈な衝撃を受けた。


突然の事態に抵抗できるはずもなく凄まじい衝撃が俺の体を真横に吹き飛ばし交差点の真ん中まで転がっていった。


途中頭を打ったらしく意識が朦朧としてくる。なんとか体を起こそうとするが体に力が入らず起き上がるどころか僅かに体を動かすことも出来ない。


「…大丈夫ですか!?…あぁ、どうしてこんな、すぐに救急車を!、」


ドタドタと走る音と声が近づいてくる。同時に自分の感じる音がどんどん遠くなっていき意識も薄くなっていくのを感じる


「…もしもし!今トラック運転中に男性を轢いてしまいまして…はい、場所は…」


男の緊張と焦りを含んだ声を聞きながら意識が遠くなっていく。もう既に視界は黒に染まって何も見えない。唯一の感覚である聴覚も男の話が終わる前に聞こえなくなった。そして俺の意識もゆっくりとまるで海底に沈んでいくように落ち、暗転していった。


面白い!応援したい!など思ってくださる方いましたらコメントなどして頂けるとテンションが爆上がりします。誤字、脱字なども気軽に教えてください。

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