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第17話 譲れない、護るべきもの

 ジンは右手の猛烈な痛みに堪えながら、厭な予感を胸に小島の許へと急いだ。獣を見失った時、一度フロア内が大きく揺れて警報が館内に響き渡ったのが気掛りで堪らない。

 地震だろうかと思っていたジンの予想は簡単に覆された。既にエレベーターは火災発生のアナウンスをして全てが使用不可になっており、結局非常階段で小島がまだ残って居るフロアまで戻らなければならなかった。

 突然自分の体力と割に合わない労働を強いられてしまい、ジンは肩で大息を切り悪態を吐きながら、小島の居るフロアへやっとの思いで辿り着いた。

 レイナを拘束していた一室で爆発が起こったらしい。予期されなかった緊急事態に、けたたましく警報ブザーが鳴り響き、集まって来たスタッフでフロア全体が騒然としていた。

 一部は完全に炎に包まれて焼け爛れ、熱気と有害ガスの発生で思うように視界が確保出来なくなっている。フロアに居合わせていた者は我先に避難行動を起こし、アシスタントロボットや多少の火気に耐え得るサイバノイドは、居残って消火活動を始めている。


「小島さん!」

 慌しく行き交う人の間を掻い潜り、ジンは右腕で鼻を覆って咳き込みながら、残して行った小島の小柄な姿を必死に捜した。各セクションで室外換気扇がフル稼動しているが、多量の煙で換気が間に合わない状態だ。

「こっちじゃ!」

 レイナの居た部屋から少し離れた通路で、右肩を負傷した小島が応急処置を受けている姿がジンの視界に飛び込んだ。

「無事でしたか!」

「なぁーに、これしきの事でクタバリはせんぞぃ」

 小島は軽口を叩くと、引き攣けたようにひゃっひゃと笑った。

 暢気な声を耳にしてホッと胸を撫で下ろしたが、治療の為に上半身を脱いでいた小島の小さな身体を眼にした途端、ジンは思わず息を飲む。

 顔や手に火傷を負ってしまったらしく、しわがれた薄い皮膚が赤くなっているのだが、元から酔って赤ら顔になっていたので、見た目にはさしてあまり変わらない。それよりもジンが驚いたのは、曝け出されていた小柄な小島の上半身に、鉤のような物で付けられた古い傷痕が無数にあった事だった。傷痕は小島の生命を脅かしただろうと思われるほど酷く、醜く、小柄な身体に幾つも刻まれていた。

 自分の古傷を見てジンが驚いているのだと覚った小島は、そそくさとシャツを羽織り、素知らぬ風をして傷痕を隠す。

「な、なんじゃい。もう逃がしてしもうたのか」

 小島はいつもの調子に戻っていた。いや、いつも通りに戻って誤魔化すしか他に方法が無かったのだ。致命傷ではないのかと思われる酷い傷痕を眼にすれば、誰もがその理由を問い質したくなってしまうだろう。

「すみません……」

 ジンは肩を落として項垂れたが、それでも尚、小島が急いで隠した傷痕を物言いたそうな眼で追ってしまう。

「小島さん怪我……」

「うん? ああ、これか? 爆風でちょいとな。まぁ大した事は無い。後から来る筋肉痛の方がわしゃあ恐怖じゃわい」

 そう冗談で混ぜ返して老人は笑った。

 ジンの言葉は小島の古傷を問うものだったのだが、小島は敢えてその事には触れてくれるなとばかり完全無視を決め付ける。

「……」

 誰にでも他人から触れられたく無い事の一つや二つはあるものだ。小島にとって、その一つが、昔の古傷なのだろうとジンは察した。

「ほれ、お前も早く処置をして貰え。利き手がそれではな」

 自分の不甲斐無さに項垂れて謝るジンに向かってそう言うと、小島は自分の処置をしてくれた人型医療看護ロボットへ、彼を看るようにと促して顎を杓った。

「本当に何て言ったら良いのか……ああッ! った~っ!」

 ジンは獣を取り逃がした責任と、小島のプライバシーへ踏み込もうとした自分の迂闊な言動を恥じて沈痛な面持ちで肩を落としてしまったが、看護ロボットが右手に触れた途端に顔を引き攣らせ、情無い悲鳴を上げて悶絶した。

 処置前の麻痺スプレーを丹念に吹き付けられるが、スプレーの噴出する空気圧さえ止めて欲しいくらいだ。

「済んでしまった事は仕方あるまい。それよりもコレに見覚えが有りゃあせんか?」

 小島はビニール袋に入った壊れた拳銃を、涙眼になって顔を歪めているジンの前へと突き出した。

「痛うう……そ、それは?」

 心当たりが在り、ジンの眼が一瞬大きく見開かれる。

「ふん……そうじゃ。田幡が率いておる三課の連中の物じゃ。偶然わし等が現れて、逃げられないと覚っての事か……馬鹿どもめが自決しおったわい。じゃが……田幡は確か自殺していたのでは無かったのかな?」

