表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/40

第十七劇『後継』

天満「………。」


剣斗「…怖いか?」


天満「え?こ、怖く…なんて…。」


剣斗「確かに怖いよな。自分の中にもう一人の人格があって、しかもそいつは破壊衝動満開の奴。それにもしかしたら奴に体を乗っとられるかもしれない。」


天満「う……。」


剣斗「その恐怖は俺達には分からない。分かりたくてもな…。だけどな、お前の力になることはできる。」


天満「剣斗…。」


剣斗「俺が必ず助けてやる!一人で悩むな!俺がお前を支えてやる!あの時、天満が俺を支えてくれてたように、今度は俺が天満を支えてやる!」


天満「…剣斗…ありがとう。少し、勇気が湧いてきたよ。ありがとうな。」


剣斗「ああ。」


ミラァ「何か異常なくらい仲良いよね。」


琴花「あの二人はね、お互いが特別なんだよ。」


ミラァ「ま、まさか…?」


琴花「そう……ホ…。」


剣斗「ホモじゃないぞ!」


琴花「うわぁお!いきなり何さ!」


剣斗「全く、何を話してるのかと思ったら…。」


ミラァ「ホモじゃないの?」


剣斗「違うっつうの!」


シャウト「コラ!遠足じゃないんだぞ!」


三人「は〜い。」


シャウト「ふぅ…そろそろ『第一景』だ。」


ノア「何ですかそれ?」


シャウト「ああそうか、説明してなかったな。この『泉帝山』はな、三つの山が複合されてできている。その一つ目の山を『第一景』と言うんだ。続いて二つ目を『第二景』、三つ目を『第三景』という。」


ノア「そうなんですか。さすがは『三霊神』ですね。何でもご存知ですね。」


シャウト「はは、まあ初めてじゃないからな。昔、『ディーク』に連れられて来たからな。」


ノア「そうだったんですか。」


シャウト「その後に、『アオス』と戦って、アイツがあんなことになったのだったな…。」


ノア「あの…一つ聞いてもよろしいですか?」


シャウト「ん?」


ノア「あなた方の言う『地門』という方のことを教えてもらえませんか?一体何故天満の中にいるのか。何故こちらに敵意があるのかを。」


シャウト「ふむ…いいだろう。皆も聞くといい。天満には辛いコトにはなるがな…。」


天満「大丈夫。話してくれ、シャウト。」


シャウト「…分かった。まずは私達が一体どうして生まれたのかを話さなければな…。」



(シャウト達の過去)



ディーク「『天剣テンケン』、『地玉チギョク』、『鏡楯キョウジュン』、さあ私の子供達…私と共に生き、力を貸してくれ!」



(人間、エルフ、獣型の者たち現れる)



ディーク「やあ、おはよう。そしてよろしく。」



(『アオス』との決戦)



シャウト「くそっ!追い込まれた!」


シンセーテン「どうするの『ディーク』!『アオス』の奴、よりにもよって『アイツ』を呼び出すなんて!」


ディーク「まだだ!まだ諦めるな!確かに力の差はあるかもしれない。だが奴は独りだ!私達はそうじゃない!きっと希望がある!」


ジアス「…俺が『アイツ』を抑える。その隙に『アオス』を倒せ。」


ディーク「ジアス…。」


シャウト「そうか…それしかないか…。ディーク、行ってくれ!」


シンセーテン「そうそう。僕達はディークを守るためにここにいるんだ。『アイツ』は命を懸けてでも足止めするよ。」


ジアス「別に足手まといのお前らなんか必要ない!俺一人で十分だ!だからとっととディークと行きやがれ!」


シンセーテン「なにっ!」


ディーク「ジアス…ありがとう。私だけでなくシャウトやシンセーテンの心配までしてくれて。本当に優しい子だよ君は。」


ジアス「か、勘違いするなっ!お前らがいたんじゃ、かえって邪魔なだけだ!」


ディーク「ふふ、ありがとう。じゃあ行こう二人とも。」


シャウト「やっぱり私達も残った方が…。」


ディーク「ジアスはね。本当に優しい子だよ。お前達三人でも『アイツ』は倒せない。おそらく返り討ちにあって死ぬ。それほど強い…。」


シャウト「だったらなおさらっ!」


ディーク「死んで欲しくないんだよ。私にも…そして…お前達にも。あの子は死ぬかもしれない。でも、あの子なら何とかしてくれる。そんな気もする。私は、あの子の強さを信じたい。」


シンセーテン「なんだい!カッコつけちゃってさ!」


シャウト「ジアス…。」


ディーク「私達には私達の、今出来るコトをしよう!」


シンセーテン「うん!」


シャウト「『アオス』を倒す!」


ディーク「ああ、行こう!」



(再びジアス)



