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第七劇『敗残』

剣斗「天満ーーー!」


琴花「扇くん!真雪は無事?」


天満「う……くっ…!」


琴花「ま、まさか…?さらわれた……の?」


天満「俺は……また……守れなかった……また……俺は…何も……。」


剣斗「天満…。」


シャウト「……とりあえず、部屋で話そう。」


剣斗「ほら…天満。行くぞ…。」


天満「あ、ああ…。」



(その頃、真雪は)



真雪「う…うう……こ…ここは?」


?「あら、目が覚めましたか。」


真雪「はっ!あ、あなたは?」


?「私は『フィアン』と申します。ここがどこなのかは、私にも分からないですわ。私も気がつくとここにいたものですから。」


真雪「そうですか。私は真雪と言います。私はアスフォートという人にさらわれて来たんだと…思います。」


フィアン「真雪さんは何故さらわれたのか、ご存じなのですか?」


真雪「分かりません。それに私は『オルテナ』に来たばかりの人間なんです。初めて来たのに……。」


フィアン「そうでしたの…人間でしたのね。どのようなご理由で『オルテナ』に来られたのですか?」



(真雪は今までのことを話した)



フィアン「そうですか、戦争を止めに…。ですが、この戦争の真意は……。」


真雪「もしかして…フィアンさんも知ってるんですか?この戦争は真実を隠すための嘘だっていうこと。」


フィアン「真雪さんもご存じだったのですか!本当に愚かしい事実です。その事実を知ったのは父が殺された時なのですから、私自身も愚かですわ。」


真雪「父?もしかして…?」


フィアン「はい。『地のラフォール国王』は私の父ですわ。」


真雪「!」



(その頃の天満は)



ソリッド「何故、真雪さんが連れていかれたのか、それに『主』とは誰なのか。そして、両国が滅ぶという事実。分からないことだらけだな。」


シャウト「これからどうするか…。」


天満「そんなの決まってるだろっ!真雪を取り戻すんだ!そうだろ!」


皆「………。」


天満「なんで黙ってるんだよ!」


シャウト「とにかく落ち着くんだ。」


天満「落ち着けるかっ!俺のせいで真雪は…俺が『オルテナ』に連れて来たせいであんなことになったんだぞっ!もしかしたら、真雪は今苦しい目にあってるかもしれないんだぞ…。それに、泣いてたんだ……守るって……悲しい思いはさせないって誓ったのに……。」


シャウト「勘違いするな!」


天満「え…!」


シャウト「悔しい思いをしてるのは、お前だけじゃない。あの時、誰一人として、アスフォートの行いを止めることが出来なかった。皆悔しいんだ!だから必死でどうすればいいか考えているんだ!悔やむより今はすることがあるだろ!」


天満「シャウト…皆…。」


剣斗「真雪は必ず救い出す!」


琴花「そう!今度はアイツをギャフンと言わすよ!」


ミラァ「天満を悲しませる奴は、このミラァちゃんがやっつけてあげるよ!」


シャウト「お前が過去に何があったのかは、詳しくは知らない。だが今は一人じゃないだろ?お前の周りには信じあえる仲間がこんなにもいる。」


天満「皆………ありがとう……ありがとう…。」


剣斗「だけどそのためには。」


シャウト「ああ…今奴の居場所を突き止めても、返りうちにあう確率が高い。それほど、奴は強い。」


天満「何だってやるさ!真雪を取り戻すのに力が必要なら、必ず手に入れて真雪を救い出すんだ!」


皆「うん!」


琴花「でもさ、実際どうすればいいの?そんな短時間で強くなれんの?」


天満「アスフォート……アイツが言ってた。霊神を持ってないのはつまらないって。」


シャウト「確かに霊神を味方につければ、戦闘力は確実に上がる。」


剣斗「でも俺達は霊神持ってるけど、ドームにすら歯が立たなかったぞ!」


シャウト「お前達三人は人間だからな。やはり身体的にはエルフより劣る。」


ミラァ「じゃあ、どうすればいいのよ!これ以上強くなれないの?」


シャウト「一つだけある。だがこの方法は…。」


剣斗「あるなら言ってくれ!危険があるかもしれないってのは分かってる!」


天満「そんなの駄目だ!危険があるって…。」


剣斗「天満、俺はお前の力になる。そう決めたんだ。あの時…お前が俺を救ってくれた時に。」


天満「でも…。」


剣斗「俺はお前に会わなかったら、死んでたと思う。でっけえ借りだ……返す時は今なんだ!俺に返させてくれよ!そして今度は、お前が持ってる荷物を、少し俺に貸せよ。親友だろ?」