 小島は意味深にジンを見上げて、その心の奥深くを探り出しているようだった。ジンの心臓がドキリと厭な音を立て、冷や汗が顎を伝う。

「やれやれ。薬物の三課……か。またややこしくなって来おったな。ま、精々お前も寝首を掻かれんよう、背中に気を付けるこったな」

 小島はそう言って重い腰を上げると、立ち竦むジンの左腕をぽんと叩いて立ち去った。


  *  *


 辺りが白み始めた頃、岬は独り自宅のバルコニーで一夜を過ごしていた。

昨夜釈放されてからと言うもの、岬は何も手に付かない状態だった。休もうとして横になっても眠る事が出来ず、とてつもなく長い夜を過ごしていたのだ。

 あの時……玲奈が亡くなったあの日の夜も、同じだったような気がする。総ての思考が停止してしまい、岬の心は空っぽだった。まるで『意志』の無い人形のように、ぼうっとして、ただ何も無い一点をいつまでも飽きる事無く見詰めていた。

 仲間を裏切ろうと覚悟していた岬は、ジンに拠って捕らえられが、実行までには至らずに『未遂』として扱われた。勿論これはジンの温情あっての取り計らいだ。

 彼女を逃がして助けようとしていたのに、岬の方が逆にレイナの言葉によって救われてしまったのだ。けれど、だからと言って彼女の処置が軽減され、取り下げられる筈も無い。

 ジンに連行されてレイナと別れる間際、岬は彼女に自分の本当の想いを告げる事が出来なかった。それは、岬の中で未だに『レイナ』を通して『玲奈』を見い出そうとし、混乱している赦せない自分が居たせいもある。けれどそれ以上にレイナへ寄り添うジェフの影を……彼が死んだ今でも意識せずには居られなかった。変わり果てた姿になった豹のジェフへ、レイナが岬の許から逃げ出してついて行ってしまったと言う揺ぎ無い事実が、岬の胸から消せないでいたからだ。

 そして『私の事は、忘れて……』と、涙ながらに彼女が口にしたその言葉が、岬の心に深々と突き刺さっていた。自分が彼女の事を想っていても、否応なしに彼女から拒絶されているのだと思い込み、彼女へ近付き寄り添う事が出来なかったのだ。


 このままで……良いのか?


 本当にレイナの言葉通りに従い、彼女の事を忘れても構わないのか? 彼女を想っているからこそ彼女の『意』を汲むべきなのだろうか?

 以前、岬はそうして『玲奈』を失った。人質交換に彼女が立つ事が危険な賭けだと承知していたのに、彼女を愛するが故に、真に自分が譲るべきではない部分まで手放してしまったのだ。

「……?」

 岬は自室テーブルに置いていた携帯からFCIの緊急呼び出し音が鳴っているのに気が付いた。

「はい?」

―「岬、俺だ」

 携帯の向こうで重苦しい声がした。

「ジン?」

 何かあったのだろうか? ザワザワと胸騒ぎがして厭な予感に襲われる。

―「召集だ。レイナが……逃げ出した」


  *  *


「予定変更だ。逃走したのなら、此方も容赦無しだ」

 ジンはそう言って召集を掛けた九課四人のメンバーを見渡すと、大型のショットガンを岬へ向って有無を言わさず押し付けた。

 岬は戸惑いの表情を浮べながら仕方なく銃を受け取る。

「これは?」

 銃身へと視線を落した。本体の見掛けは通常のショットガンと同じだが、銃口部が三箇所に分かれていて、中から楔状の鋭い針が不気味な顔を覗かせている。

「開発技術部からの間に合わせ品だ」

 ジンは手元にあった3‐Dプロジェクターのスイッチを入れた。機器を起動させた事で室内の照明が呼応して絞られる。暗室になった中央には岬の手に在る物と同じ銃が原寸大の3‐Dとして浮かび上がる。

「目標の周囲ニメートル以内の三箇所を、このフィールド発生装置で取囲む。いいか? 完全に取囲まないと駄目だ。で、自動で球状のフィールドが発生する。これで取り込まれた目標は完全に脱出不可能になる」

 ジンの言葉に反応して、銃の使用方法が3‐Dアニメーションで解説される仕組みだ。

「そして、起動スイッチがこれだ」

 ジンがペン型の起動スイッチを取り出し、親指でスイッチを入れて見せると、球状のフィールドに取囲まれた人型のシルエットが、一瞬にして霧状に分解されフィールドごと消失した。

