凄腕軍師は元サッカー部
まぁよろしくです!
「国王様―! 大変です!」
「どうした? 何事じゃ?」
「敵国のイサへー国が我らカーバタ国へと進軍を開始したとの報告が入りました。」
「なんじゃと。 して、敵の軍勢は?」
「はい。見張り兵の証言ではおおよそ2万の兵を投入した模様。いかがなさいますか?」
「むうう…… こうしてはおれん。クリフトスを呼んでくるのだ!」
そう王様が言い放つと伝令兵は慌ただしく出て行った。
「まさかこうなってしまうとは。もはや伝説の軍師クリフトスだけが頼みじゃ……」
国王がこれからの行く末を思案していると、玉座の間と廊下を繋ぐ扉が勢いよく開いた。
「陛下! このクリフトス急ぎ馳せ参じてまいりました。此度はいかようにございますか?」
王は伝令兵から受け取った情報をクリフトスに告げる。
クリフトスは聴き終えるなり王に会釈をし、駆け出していった。
◇
――会議室――
「クリフトス殿、今回はいかがなさいましょうか?」
11人いる幹部のうちの一人の魔術師が尋ねた。
「よし。今回の陣形は、4―2―3―1を採用する。」
「なるほど。クリフトスさん、内訳は?」
「これもあらかた考えてあるよ。今回はイサへー国が他国から新兵器を仕入れて、実践として今回の進軍が起きたらしい。その兵器は槍だと聞く。以上を踏まえてスタメンを発表するから。まず下から、センターバックに物量班と防衛班。両サイドに魔術師班。ボランチに医療班を二枚おく。トップ下は左から長槍班、真ん中に魔術師班、右に長槍班。ワントップにタンク班とする。」
「了解です。動き方は?」
「今回はトップのタンク班が敵を抑えつつ、ワイドの長槍班が両サイドから抜け出し、長槍でつつくんだ。そしてトップ下の魔術師班が殲滅魔法を駆使してダメージを与えていく。長槍班がうまくいくようならサイドバックの魔術師班を上にあげて、2―4―1―3の形になり、遠距離攻撃するつもりだ。さぁもうすぐ平原にイサへー軍が着く頃だろう。各班のリーダーは班に戻り今の説明を部下たちにすること。では解散!」
「「イエッサー」」
そう。クリフトスを伝説の軍師と言わしめるのはこのシステムの布陣あってのもだ。これは彼がこことは別の世界から来た人間であり、その頃に熱中していた〔サッカー〕なるものの戦術を応用していたのだ。剣で切る、魔法で攻撃といった単調な戦術しか持たないこの世界では〔サッカー〕の戦術は絶対的な効力を発揮していたのだった――
好評なら継続、不評なら単発ものになります!