天満「剣…斗…。」


琴花「はいはいは〜い、男同士の熱〜い愛情はいいんだけどさ。」


剣斗「愛情じゃねぇ!友情だ友情!」


琴花「とにかく、私だって降りないからね。私にもここに来た理由がしっかりある!それをクリアしないで帰るなんてできないからさ。中途半端はもう卒業だかんね!しっかり最後までやり通す!今の私に迷いはないよ!」


ミラァ「アタシだって!」


シャウト「ミラァ…。」


ミラァ「ララァにも約束したんだもん。必ず平和にして、皆で『虹色蝶』を見に行くって!誰一人欠けたってダメなんだからね!アタシも平和を取り戻すために頑張っちゃうよ!」


シャウト「ふ…大きくなったもんだな。あの泣き虫ミラァが…。(ボソ)」


天満「俺は母さんを守るため。全ての真実を知るため。そして、真雪を取り戻す!どんなことをするにしたって力がいる。だったら俺は強くなる!譲れないモノがある!それを守るために!」


ソリッド「この子達…人間とは不思議だな。エルフと違って寿命が短い、だから必死で守るんだろうな。大切なモノを…。」


シャウト「お前達の覚悟、確かに見極めた!よしっ!人間のお前達には、私が自ら修業を課す。」


天満「俺は?」


シャウト「天満には、『究の回廊』に行ってもらう。」


天満「そこなら、ララァさんと行ったぞ。」


シャウト「知っている。だが『極の宝塔』には辿り着いてはいないだろ?」


天満「あ!そういえばララァさんが、この先はまだ早いって言ってたな。」


シャウト「そこには、霊神や邪霊がウヨウヨいる。そして、頂上に辿り着いた者はいないとまで言われている。いい伝えでは、『霊神王』の降り立つ場所だと言われている。」


天満「いい伝えか…。」


シャウト「だが、何かしら強くなるヒントを得られるかもしれない。行ってみる価値はあるぞ!」


天満「そうだな、分かった!」


剣斗「ちょっと待ってくれよ!そんなに危険だったら皆で行けばいいだろ?」


シャウト「そんな時間は無い。それに、『究の回廊』はエルフしか入れない。もちろん霊神は入れるがな。人間の体では耐えられない場所なんだ。」


剣斗「……っ!」


天満「剣斗、俺を信じてくれ。俺は一人じゃないんだろ?」


剣斗「天満…分かった。気を付けろよ!そして…強くなれよ!」


天満「剣斗もな!それに、琴花もミラァも、頑張れっ!」


琴花「な〜んか、取って付けたような言い方だけど、扇くんも頑張って!」


ミラァ「絶対真雪を助けようね!ライバルがいないのはつまらないしね!」


天満「え!あ、あの…!」


シャウト「アハハ!お前達なら必ずやれる!自分達の可能性と絆を信じろ!じゃあ早速天満は『究の回廊』へ。これは途中までの地図だ。」


天満「ああ、ありがとう!皆っ!行ってくる!頑張ろうな!」


皆「おうっ!」



(天満は『究の回廊』に到着)