 居合わせたメンバーからざわめきが起こり、3‐Dを凝視していた岬の左手が強く握られて血の気を失う。

「高圧力を掛けた。この中は一瞬で摂氏二千度以上になる。灰も残らない」

「これって電子レンジの理論かよ……焼き殺すのか? 人間を?」

 ジンの解説に、表情を険しくさせたテッドが問い質す。

「人間じゃない。相手は化け物だ」

「化け物……ねぇ。そいつはチョッと……随分な言い草だよな? オイ」

 目標が誰であるのかを知っているテッド達一同は、岬へちらりと同情を寄せる一瞥を遣した。

 彼等の遣り取りが聞えたのかどうかは不明だが、岬は渡された銃に視線を落して俯き、押し黙ったまま動かない。

「しかし、その役目が何故高城なんだ?」

 テッドは腑に落ちない素振りで異論を唱えた。その言葉の端々には、是が非でも岬とターゲットであるレイナを会わせるべきではないと言う、彼の気遣いが窺える。

「そうだ。岬には無理だ。捕らえる機会は何度もあった。なのに尽くしくじっているじゃないか。きっと今回も同じだ。出来る訳が無い。一任させるのは反対だ」

 銃をじっと見詰めている岬の背中へ、半ば野次とも取れるキリーの不満の声が掛けられた。木下が同感だと相槌を打って見せるのだが、二人はテッド程岬に対して甘くは無い。飽くまでも任務遂行の為の見解からの意見だ。

「高城以外では無理だ」

 ジンは静かに首を振って言い切った。

「どうして?」

「ヤツは高城だけには気を許している。見て判るだろうが、この装備は射程が短い。接近しないと確実にフィールドへ閉じ込められないし、万一外したとしても、臨時の調達品だ。換えの残弾は残り一発。それにカートリッジを交換している間に狙われたらどうする? 相手は未知の能力を持った獣だ。インターセプタが唯一対峙した岬に起動出来なかった為、こちらからの情報は無い。ヤツに対してどれだけの効力を発揮出来るのかも、当然現時点では不明だ。だからこそ至近距離でもって一発で決める確率が高くないと駄目なんだ。それでもって言うのなら……どうだ? 代わりにどちらかが遣ってみるか?」

 ジンは反対していたキリーと木下に向って視線を送ったのだが、彼の補足説明を聞くなり、二人共口を閉ざしてしまった。

「他は高城のバックアップへ廻ってくれ。部長からの指示を……」言い終わらない内にジンの携帯が鳴り、応対したジンの表情が強張った。「目標を発見したそうだ。説明は移動中にする。行こう」


  *  *


 移動中のヘリの中、ジンは息を詰めてモニタを見入っている岬の肩を叩いた。軽く叩いただけなのだが、不意を突かれて岬の肩がビクリと大きく跳ね上がる。

「大丈夫か?」

「あ? ……ああ」

 岬はモニタで捉えたレイナの姿を眼にして、動揺を隠せないでいた。

「本当に彼女なのか? この……獣が?」

 岬はジンへ何度も念を押した。画面には既に先発していた応援部隊に追い込まれて、猛り狂い咆哮を上げる白い生物の姿が映っている。

 肩口から上は人間の頭部で、下は真っ白な毛に包まれた四肢を持つ獣。しかも全身に蒼い刺青を配した幾何学的な模様が浮き出ている。人間の頭部と言っても、長い白髪こそ保ってはいるが、頭部には尖って立つ小さな耳。爛々と見開かれた真っ赤な眼と、裂けた口許からは剃刀のような鋭い牙が見え隠れしている。部分的には『豹』だと見えなくも無いが、全体を見れば想像上の獣か魔物……より近い表現と言うのであれば、細身に見える古代エジプトのスフィンクスの例えが近いだろう。

「言った通りだ。何度も言わせるな。先発隊が駆け付けた時にはもうあの姿だったんだよ。死への恐怖であの女の野生が目覚めでもしたんだろう」

 敢えて自分と小島の件も、何者かに襲われてレイナがこの姿になってしまった事も伏せておいた。

 これからレイナと対峙する岬に対し、彼女へ情けを掛けるような雑念を与える訳には行かなかった。一瞬の躊躇いや気の迷いが命取りになるのだ。今は余計な言葉を口走って岬へ動揺を与えてはならない。唯でさえ勘の鋭い岬なのだから、気取られない為には不自然に思われたとしても言葉数を少なくして情報を絶ち、無理を押し通すしか無いのだと自分に言い聞かせる。

「けど……」

 岬は言葉を濁した。こんな半端な変身がレイナなのだろうか? 彼女は意識不明だった場合でも、完璧な美しい白豹へと変身出来ていた筈だ。しかも数十分前まで、総ての機能を強制的に停止させる薬液の中へ拘束されていたのだ。誰かが手を貸さなければ、脱走した事実とは辻褄が合わない。彼女の変身した姿を見ていただけに、モニタの半身獣の中途半端な姿が俄かには信じられなかった。それに、彼女の肌に浮き出ている紺色の紋様は、明らかに豹紋とは違って人工的に創り上げられたモノとしか思えなかった。

