第二十七劇『麗花』
ラーハイド「おお〜待ってたさ〜！また会えて嬉しいさ〜！これで確実さ〜！君と僕様は赤い糸で美しく結ばれているさ〜！マイハニ〜！」
琴花「はぁ……コイツか…。」
ユズキ「お知り合いですか？」
琴花「ただのストーカーだよ。」
ユズキ「え？ストーカー？」
琴花「アイツの相手は……私なんだろうなぁ……凄く憂鬱…。」
ユズキ「そんなに嫌でしたら私が…。」
琴花「ううん。コイツには私も用があったんだ。あの時、子供を傷つけようとしたこと……キッチリ後悔させてやらなきゃ！だからユズキさんは先に。」
ユズキ「分かりました。ですが無茶はしないで下さいね。剣斗さんが悲しみます。」
琴花「な、何で剣斗が出てくんのっ！もうっ！ユズキさんは早く行って！」
ユズキ「ふふ…分かりました。…気を付けて。」
琴花「止めないんだ？」
ラーハイド「僕様の瞳には君しか写らないさ〜！そう！僕様とマイハニーの二人だけの世界………か・い・か・ん！」
琴花「私だけ……貧乏クジじゃん…。」
ラーハイド「さあ！愛を語り合おうさ〜！」
琴花「はいはい、勝手に語っときなさい…。」
ラーハイド「では…『バーストナイフ』。」
琴花「な！いきなり何すんのさ！」
ラーハイド「語り合おうって言ったさ〜！」
琴花「はあ？」
ラーハイド「さあ！聞かせてくれさ〜、美しき悲鳴を…。僕様の愛の爆撃で…。」
琴花「コイツ…！アンタね、愛の意味分かってんの！」
ラーハイド「もちろんさ〜！愛する者が僕様の爆撃で悲鳴をあげ散っていく……ゾクゾクするさ…。」
琴花「コイツ…ヤバイ！」
ラーハイド「さあ！鳴いておくれさ〜！『ドロップボム』！」
琴花「くそぉ！やっぱり貧乏クジじゃんか！あんな変態を相手しなきゃいけないなんて！」
ラーハイド「その顔…いい…さ。もっと魅せてくれさ〜！」
琴花「このっ！『クールブラスト』！」
ラーハイド「素晴らしい……美しい……君を…壊したい…。」
琴花「全く！あんな危ない奴信じらんないよ！フーちゃん！」
フーディン「災難だね…。でも強さはズバ抜けてるみたいだね。」
ラーハイド「それが君の霊神さ〜？それでは僕様も魅せるのが礼儀さ〜！『スノウビィ』。」
スノウビィ「やっほぃ！アタシ『爆のスノウビィ』よぉ！よろしくねぃ！あ、好きなモノはあつ〜いミルクなのぉ！今度一緒に飲まない？あ、でも敵同士だから無理だよねぃ！失敗失敗！でもよろしくねぃ！」
琴花「う…うるさい…。」
フーディン「き…きつい…。」
ラーハイド「ふふ……スノウビィ、紹介するさ〜！あの女神は僕様のフィアンセさ〜！」
スノウビィ「ラーハイドおめでと〜う！アタシも早く好きな殿方を見つけて……キャハ、もうっ！言わせないでよぉ！」
ラーハイド「アハハ！このて・れ・や・さ・ん！」
スノウビィ「いやんもうっ！ラーハイドのいけずぅ〜！」
ラーハイド「アハハ！」
琴花「ほ、本当に帰ろうかな…。」
ラーハイド「さあ！僕様の女神を輝かせるさ〜！『エクスプロージョン』！」
琴花「『ストルムレジスト』！はあぁぁぁ…『ハリケーンカッター』！」
ラーハイド「ち、ちょっとマズイさ〜！くっ！」
琴花「アンタのしたことは絶対許さない！たたみかけるよフーちゃん！『エアログラビティ』！」
ラーハイド「ぐぅぅぅぅっっっ！」
琴花「や、やった？」
フーディン「まだだよ！凄まじい『錬』が！」
ラーハイド「さすがは女神さ…。僕様をここまで……。」
琴花「あれは『超霊化』！」
ラーハイド「はっ！」
琴花「きやぁぁぁっっ！」
ラーハイド「ふふ……いい悲鳴さ…。さあ…君はどんなふうに散ってくれるさ…。」