天満「着いた。はぁ〜〜〜〜ふぅ〜〜〜。よしっ!ん?邪霊か!」


?「シャアアア!」


天満「か、数が多い!しかもこいつは、毒の『アウトビート』じゃないか!どうする…!」


アウトビート「『ポイズンバイト』!」


天満「くっ!」


?「『烈千華』っ!」


アウトビート「ギィァァァァァ!」


天満「お、お前は!」


?「相変わらず弱いな。天満とやら…。」


天満「確かあの時の…?『アイズ』…だったな。」


アイズ「ふ…覚えてたのか。」


天満「忘れるか!」


アイズ「とにかく今はお前なんかに関わってる暇はない。危ないところを助けてやったんだ。早く帰りなよ。」


天満「助けてくれたことには礼を言う。だけど、まだしっかり答えてもらってはいない!」


アイズ「何をだ?」


天満「お前は何者なんだ?」


アイズ「答える義務は無い!」


天満「だったら一つだけでいい。ここに来た理由は何だ?」


アイズ「……探しものだ。」


天満「探しもの?『究の回廊』にか?」


アイズ「ああそうだ。ここに導かれた。」


天満「導かれた?何に?」


アイズ「そこまで答える義務は無い。」


天満「…お前は国を滅ぼした奴じゃないんだな?」


アイズ「質問は一つだろ?」


天満「………。」


アイズ「まあいいか。僕はお前達が城を滅ぼした奴だと思った。こう言えばわかるな?」


天満「…そうか…良かった。」


アイズ「変な奴だな。怒ったかと思えば、今度は笑いか。」


天満「まあいいだろ?それより、俺もここに用があって来たんだ。強くなるために。」


アイズ「お前の腕じゃ命を落とすぞ。」


天満「俺はまだ死ねない。大切な人がいるから。守りたい人を救い出さなきゃならない。だから、しがみついてでも生きて力を得るんだ!」


アイズ「………勝手にするんだな。本当に死んでも知らないぞ。」


天満「俺は負けない!真雪、待っててくれよ!」



(その頃ゼロは)



ゼロ「素直に渡して頂けませんか?あなた方を傷つけたくはありません。今では数少なくなった『海のエルフ』族を。」


海のエルフ族の長「お主が何と言おうと渡せん!お主は忌まわしき過去を繰り返す気かっ!」


ゼロ「嫌ですねぇ〜。『クリアソウル』を欲しているのは僕じゃないですよ!欲しているのは僕のいわゆる上司って方です。ですから持って帰らないと叱られちゃうんですよ。」


海のエルフ族の長「立ち去れぃ!」


ゼロ「話し合いには応じてくれないんですか?」


海のエルフ達「帰れ!帰れ!帰れ!」


ゼロ「ん〜なら、話し合い以外の手になりますね。残念です………な〜んて、実はもう手に入れたんですけどね!」


海のエルフ族の長「なっ!なんじゃとっ!…なんじゃ…まだあるではないか。」


ゼロ「ふむふむ、なるほどなるほど。あの柱の球がそうなんですか。」


海のエルフ族の長「し、しもうた!皆の者、こやつを取り抑えろ!」


ゼロ「はぁ〜素直に渡して頂ければ良かったのに。まったく………仕方が無いですね!」


海のエルフ達「うわぁぁぁぁぁぁ!」


ゼロ「いやいや、随分手間取りましたが、『クリアソウル』頂きましたよ。では皆さん、ご機嫌よう…。」


海のエルフ族の長「あ、悪魔じゃ……一瞬で皆を…!」



(ゼロ帰還)



ゼロ「なかなか苦労させられましたよ。」


?「海族は頑固だからねぇ〜。でもゼロならやってくれると思ってたよ。これで、あと二つだね。ところで、捕えてきた女の子達にそろそろ会ってみようと思うんだけど…。」


ゼロ「分かりました。お嬢さん方は『空の間』にいらっしゃいます。」



(その頃真雪は)



真雪「フィアンさんのお父さんが真実を消そうとしていたって本当なんですか?」


フィアン「ええ、父は亡くなる寸前に、この『メモリーキューブ』を私に。これは、記憶を残すことができるのですわ。この中には父と『エーテル王』が密会してるところが残されていました。」


真雪「それでフィアンさんは知ったんですね。」



(誰かがドアをノックする)



二人「!」


?「初めまして。僕は『ネオス』…。」



次回に続く



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