「高城、目的地上空へ到達するぞ」

 モニタを食い入るように見詰めている岬の意識へ、テッドの声が割って入った。

「了解」

 岬は抑揚の無い返事をすると、シートベルトを外して立ち上がる。

搭乗している全員が特殊繊維で出来たジャケットを着用し、ヘリから降下する為の装備一式を纏ったフルハーネスだ。岬はメットのシールドを降ろすと、摩擦に強い特殊繊維のグローブを嵌めながらヘリの後部ハッチへと移動する。

 移動しながら、岬は軽く右手の握力を付けるように何度か握ってみた。右手の腫れは多少引き、薬で痛みは散らしているが、まだ完全では無いため無理が利かない。

「気を付けろよ」

「ソクるな」

 ジンをはじめ、全員がそれぞれに声を掛け、岬へ檄を飛ばす。

 岬は軽く頷いて応えると、装備フックへ自分とヘリを繋ぐワイヤをしっかりと取り付けると、開いたハッチから身を投げた。


 岬が降下を始めた直後、ヘリのA・Iが異変を察知した。

―「三機ノ機影確認。識別、不明」

「何ィ?」

 降下する岬を映しているモニタから、テッドが慌てて顔を上げ、同乗していた全員がそれぞれ何事かと身構えた。

―「低空飛行デ接近シタ模様。ろっくおんサレマス。緊急回避」

 咄嗟にヘリのA・Iが自動操縦へと切り替わった。操縦席に座っているテッドの目の前のコンソールが一斉に赤色表示になる。

「止めろ! 今回避すれば降下中の岬が危ない」

 テッドはA・Iに指示を出す。

―「指示ハ拒否サレマス。指示ハ拒否サレマス。指示ハ拒否サレマ……」

「クソッ!」

 テッドが拳で保護カバーを叩き割り、レバーを引いてA・Iの自動操縦回線を強制的に切断した。ヘリは機体を大きく揺らせて回避行動を中断する。

 降下中の岬の身体が、振り子のように大きく振り廻された。

「岬! 大丈夫か?」

―「だ、大丈夫だ」

 テッドがマイクへしがみ付く。辛うじて岬の無事を確認出来たが、休む間もなく接近して来る未確認の機影から、幾つものエネルギー光を確認した。

「撃って来たぞ!」

「当たる!」

「間に合わん!」

 テッドは舌打ちしてヘリの機首を下げ、機体で以って降下中の岬の身体を光源から庇った。

 幾つものエネルギー弾がヘリの機体を貫き、擦過する。激しい横揺れと衝撃が、搭乗している彼等と降下中の岬を襲った。直撃こそ受けなかったが、機体のあちこちから白煙が立ち昇る。

―「テッド! 無事か?」

「ああ何とかな……けど、マジでヤバイ。機体が持たない」

 岬からの通信を受け、テッドの手が目まぐるしくコンソールの上を奔るのだが、彼の目の前の計器類は瞬く間に赤色表示に切り変わり、次々と沈黙して行く。

―「ワイヤを切れ! こっちも外す」

「しかし……」

―「いいから早く! 今のはレンジ外からの盲発砲だったが、次は当たる!」

「岬……すまん」

 テッドは岬を繋いでいたワイヤを外した。ヘリは一旦機首を持ち上げて機体を上昇させると白煙を靡かせて、ふらふらとよたりながら高層ビルの間に消えて行った。


 ワイヤを外された岬の身体が急速に自然降下し始める。素早く自分のフックから繋いでいたワイヤを切り離すと、すぐ傍のビルの外壁目掛けて予備のワイヤを撃ち込んだ。

 ビルの外壁へ身体が急速に引き寄せられながら落下している岬目掛けて、未確認のヘリの一機が接近して来る。ヘリの機銃が岬を狙って火を噴き、銃弾が横方向から激しい雨のようにビルの外壁へ容赦無く叩き込まれる。

 岬は銃を手にして、光学シールドを起動させた。落下速度を利用して銃弾の雨を掻い潜りながら、ビルの窓を狙って撃つと、インターセプタを起動させて罅の入った二重ガラスを蹴破り、無人のオフィスへと飛び込んだ。

