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第九劇『悪華』

アイズ「『天駆ける者』だって!」


天満「え?『天駆ける者』って?」


シンセーテン「ふ〜むふむ。まだ完全に覚醒したわけじゃないんだねぇ〜。」


テントゥ「では、やはり…。」


シンセーテン「そうだねぇ、あの瞳の色は間違いなく『天駆ける者』の証だろうね。」


天満「ち、ちょっと待ってくれ!いきなりなんなんだ?詳しく説明してくれよ!」


アイズ「まさか、天満が…?」


シンセーテン「じゃあ僕が説明してあげるね。遥か昔、この『オルテナ』に、まだエルフが存在してなかった時代。そう、霊神だけが存在していた時代。ある一つの生命体が『オルテナ』に降り立った。そして、その生命体から一人のエルフが誕生した。」


アイズ「聞いたことがある。そのエルフの名前は確か…。」


テントゥ「『始まりのエルフ』。」


アイズ「そうだ!エルフネームで『アオス』だ!」


シンセーテン「そう。そして、その『アオス』は霊神を統べる、心優しい『オルテナ』の王になっていった。だが『アオス』は、ある時思った。『退屈だ』と。その時から『アオス』は変わった。霊神を蹂躙していった。ある時は霊神を虐殺したり、ある時は霊神に邪悪な心を植え付けたりもした。」


天満「そうか!そうやって生まれたのが『邪霊』なんだな!」


シンセーテン「そのとおりだよ。だけど、『アオス』の蹂躙時代に幕が降りる時がきたんだよ。ある時、『アオス』を創造した生命体とは別の生命体が現れたんだよ。そして、その生命体から生まれた者が『アオス』を封印した。」


天満「そいつが『天駆ける者』なのか?」


シンセーテン「その者は白美の翼を纏い、手には『神剣』を持ち、瞳の色は翡翠…。その者の名前は『ディーク』。そして、『ディーク』は言ったんだよ。『我が翡翠眼は天の証。無双の証。』と。」


天満「で、でも、俺の瞳は黒だよ!」


テントゥ「おそらくは、感情が高ぶった時に力の片鱗として『翡翠眼』になるのであろう。」


天満「俺が…『天駆ける者』?」


シンセーテン「まあ、唐突過ぎて分からないよねぇ。でも君は真実を知るために『オルテナ』に来たんでしょ?だったら、真実には目を背けちゃダメだよ。」


天満「何で知ってるんだ?」


シンセーテン「シャウトから聞いてるよ。アイツがここに来るように言ったんでしょ?まったく!アイツは強引だからねぇ。久々に苦労させられそうだよ。」


天満「シャウトが?」


シンセーテン「そうそう。突然やって来たと思ったら、『ここに辿り着く者に力を貸してやってくれ!きっとお前も気に入る男だから!』って言って、さっさと帰るんだもの。あれでも『三霊神』の一角なのかねぇ〜。」


テントゥ「シンセーテン様。お約束通り、私は本気で相手をしました。」


シンセーテン「うん。さて、天満。君の得たい力とは何?」


天満「それは……守る力だ!大切な人を悲しませたくない!だけど今、その人が辛い目にあってるかもしれない。だから、救い出し守るための力が俺には必要なんだ!」


シンセーテン「ふふふ…期待通りの答えが返ってきたねぇ。今のエルフにも、君みたいなのもいるんだね。気に入ったよ!僕はこれから君と共に歩もう!君が選んだ道の答えを僕も見たくなったよ!」


天満「シンセーテン…。」


シンセーテン「テントゥ、留守をしっかり頼むね。」


テントゥ「はっ!どうかお気を付けて。」


シンセーテン「それじゃ、これからよろしくね天満!」



(シンセーテンは剣になった。)



天満「よろしくな!シンセーテン。」


テントゥ「では、入り口まで飛ばすぞ。」


天満「と、飛ばす?」


アイズ「安心しろ。ワープの一種だ。」


天満「そ、そうなのか…。」


テントゥ「ではまた会おう。シンセーテン様をよろしく頼む!はっ!」



(入り口に到着)



