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6話 『エンヴィ』

 魔王がいると思われる部屋の扉を開ける。

 扉を開けると、赤いカーペットが一つの玉座へとつながる巨大な大部屋があり、その玉座には、フードを被り黒いマントを着た魔王っぽい奴が、俺たちの到着を待ちわびていたかのように堂々と座っていた。


「クックック……」


 笑い声が聞こえ、後ろの大きな扉が閉まる。


「よく来たな、勇者。貴様の噂は聞いておるぞ」


 ……魔王といっても、そこまで声が低いわけでなく、若い女のような声質で話をする。


「あ、あぁ……」

「だが、貴様のその栄光もここまでだ!」


 魔王は俺に向かって超巨大な火炎玉を撃ってきた。

 俺は、魔王もろとも火の玉を斬るつもりで剣を振った。


 しかし、火炎球は消えたものの、魔王にその斬撃は当たらなかったらしく、魔王の後ろにある悪魔をかたどった銅像が綺麗な断面を残して落ち、水たまりの水が一気に溢れ出た。


 魔王はというと、頭を抱えながらしゃがみ、怯えて震えていた。

 俺はそんな魔王へと近づいた。それに気づいた魔王は、俺に向かって土下座する。


「も、もうしません! もうしませんから、どうか命だけは――!」


 俺は魔王のフードに手をやって、そのフードを頭から取り外した。

 中から出てきたのは、ごつごつした角を2本生やし、涙を流している同い年くらいの女で目が円らでとても可愛らしかった。


 顔色は少し紫がかっていて、八重歯が少し出ていた。耳に桃色の真珠のピアスを付けていて、深紅のサラサラな髪だった。また、マントの下は、腹を出した黒い鎧で、首には赤い宝石がついたネックレスが掛けてあった。


「なんだ、魔王って女なのか」


 俺はその女に剣を向ける。


「ち、違うんです。それが、先日、前魔王おとうさんが急性アルコール中毒で死んじゃって……」


 ……ん?


「それで、娘である私が急遽魔王の座につくことになって――!」


 ……ん?


「ほ、本当に悪気はないんです。お父様だって、『人間と仲良くしたいなぁ』とかこんな汚い空を見上げながら口をぽかーんと開けて阿保みたいな面で言ってましたし」


 おいお前今お父様ディスってるぞ。


「……よし、それなら和解しようじゃないか」


 俺はその女に右手を差し伸べた。


「魔王は倒すのではなく、人間と魔族とが共存するようになれば、それで平和解決。それでいいじゃないか。なにも古いしきたりに従う必要なんてない」


 女は俺の顔を上目遣いで見上げ、俺の右手に手を掛けた。俺は女を立たせ、名前を聞いた。


「エンヴィです」


 そう呟いた。


「よし、なら俺についてこい! エンヴィ!」


 俺はエンヴィの手ごと、自分の手を上に掲げた。エンヴィは少しバランスを崩し、俺の胸にもたれ掛かる。

 顔を真っ赤に染め、目をぐるぐる回していた。


「政治はこの国に残る者にやらせればいい。もしくは人間の世界に来たい奴は来て、人間と共存してもいい! そういう世の中になれば、勇者だって魔王だって、そんな陳騫ちんけなものはいらないだろう!」


 綺麗な断面を残した悪魔増の前でそう宣言し、エンヴィを連れ、ジャルジー、アイファズフト、テナシテ、ベゼッセンハイト、セーロスの計6人の女を連れた俺は国に戻り、何があったかを国王に全て伝えた。


 国王は俺を讃え、娘であるジェロシーアを妃に迎え入れさせることを許可し、俺の連れの女も全員、俺の嫁になることを許可した。エンヴィは少しきょどっていたが、ジェロシーアを除いた5人がエンヴィの背中を押し、恥ずかしそうに顔を赤くしながらも、結婚の話を了承した。


 元々妃に迎え入れる予定であったジェロシーアは、俺と二人だけで結婚できないと思い、ほんの少し寂しがっていたが、6人と話していくうちに打ち解けていきとても仲が良くなった。


 その日の夜、これからの平和を祝って、それと俺の帰還を祝って宴が開かれた。

 その宴は夜通し続き、朝になるまで国中が騒ぎ続けた。

 もちろん、その日の後、俺には次の王の継承権が与えられ、俺と7人の女には未来永劫の幸福が約束された。


 これこそ俺の目指したハッピーエンド!


 素晴らしい美女を集め、永久的な幸福が約束された!


 こんなに素晴らしい人生はない!


 あぁ、異世界に転生してきてよかった!


 最高の人生だぜ!!!!!!!!!!!!

え? これ以上なにがあるの?


これ以上のとびっきりのハッピーエンドが待っているんです!

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