飛び込んで来た侵入者を感知して、建物の非常ベルがフロア内で一斉に鳴り響く。

 ヘリの機銃は猶も執拗に岬を追い掛け、彼が逃げ込んだフロアへ向かって小型ミサイルを撃ち込んた。

 岬は横っ飛びに身体を投げ出して、寸での処で小型ミサイルを遣り過ごしたが、ミサイルはビルの反対側の壁を突き破って爆発した。

 ミサイルの破壊力によって、岬の居るビルの上部が真っ二つに折れ、地上へと落下する。

「うわ……」

 先に光学シールドが切れた。

 爆風で煽られて身体が簡単に吹き飛ばされる。背中から強く壁に叩き付けられて、床に落ちた。無意識に身体を丸めて受身の体勢を採ったが、保護シールドのインターセプタを起動していてもかなりの衝撃だ。脳が揺らされて眩暈が起こり、鼻の奥がキナ臭くなる。

「つ……」

 顔を顰めて両手で後頭部を抱え込む。不意に鼻の奥から生暖かいものが流れ出し、違和感を覚えて片袖で拭った。

 拭った袖が真っ赤に染まっていたのを眼にした岬は顔を顰めるが、奇跡的に何とか無事だったようだ。耳を澄ませて外部の様子を探ってみるのだが、どうやら次の攻撃は無さそうだ。連中は今の攻撃で岬を仕留めたものだと思ったらしい。

 それまで息を詰めていた岬だったが、自分の取り敢えずの安全が確保出来たと察して、肩で大きな息を吐いた。そして、自分の身体の状態を確認するようにゆっくりと立ち上がる。

 右手首の鈍痛は酷くなっていたが、他は多少の打ち身がある程度で、特に問題は無さそうだ。

「テッド!」

 何度も瓦礫に足元を掬われながら非常用階段を目指す。その間、応答して来ないテッドへ繰り返し呼び掛ける。オフィスの壁に大きく穿たれた風穴からは、外からの銃声と爆音が断続的に鳴り続けている。

 戦闘を続けていると言う事は、まだ生存者がいると言う事だ。しかし、果たして彼等は本当に無事なのだろうか? 焦りと不安が胸一杯に拡がった。


  *  *


 ジン達を乗せたヘリは爆発こそ免れたものの、機首を下げ、尾翼部を空に向けて逆立ちをしているような状態で路上へ不時着していた。機内に装備されていた物のうち、固定されていなかったものが床と化した操縦席フロントコンソールへとばら撒かれている。

 全員シートベルトで身体を固定されていたが、逆立ちをしているヘリの機内で宙吊り状態になっていた。それぞれが声を掛け合い、お互いの身の安全を確認し合って安堵すると、今度は軽口を叩き始める。

「マズイぞ。奴等分かれて追い掛けて来やがる」

 連中の雑談に加わらなかったテッドが、GPSからの情報で状況を把握して呻った。彼は事故で視力を失い、脳内視神経系統を電子制御措置で補っているサイバノイドだ。

「一機、岬に付いた」

 状況をヘリのモニタへ強制リンクさせて、ジン達に補足説明する。

 画面には、光学シールドを展開してモニタでは捉えられなくなった岬の『影』を、ホバリングして執拗に追っている武装ヘリが映っていた。カメラは高層ビル屋上等に防犯用として設置されている一般向けのもので、カメラ映像を失敬してテッドが勝手に引いて来ているものだ。

「奴は光学シールドを掛けているのに……連中には丸見えなのかよ?」

 モニタを睨んで木下が唸る。

「眼クラマシ(光学シールド)をしても影は映るからなぁ。コイツはどうやら眼クラマシを知り尽くしているようだな。岬の影を追っているんじゃない。映像フィルタで中和してやがるんだ」

「映像フィルタ……って」

「軍関係者? まさかの身内かよ? 相手は」

 木下が言葉を失い、キリーが後を続けて忌々しそうに舌打ちした。

「の、様だな。シュライバーを起動させて注意を逸らせる。此方もその間に脱出だ」

 テッドが吼えた。

 それぞれが肩へ追尾機能付きの迫撃砲を担いで手早く脱出の支度をしている最中、テッドの義眼は上空のヘリを見上げて放心状態になっているジンの姿を捉えていた。

「俺の……せいだ……」

 独り言のように呟いたジンの言葉を聞き洩らさなかったテッドは、何事かと眉を寄せて彼の様子を訝ったが、今は詮索している場合では無い。

 三機のシュライバーを散開させると、案の定二機のヘリが機銃でシュライバーを追撃し始めた。動く物体を追尾するようプログラムされている所から、その二機は無人のリモートだと簡単に判断出来る。

 九課のヘリ(エア・ブレイズ)から細心の注意を払って、先にキリー、続いて木下の順に脱出して行った。

 少し遅れてテッドとジンが出て来る。その直後、ヘリは機銃の掃射を浴びて爆発し、安全圏まで到達していなかったジンとテッドを爆風が襲い巻き込むが、二人共インターセプタを起動させ、辛うじて難を逃れていた。