天満「ほ、本当に一瞬だったな。す、凄い…!」


アイズ「天満。」


天満「どうした?」


アイズ「平気……か?」


天満「え?あ、ああ。さすがに動揺してるよ。でも、俺が何だろうと、今することは一つだけだ。真雪を救い出す!」


アイズ「お前は強いな…。」


天満「何だよ急に?俺より強いくせに…。」


アイズ「ふ…ああ…天満には負けないぞ。」


天満「一緒に来ないか?」


アイズ「え?」


天満「アイズが何を探してるのか知らないけど、俺にも何か手伝えることがあるかもしれない。もちろん、真雪を救い出した後で良かったらだけど。」


アイズ「天満……あ、当たり前だ!僕はお前に山程貸しがあるんだ。それを返してもらうまで、ついていかせてもらう!」


シンセーテン「ふ〜むふむ。仲良きことは美しきかな。」



(その頃真雪は)



真雪「はあはあはあ……て…天く…。」


フィアン「真雪さんっ!」


ネオス「ふふふ…まさか本当に『神代』だったなんてね。」


フィアン「『神代』…?」


真雪「う…うう…。」


フィアン「真雪さん!ご無事ですか?」


真雪「は、はい…。私はいったい…?」


ネオス「『神代』だけが扱える『伝心の光』。それを君が使ったんだよ。」


真雪「え…?『神代』?」


ネオス「生け贄だよ。」


真雪「生け贄…?」


ネオス「そう、そのために君達を連れて来たんだよ。」


フィアン「では私も『神代』なのですか?」


ネオス「ううん。『神代』は一人だけだよ。それぞれ天の国と地の国と海の国が『神器』を一つずつ持ってるんだけど、神の復活のためにはその『神器』が必要なんだよ。今僕の手元には、海の国『メイルーン』にある『クリアソウル』だけあるんだけど、残り二つの国の『神器』が見つからないんだよ。だから、地の国の王女である君に来てもらったんだよフィアン姫。君なら地の国の『神器』の居場所知ってるよね?」


フィアン「存じ上げません。」


ネオス「しらを切るのかい?」


フィアン「本当に存じ上げません。」


ネオス「……まあいいや。先にもう一つの方、天の国の『レアブレード』を手に入れるとしよう。じゃあまた来るからね。それまでには、本当のことを言う気になるかもね。力ずくは本意じゃないからね。」


フィアン「……。」


真雪「天くん…。」


ネオス「ゼロ。」


ゼロ「ここに。」


ネオス「『レアブレード』の情報は?」


ゼロ「それがさっぱりです。天の国にも捕虜として捕えていた方に聞いたのですが、本当に知らなかったみたいです。『ツァビデル』が尋問というか拷問したので間違い無いかと。」


ネオス「そう、とりあえず集合してくれる?」


ゼロ「はい。」


ネオス「やあ、こうやって皆が揃うのは久しぶりだね。ああそうだアスフォート、彼女を連れて来てくれてありがとうね。」


アスフォート「いえ。」


?「けっ、相変わらずの紳士気取りか?」


アスフォート「……。」


?「今度はダンマリか?気に食わない野郎だ!」


?「そのへんにするさ〜『ツァビデル』。ネオス様の御前さ〜。」


ツァビデル「そういうテメエこそ、イライラする喋り方するな『ラーハイド』!」


ラーハイド「僕様はこれが普通さ〜。はぁ〜自分の話し方に酔うさ〜。」


?「そろそろ、本当に静かにしなさい。ネオスが話されます。」


ラーハイド「ゴメンさ〜。でも君だってネオス様を呼び捨てはいけないさ〜。」


ネオス「アハハ!いいよラーハイド。『シェイリア』だけじゃなく、他の皆も好きに呼べばいいよ。」


ゼロ「ではネオス様。」


ネオス「うん、そうだね。君達に集まってもらったのは他でもないよ。手分けして、『レアブレード』を見つけて欲しいんだ。」


ラーハイド「だけどさ〜、まだ『アイツ』が来てないさ〜。」


ネオス「彼なら心配いらないよ。大方、どこかで昼寝でもしてるんじゃないかな?では皆、頼むね。」


ゼロ以外「はっ!」


ネオス「ふふふ…君達『五真将』ならすぐ見つけてくれるだろう。今こそ『天神地祇』の雄志の旗を掲げ、世界を浄化する。あははは…!」



(その頃天満は)



