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7月のショートショート

アリの引っ越し




博士アリ:「我々の巣に脆弱性が見つかった!」



   (ざわざわ)

       (ざわざわ)



 ここはアリの巣。公園のタンポポの下の大きな巣。


 平和なひと時に、博士が水を差す。


指揮官:「静粛に。博士くん、その脆弱性とやらを詳しく聞かせてもらおう」


博士アリ:「我々は2年間、このタンポポの下で暮して来ました。しかし、先日とあるニンゲン共の会話が聞こえてきまして。」


指揮官:「ふむ、で、その内容とは?」


博士アリ:「はい。解読の結果、明日は、年に一度の草刈りです!」


指揮官:「草刈り?」


「「「「「はっはっはっはっは」」」」」


兵隊長:「草刈りってアレだろ、カマで草の上だけ切る奴」

兵隊長:「去年は何もなかったじゃないか」


博士アリ:「最近、近隣でも根本から抜かれる被害が多発しています!」


食糧長:「だが食糧はどうする? バッタや飴玉が腐ってしまう」

保育士:「赤ちゃんも大勢いるんだぞ! 見殺しにするつもりか!!」


   (わーわー)

      (がやがや)



指揮官:「しーずーまーれー!」


  しーん……


指揮官:「我らがタンポポの根は太くて頑丈、そして茎は脆く葉は大地に伏している。そうそう抜かれる事はない。」


博士アリ:「指揮官!」


指揮官:「博士くんの言うことは一理ある。しかし引っ越しはそう簡単に出来る事ではないのだ。分かってくれ」


博士アリ:「何かあったらどうするんです! 今からでも間に合います、木の根本に──」


指揮官:「会議は終わりだ。博士くん、後でじっくり話を聞こうじゃないか」



   (わーわー)

      (がやがや)



 博士の奮闘虚しく、引っ越しの案は聞き入れられなかった。


 特に備える事もなく、平和なひと時を過ごす。


 そして次の日



▼▼▼▼▼▼▼▼



少年:「よーし頑張るぞー!」



 今日は草刈りの日


 少年たちは、三叉クワを持って草を掘り返す!



   サクッ ボコッ♪

   サクッ ボコッ♪

   サクッ ボコッ♪



少年:「あ、アリだー」


 タンポポを掘り返すと、まだ白い赤ちゃんを抱えたアリがたくさん湧き出てきましたとさ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] あ~あ(。>д<) 結局識者の見解なんてね、こういうもんなんですよ、恐ろしい話です((((;゜Д゜))) [気になる点] 急遽の引っ越しの大変さといったらもう((((;゜Д゜))) あ…
[気になる点] > 博士アリ:「我々の巣に脆弱性が見つかった!」 むしろ、ロバスト性がある巣というものを見せて貰いたいのじゃ。 > 少年たちは、三叉クワを持って草を掘り返す! ×三叉クワを持って…
[一言] 博士ー。 博士等の有識者の意見を軽視する世間の暗喩ですか? エビデンスは? って言葉、使って欲しかったです。
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