「野郎……舐めやがって……」

 爆破されたエア・ブレイズを眼にして激怒したキリーが、片側四車線の路上中央で、片膝を着いて対空砲スティンガーの照準を敵機へ合わせた。キリーの照準が、拡大投影された機影を捕捉する。

「いい度胸だ。身内だろうが何だろうが、九課だと承知の上で喧嘩仕掛けてンだろうな? ……う?」

 引き金に掛けていた指が凍り付き、キリーは合わせていた照準を慌てて逸らせる。彼が捕捉した機影は、自分達が乗っていたヘリと同じ型式のものだったからだ。

「あれは……武装したウチ(FCI)のヘリじゃないか?」

『身内』だと聞いてはいたが、まさか同じFCI所属専用機が現れ、自分達を襲って来るとは夢にも思わなかった。

 ビル風が強く舞う路上で立ち竦んでしまったキリーへ、立ち並ぶビルの隙間を縫って背後より忍び寄ったヘリの攻撃照準が向けられる。

「伏せろ!」

 瞬時にキリーの身体が反応し、左前方の路上へ身体を投げ出して伏せの姿勢をとる。

 木下が伏せたキリーへと駆け寄り、素早く腰を落として引金を引いた。右肩に担いだ木下のスティンガーが耳を劈く砲撃音と衝撃を伴い、炎を放つ。

 彼の砲撃に慌てたヘリが回避行動を執るが、既に手遅れだった。追尾装置内臓の砲弾はどこまでも執拗にターゲットを追い掛ける。一度狙われれば回避するのは至難の業だ。

 命中した砲弾は炎を機体へ喰い込ませる。ヘリは失速し、爆音を轟かせて空中で四散した。


 テッドとジンは、エア・ブレイズの残骸へ身を潜めていた。二人とも命に別状は無かったが、テッドが先程の爆発の煽りをまともに受け、インターセプタを起動していたにも関わらず左足を骨折して動けなくなっていた。

 対機械化人間白兵戦用防御シールドのインターセプタではあるが、大元は使用者本人の『気』に呼応する物だ。同じ人間であっても、処置を施した人間には『気』の個体差強弱がある。『気』の強力な者が居れば、テッドのように弱い者も居て、使用者総てに対して同等の効果が得られると言う訳ではない。

 ジンがテッドへ添え木になる金属プレートを宛がい、応急処置を施す。

「一体、どう言う心算だ? あんな所で突っ立って、死ぬ気かよ?」

「……」

 テッドは、黙々と自分の手当てをしているジンの様子を訝り首を傾げた。FCIが人獣の情報を外部に開示した覚えも無ければ、ましてや陸防へその件を委譲したと言う事実等何処にも無い。事は秘密裏に行われている筈なのだ。

 何者かが機密を漏らさなければ、こうも好いタイミングで自分達が襲撃される訳が無いのだ。けれど自分達は実際に襲われてしまった。予想外に起こった事実と、目の前で蒼くなり俯いて思い詰めた表情を浮べているジンが、テッドの頭の中で何気にリンクして結び付いてしまう。

「ジン、お前まさか三課の……」

「そうさ!」言い掛けた言葉を鋭くジンが遮った。「ああ、俺だよ。居なくなった彩香の情報欲しさにな。田幡に踊らされていたが、彩香は戻って来た。もう……もうあの女とは縁が切れたものだと思っていたのに……」

「馬鹿かお前は。相手に手札見せておいて、それでお終いだなんて無いだろ。情報提供したオトシマエを、お前はどう着ける心算なんだ」

「……」

 テッドの野太い声に問い詰められて、ジンは益々小さくなる。

「それで奴等三課がお出ましってワケか。お互い内部事情をある程度知っているから、遣り辛いな」

 テッドは舌打ちして『厄介な事になったな』とぼやく。

 彼は九課の輸送用ヘリ、エア・ブレイズの専属パイロットだが、実際に事件を捜査・関与する権限は与えられてはいない。しかし、普段から九課のメンバーと言葉を交わして交流している事と、彼の持ち前である『人柄の好さ』で、意外にも部内全員の個人情報に最も精通している人物だ。

 勿論彩香が三課の一員であり、彼女がジンの大切な女性である事も十分承知している。彼女が捜査会社の企業機密を盗み出した犯人だと噂されていた時、彼女は無実だと信じて噂を疑っていたし、先日無事に救助されたと知らされた時は、心から喜んでいた一人だ。

 その裏でジンが田幡と取引していたのを知り、胸中穏やかである筈も無い。けれど、だからと言ってジンをこれ以上責める気にはなれなかった。彼女を信じて眠る間を惜しみ、毎日バイオ・ケミカルに足を運んでいたのを、具にテッドは見て知っていたからだ。