天満「そういや、最初のエルフを生み出した生命体ってなんだ?」


アイズ「分からないが、想像はつく。おそらく…『霊鳥オルフェリア』と『霊獣ドリューマ』じゃないか?」


シンセーテン「そのとおりだよ。『始まりのエルフ・アオス』を『ドリューマ』が、『天駆ける者・ディーク』を『オルフェリア』が創造したんだよ。そして、『アオス』を封印した後、『オルフェリア』と『ドリューマ』は次々とエルフを生み出したんだよ。」


天満「そうか!『オルフェリア』に対抗して、『ドリューマ』もエルフを生み出したんだな。」


シンセーテン「そう。『オルフェリア』は天のエルフを、『ドリューマ』は地のエルフをそれぞれ生み出したんだよ。今でこそ純エルフ、つまり純粋な天や地のエルフは少なくなっちゃったけどね。天と地のエルフが交配すると純粋な血を持つエルフは生まれないからね。だけど、天満のお母さんみたいな人もいるんだよね。」


天満「な!」


アイズ「『マーティア』さんと、あの男のことだな。」


天満「母さんは…母さんは悪くないんだ。父さんだって…。」


シンセーテン「確かに本来は当人同士の問題なんだろうけど、君のお母さんについては問題があったんだよね。」


天満「く……!」


アイズ「『マーティア』さんは…いや、『マーティア』様は地の国の王女だったからな。しかも、好きになった相手が『霊神』なんだ。騒ぎにならないことが不思議だからな。」


天満「母さんだって、そんなこと分かってたはずさ…。でも、それでも母さんは父さんを選んだんだ!」


シンセーテン「そして、人間界に逃げようとしたが、ハンターがやってきて、君達を殺そうとした。」


天満「ああ…その時父さんが守ってくれたんだ。命を懸けてな。」


シンセーテン「でもね、そんなことで王女を殺すと思う?確かに問題はあるけど、本当に殺されるようなことかい?」


天満「じゃあやっぱり!」


シンセーテン「戦争の真実を知ってたんだよ。」


天満「やっぱり…。」


シンセーテン「後は君のバンダナのせいだよ。」


天満「え?どういうことだ?このバンダナは、『オルテナ』に来る前に母さんに貰ったものだぞ!」


シンセーテン「君が知らないのも無理はないよね。そのバンダナはね、元々天の国に納めてあった『神器』なんだよ。」


アイズ「まさか、このバンダナが『レアブレード』なのか?」


シンセーテン「そのとおりだよ。おそらく、君の父親『星の霊神ダイン』が盗んだんだろうね。」


天満「父さんが…?」


シンセーテン「僕も実際にこの目で、そのバンダナを見なければ分からなかったよ。間違いなく、そのバンダナは『神器レアブレード』だね。」


アイズ「天満、それを『マーティア』様から渡されたって言ったよな?」


天満「ああ…。」


アイズ「ならお前は託されたんだよ。『オルテナ』と人間界の未来を。それに『マーティア』様だって戦ってるはずだ!それにお前の父親も。」


天満「…ああ、ずっと見守ってくれていたんだね。父さん……母さん…。」


シンセーテン「一つの真実が分かって良かったね天満。さあ、もうすぐで『マドラド』に到着するよ!」


天満「ああ。二人とも、ありがとう。」



(『マドラド』に到着)



天満「ソリッドさんっ!」


ソリッド「天満!帰ってきたのか!」


天満「はい。あの…剣斗達は?」


ソリッド「邪霊退治だよ。」


天満「邪霊退治?」


ソリッド「それぞれの地方に行ってもらってるよ。」


天満「修業は…?」


ソリッド「終わったみたいだよ。ふふ、彼らに会うと驚くよ!」



(物陰にゼロ)



ゼロ「おや?天満くん?あの剣は…霊神?へぇ〜またまた楽しみが増えましたね。」



次回に続く




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