琴花「くっ……悪いけどアンタになんかに負けらんないのよ！以前の私だったら諦めてたんだろうけど、残念だったね……今の私は力を手に入れた……諦めないっていう力を！フーちゃん！」
フーディン「うん！」
ラーハイド「う…美しい…！」
琴花「これが私の決断の力『桜麟の鍵』よ！」
ラーハイド「いい……いい…本当にいいよ……マイハニー琴花！」
琴花「アンタに教えてあげる。本当に綺麗なモノを！」
ラーハイド「はは……勝負さ！」
琴花「はぁぁ…。」
ラーハイド「銀河より降りたもう無数の星団よ…。」
琴花「紅き風、白き風、蒼き風、三者相応混じりし力よ…。」
ラーハイド「大気に漂いし越えんなる鮮血で染め…。」
琴花「高き旋空から轟く力となり、風雅と共に…。」
ラーハイド「大きくはばたき爆炎となせっ！」
琴花「全てを切り裂き殲滅せよっ！」
ラーハイド「『メテオバーニア』！」
琴花「『ゴッドサイクロン』！」
二人「はあぁぁぁーーーーーーっっ！」
ラーハイド「くっ！」
琴花「負けてらんないのよっ！こんちきしょぉぉぉっっ！」
ラーハイド「な！ぐわぁぁぁっっっ！」
琴花「はあはあはあ……ぐぅっ！」
フーディン「はあはあはあ……琴…花！大丈夫…？」
琴花「全身が痛い……くっ…！」
ラーハイド「く……！」
琴花「どう？痛いでしょう？これがアンタがしてきたことなんだよ！」
ラーハイド「痛み……分かってるさ……だからこそ僕様は…。」
（ラーハイドの過去）
？「ラーハイド！」
ラーハイド「『フラウ』！どうしたさ？」
フラウ「どうしたじゃないって！今日は『発花祭』よ！」
ラーハイドの語り「フラウは僕様の幼馴染みで、僕様の唯一の理解者だったさ。僕様の住んでた村には『発花祭』と呼ばれる花火大会があったさ。」
フラウ「ラーハイド、アンタは将来どうすんの？」
ラーハイド「まだ決めてないさ。」
フラウ「じゃあ…さ、もし良かったら、私と一緒に植物研究家にならない？と言っても花専門だけどね。」
ラーハイド「え？」
フラウ「この世界には、まだ見たこともない綺麗な花がたくさんあると思うんだ。私は世界を回って、素敵な花達と出会いたい！ラーハイド、私と一緒に美しい花を見つけない？」
ラーハイド「それもいいさ……フラウと一緒ならさ。」
フラウ「ラーハイド…。」
ラーハイドの語り「幸せだったさ。今この瞬間が僕様の全てだったさ。フラウとの時間が一番美しい時間だったさ。だけどさ…。」
ラーハイド「フラウ！フラウ！」
フラウ「み…見ないで…！」
ラーハイド「誰か！医者を！医者を呼んでくれさ！フラウが！」
ラーハイドの語り「祭の最中に発射機が暴走して、それにフラウと僕様は巻きこまれたさ。僕様達は命こそ別状は無かったさ…でもフラウは顔に直撃し、大火傷を負ったさ。美しかったフラウの顔が、一瞬で踏みにじられたさ。」
ラーハイド「ん？ああ…寝てしまったさ……フラウ？どこさ、フラウ！」
フラウ「ラーハイド……ごめんなさい。」
ラーハイド「フラウの声！屋上さ！……はあはあはあ……フラウ！」
フラウ「私は……綺麗な花になりたかった…。ラーハイド、ごめんなさい。」
ラーハイド「何言ってるさ！フラウは綺麗さ！」
フラウ「言わないでっ！」
ラーハイド「フラウ…！」
フラウ「こんな姿になった私の思いなんて誰にも分かんないよ！ラーハイドにも迷惑かけて……私はラーハイドの枷になりたくないの。私の花は……枯れてしまったの…。」
ラーハイド「違う！僕様は君が君だから好きになったさ！」
フラウ「これ以上…私を困らせないで。私のせいでラーハイドにも迷惑がかかる…。ごめんね…ラーハイド。」
ラーハイド「フラウッ！」
フラウ「次はきっと素敵な花に……ありがとう……大好き…ラーハイド…。」