 新たな方角から、断続的に機銃の音がした。林立する高層ビルに銃声が反響して響き渡り、戦闘は未だ収束してはいないらしい。先に脱出した木下とキリーの身が気掛かりだ。

 テッドは再び『視覚』を電網へと泳がせる。端末で起動している一般外部カメラへ次々とリンクさせて彼等の姿を捜した。

「お!」

 思わず声が出た。テッドが見たのは、神々しいくらいに真っ白な獣の姿を持つ『獣のレイナ』だった。上空から何度か確認は出来ていたが、表情が判るほどの距離から見るのはこれが初めてだ。

『玲奈』を知っていたテッドも、彼女の姿には流石に言葉を失ってしまう。そして、この人獣である『レイナ』を仕留める為に向った岬の胸中を慮り、他人事だとは思えずに同情して気が滅入ってしまった。

「見付けたのか?」

「ああ。今の掃射で高城の居るビルに目標が逃げ込んだ。裏口からだが……こりゃあ、じきに鉢合わせするぞ」

 テッドが状況をジンに伝えると、先発した木下とキリーがヘリと戦っている姿を見付けた。一機は仕留めたらしいが、残ったもう一機に手を焼いているらしい。追尾装置を搭載しているスティンガーなら簡単に堕とせると思っていたのだが、相手から建造物を盾に取られて、思いの外苦戦を強いられているようだ。

「クソッ! これじゃあ高城のバックアップ処じゃない」

 テッドは忌々しそうに固定された自分の脚を睨み付けて歯噛みした。

「……」

 テッドの処置を終えたジンが、自分の拳銃をぎこちなく左手に持ち、すっくと立ち上がった。軽装備のワイヤレスヘッドセットを着けると、何度か首を左右に振って、自分の耳へ馴染ませる。

「何をする気だ? おい?」

「俺が行く。テッド、ナビを頼む」

 そう言い残すと、ジンは踵を返して走り出す。

「ジン! 利き手が遣えないのに無理だ! 止めろ!」

 テッドの声が空しくジンの後を追い掛けた。


  *  *


「あ!」

 突然、通路の右横から現れた白い獣と鉢合わせた。走っていた岬は軽く腰を落し、急ブレーキを掛けて立ち止まる。

 人獣も、岬の出現にハッとして一瞬怯んだように見えた。しかし、相手が人間だと察知するなり、たちまち鋭い牙を剥き出しにして低く呻って牽制する。

 真紅の瞳は既に正気を失っており、狂ったように白い髪を振り乱して岬を威嚇した。頭の中を鋭いナイフでキリリと抉られるような高音域の咆哮が、左右の通路に張られていたガラスを共鳴させ、ガラスが激しく打ち震えたその瞬間、次々と大きな音を立てて亀裂が奔り、粉々に破裂する。

 獲物を狙う残虐な赤い眼に鋭く射抜かれた岬は、その『獣』が持つ気迫に圧倒されて怯み、その場から一歩も動けずに立ち尽くしてしまった。

「レ、レイナ? レイナなのか?」

 問い掛けた岬の声が上擦り、擦れた。

 彼の声が届かなかったのか、人獣は四肢を低く撓ませると、一気に岬へ襲い掛かる。

 岬はインターセプタを起動させようと意識を集中するのだが、雑念が生じているのか起動出来ず、そのまま人獣に押し倒されてしまった。

ジンから受け取っていたショットガンの銃身で、人獣の顎を押し上げて揉み合いになった。眼の前で、鋭い牙がガチガチと咬み鳴らされる厭な音がする。

「止せっ! 俺が判ら無いのか? レイナッ! 俺だッ!」

 素早くメットのフィルタを押し上げて叫ぶのだが、人獣は鋭い牙を剥き出し、岬に喰らい付こうとして猛然と襲い掛かる。

「レイナッ! 止めろッ!」

 何度呼び掛けても無駄だった。人間の力とは思えない圧倒的なパワーを持った人獣の鋭い爪が、特殊繊維の防護服を紙細工のように意図も簡単に引き裂き、岬の身体を切り刻む。

 返り血が人獣の白い身体を紅く染めた。

 レイナを助けようとして一度は覚悟をした命だが、此処で彼女から引導を渡されそうになるとは皮肉な話だと思った。

 腕に力が入らなくなり、じりじりと床へ押し付けられて行く。もう駄目だと思って覚悟をしたその時だった。

「岬!」

 自分を呼ぶ声がして、銃声が響く。

 圧し掛かっていた人獣は、岬の身体からひらりと身軽に飛び退いた。そして、今度は後から現れた声の主を標的に変え、恐ろしい唸り声を上げてジンに猛然と襲い掛かる。

 ジンのインターセプタは正常に起動していたが、恐怖で委縮してしまった彼は、あっさりと床へ押さえ込まれてしまった。両腕で必死に顔をガードするが、胸を踏み付けられて呼吸が出来ない。

