覚悟
処女作です。察していただけると思いますが、とある教育機関をモデルに考えました。
あくまでも、モデルにしているので、実在の組織、人物には一切関係ありませんので、ご了承願います。
どうかご指導のほどよろしくお願いします。
また、更新は遅めです。
ー 20XX年、某国、某県、某所 ー
とある教育機関にて新たなる青春のページがまさに開かれようとしていた。
仮にここで、某A大学校としておこう。
桜も満開のこの時期、多くの若者の新しい生活が始まろうとしていた。
「ついにこの日が来たな」
一人の青年がバスから降り、正門の前で止まった。
そう、これが最後の決断となる。
この門に足を踏み入れるか否か、それによって今後の人生に大きく関わる。
彼は正門の前に立ち、ほんの一瞬目、を閉じて立ち止まる。
「覚悟は、とうの昔にできていたさ」
そう静かにつぶやくと周りの者に溶け込むように彼は門の奥へと吸い込まれていった。
ー その夜 ー
「新入生諸君、着校おめでとう!」
「「おめでとう!!」」
小さな集会所のような場所に、30名ほどの新入生の前に上級生たちが拍手で歓迎していた。
最上級生の代表の初めの歓迎から、次々とあちらこちらから言葉が飛んできた。
代表生が合図をすると一瞬で場は静まった。
「新入生諸君、『監獄』生活へようこそ!
我々は君たちを大歓迎する!」
ただでさえ緊張していた新入生だったが、
『何か聞いてはいけない言葉』が聞こえさらに顔が強張った。
というか先ほどから笑っている者は一人もいない。
「これより、新入生60期の歓迎として『アレ』をやる。準備はいいか!?」
「「はいッ!!」」
上級生は元気よく応えた。
新入生は相変わらず困惑している。
「腕立て伏せ用意!」
その言葉と同時に新入生を除く全員が一斉に姿勢を変えた。
「今年の新入生は何期だ!?」
「「60期です!!」」
代表の問いに一斉に周りの上級生が応えると、代表は続けた。
「お前ら、新入生に恥ずかしいところ見せるなよ!腕立て伏せ60回、始め!」
「いち!」
「「いち!」」
そしてその声は各階から聞こえた。
「……早速歩むべき道を間違えたかもしれない」
この奇景を前に、新入生の一人、宮本 友哉 は心の中でつぶやいた。
覚悟のことも早々に忘れてしまったようだ。
しかし彼を含め、ほとんどの者は気づいていない。
まだ本番すら始まっていないことに。
どうぞご指導のほど、よろしくお願いします。