ラーハイド「あ……ああ……フ…フラァァァーーーウッッッ！」
（現代へ）
ラーハイド「あとで分かったさ。暴走したのは子供のイタズラ…。だけど大人達は叱りもしなかったさ。フラウが死んだことも、仕方ないと…。汚いさ……あんなに美しかったフラウの顔を！僕様のフラウを！だからこの世界の醜いものを全て破壊するさ！せめてフラウが好きだった綺麗なモノだけを残すことが、僕様にできる唯一のことさ！」
琴花「確かに汚いね。」
ラーハイド「おお〜君もそう思うだろ？さすがは僕様の…。」
琴花「今のアンタがね。」
ラーハイド「え？」
琴花「アンタが怒る理由は分かる。でも今のアンタは一番汚い！」
ラーハイド「僕様が…汚い…？」
琴花「アンタ言ってたよね。フラウがフラウだから好きになったって。だけど今のアンタはフラウへの思いを理由に、いや、フラウのせいにして好き勝手に他人を傷つけてるだけよ！行き場の無い怒りを他人にぶつけてるだけだよ！」
ラーハイド「あ…。」
琴花「アンタが本当にフラウのことを思ってんなら、もっと他に出来ることがあるだろ！フラウの思い、夢をもう一度よく思い出しなさいよ！」
ラーハイド「琴花…。」
琴花「言ってたじゃんか…。フラウとの時間が本当に全てだったって！今のアンタはその時間をも否定していることになるんだよ！そんなの…フラウが可哀想だよ！フラウを醜くしてるのはアンタ自身よ！ラーハイド！」
ラーハイド「フラウを…僕様が…？」
琴花「本当に美しいモノはね。思いやる心なんだよ。心にある花を綺麗に咲かせることが出来て、初めて人は美しくなるんだよ！アンタに咲かせる自信ある？儚く、それでも必死に生きようと輝く花を！」
ラーハイド「フラウ…！」
琴花「だけどフラウも死ぬべきじゃなかった。そこは責めるよ。だけどアンタはまだ生きてる。まだ綺麗に咲かせることができるんだよ！」
ラーハイド「琴花…。」
琴花「咲かせてみなよ！アンタだけの美しい花を…！」
ラーハイド「…僕様は……間違っていたんだね……ありがとう琴花…。君は…。」
琴花「似てんでしょ？」
ラーハイド「え？」
琴花「フラウに似てる私だから、愛しいと想う反面、憎かったんでしょ？自分を置いて死んだフラウに似てるから。」
ラーハイド「君には負けるさ…。…こんな僕様にも心の花を咲かせることができるのか…。」
琴花「今のアンタなら出来るよ！」
ラーハイド「あ………ふ……行きなよ。」
琴花「…うん。ラーハイド、今のアンタなら嫌いじゃないかもね！」
ラーハイド「琴花……ありがとうさ………フラウ……僕様も咲かせるよ……君に負けない美しい花を…。」
琴花「うう……体が…ぐぅっ！」
フーディン「琴花！」
琴花「ごめん…みんな……剣斗…。」
（天満は）
天満「ここが次の部屋か！『影血の間』……アイツか…。」
シャウト「天満…。」
天満「開けるぞ。」
？「ようやく来たな。ディークの後継者よ。」
天満「『アスフォート』！」
シャウト「天満、我々は！」
アスフォート「シャウトよ！お前に会いたいという奴がいる。そして君…ミラァにも。きっと懐かしいだろう。」
ミラァ「え？アタシにも？」
アスフォート「そこの部屋の奥だ。」
シャウト「懐かしい…？ミラァ、行くぞ！」
ミラァ「う、うん。」
天満「アスフォート、『ポンコロ』達の仇とらせてもらうぞ！」
アスフォート「ゴミのか？」
にゅう「ゴミじゃないにゅ〜っ！」
天満「にゅう！お前ついてきたのか！はあ……まあいいや、危ないから下がってな。」
にゅう「にゅう…。」
（シャウトは）
シャウト「ここか……『死鏡の間』か。」
ミラァ「一体誰だろ？まあいいや。開けるよ！」
シャウト「な……バカな…。」
？「殺す…。」
次回に続く