 堪らずに悲鳴を上げた。

「離れろ! ジン!」

 岬は上体を跳ね起こすと自分の拳銃を構えた。しかし、激しく揉み合う相手を目前にしていながら、引金を引く事が出来なかった。

 ジンがインターセプタを起動しているとはいえ、その相手は変わり果てた姿になったレイナだ。彼女を二度と傷付けたくはないと言う岬の気持ちが強くなり、躊躇いが岬の照準を鈍らせる。

「い……今だ! 岬! その銃で俺ごと狙え!」

 揉み合っていたジンの腕が人獣の首を捉えた。暴れる人獣を必死で押さえ込みながら声を張り上げる。

「しかし……」

 言われるまま岬は銃を構えたが、その引き金に掛けた指は微動だに動かせなかった。この銃で獣と一緒にジンは自分まで消せと言っているのだ。岬の脳裏に、FCIで観たシミュレーションCGの忌まわしい映像が過る。

「俺に構うな!」

 人獣は猛り狂ってジンを襲うが、インターセプタで保護されているので、牙はジンの身体までは届かない。

「何をしている! は、早く!」

「駄目だ……俺には……」

「愚図々すんなッ!」

「駄目だっ!」

 岬は激しく首を振った。

「『命令』だ! 岬ッ! 遣れ―――ッ!」

 声を限りにジンが叫んだ。

「っそおおお―――!!!」

『命令』だと言われても、岬は従う事が出来なかった。

 この武器を使用すればフィールドに閉じ込められた者は跡形も無く消し去られてしまう。そのターゲットがジンとレイナであれば、尚更使用する事が出来ない。

 FCIは『諜報』的な部類に属するが、決して人命を軽んじる部門では無い。ましてや岬は外科医でもある。そして、岬が所属している九課は、本来ならば助かる可能性が低い者を救う為の特殊部門だ。

 岬は両手で構えていたショットガンを素早く右手に提げると、腰に携帯していた自分の銃を利き手に持ち、二発の威嚇射撃をした。

 ジンの両腕が解け、人獣は彼の腕から素早く飛び退いて距離を措く。

「馬鹿野郎ッ! 折角仕留めるチャンスな……ッ!」

 顔面を紅潮させたジンは上体を跳ね起こすなり岬を睨み付けて罵倒したが、次の瞬間、激痛に襲われて顔を顰めて蹲った。どうやら今の揉み合いで右の鎖骨が折れたらしい。


 人獣は一瞬、燃えるような真っ赤な眼で二人を交互に睨み付けたが、岬の手にしている銃に危険を察知したのか、ぱっと身を翻して背を向けその場から逃走しようとした。

「!」

 反射的に岬の手が動き、腰だめに構えた銃の引金を引いていた。三本の楔が発射され、人獣の三方を確実に捉えて包囲する。

 強力なフィールドに捕えられた人獣は、驚いて狂ったように大暴れした。

「……」

 このままの姿で――人を憎む獣の姿のレイナを逃亡させてはいけないと思った。ただそう思っただけなのに、身体が勝手に動いたのだ。思いも依らなかった自分の行動に驚き、呆然と立ち尽くす岬の手から、力無く銃身が解けて滑り落ちる。

「遣っ……た」苦痛に歪めた顔を上げたジンが、奇跡だと言わんばかりに歓声を上げる。「遣った……遣ったぞ! さあ、スイッチを入れろ!」

「く……」

「何をしてる? 岬?」

 様子を訝る声のトーンが一気に下がる。

 岬はフィールドで完全に包囲された人獣に向かって、引き摺るように足を一歩踏み出した。興奮して手放しで喜んでいるジンとは反対に、岬の顔は蒼白だ。

「岬?」

「ナ……レイナ、判らないのか? 俺が」

 人獣には、もう岬の声は届かないのだろうか?

 岬の呼び掛けには応えず、人獣は必死になって抜け出そうとフィールド内で暴れ狂っている。

「目を覚ませ岬! まだ判らないのか! その獣は人間じゃ無ければお前の女でも無いんだ! スイッチを入れろ! それで総てが終わるんだ!」

 ジンが冷たく言い放つ。

「れ……いな……」

 岬は捕獲したフィールドの傍に立ち、俯いた。

 目の前がぼやけて人獣の姿が見えなくなってしまう……その岬の片手には、既に受け取っていた消滅用起動スイッチが固く握られていた。

鳩尾みぞおち: 肋骨が正面中央で繋がっている三角形の空間部分。横隔膜と胃の辺り。相手側正面に向って正確に突き上げると、非力でも大男に対してKO可能な急所。

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