ジアス「クソ…強ぇ…。このままじゃ…マジでヤベエかな…へへ……でもな……ここを通りたきゃ…俺を倒してから行きやがれっ!アイツラの背中を任せられてんだ!そう簡単に殺れると思うなよっっ!このクソ野郎ぉぉぉっっっ!ん?何だ?動きが止まりやがった…。そ、そうか!あいつら『アオス』を倒したのか!よしっ!」



(ジアスはディークの元へ)



ジアス「はあはあはあ……ここだな…。おーい、お前……ら…!」


シャウト「ぐ……。」


シンセーテン「ダメ……だよ…ディーク…。」


ジアス「何だよ…一体何してんだよ!ディーク!」


ディーク「ジ…ジアスか…。悪い…な…『アオス』を……倒せ……なか…った。だが……安心…し…ろ……。」


シンセーテン「やめてよ!そんなことしたら、ディークが死んじゃうよ!」


ジアス「何だって!」


シャウト「ディークは…『アオス』を封印するつもりだ。命を…懸けて…。」


ジアス「ふ、ふざけんなよ……そんなことさせるかよっ!」


ディーク「す…すまない……だが……お前達…と……この…世……界は……守る……から。」


ジアス「許さねぇっ!俺が『アオス』を倒してやる!ぐぅ……何しやがる!離せっ!」


シャウト「駄目だ!今ディークに近づくと巻き込まれるぞ!」


ジアス「うるせぇっ!離せよ!離しやがれっ!」


ディーク「『アオス』を……この…地に…封印す…る。」


シンセーテン「ダメだっ!ディーク!」


ディーク「シャウ…ト……シンセー…テン……そ…して……ジアス…。今…まで……ありが…とう……一緒に……生き……!」


ジアス「ああ……あ……ああ……ディィィィィィィクゥゥゥゥゥッッッッ!」


シンセーテン「う…そ……。」


シャウト「ディーク……。」


ジアス「うぅ……あああああ……。」


シャウト「ジアス…。」


ジアス「く……うう……。」


シャウト「ん?あれは何だ?」


シンセーテン「羽?まさかディークの!」


ジアス「!」


シャウト「確かにこれは…。うわっ!羽から光がっ!」


シンセーテン「ディ…ディーク…?」


ジアス「え?ディーク!生きてたのか!はは……そ、そうだよな!お前みたいなしぶとい奴が死ぬわけないもんな!アハハハハ!」


ディーク「シャウト、シンセーテン、ジアス……聞いてくれ。」


ジアス「よしっ!帰ろうぜ!腹減ったしな!」


ディーク「ジアス、聞きなさい。」


ジアス「今日は俺がメシを作ってやるよ!味は保証しないけどな!アハハハハ!」


ディーク「ジアスッ!」


ジアス「許さねぇぞ!」


ディーク「!」


ジアス「お前は死んでねえ!これからも生きて、俺を楽しませんだ!そうじゃねえと許さねぇ!」


ディーク「すまないジアス。もう私は…。」


ジアス「生きるって!」


ディーク「え?」


ジアス「俺達を創った時、一緒に生きて力を貸してくれって言っただろ!あれは嘘だったのかよっ!」


ディーク「嘘じゃない。嘘なわけあるはずがないだろ?」


ジアス「だったら最後まで責任もてよ!俺達を、世界を導けよ!」


ディーク「もう私には時間が無い。だから私の血を遺す。私の後継者として。その者にどうか力を貸してやってくれ。」


ジアス「ふざっけんなっ!」


シャウト「ディーク…私達はディークのために生まれた存在だ。他の者に力を貸す気は無い。」


シンセーテン「そうだよ!僕達の主はディークだけだよ!」


ディーク「力を貸すか否か、それはお前達の判断に任せるしかない。ただ『アオス』の脅威が完全に絶たれたわけじゃない。この世界のためにも、私の血が必要なんだ。」


ジアス「てめえがやればいいだろ!自分だけ死んで楽になって、後は後継者どもに任せますだと!」


ディーク「本当にすまない。私の血は『星の者』に預けた。お前達で見極めてくれ。その子が必要かどうかを。短い間だったがありがとう。」


ジアス「知らねぇっ!」


シャウト「ジアスッ!」


ディーク「いいんだ……それと一つお願いがある。私の最後のわがままだ。二人で…。」



(ジアスは)



ジアス「あんな奴、とっとと死ねばいいんだ!約束一つ守りやがらねえ!」


シャウト「ジアス。」


ジアス「ん?何だよ?…ディークは…逝ったのか?」


シャウト「ああ。」


ジアス「ち……くそったれ!」


シンセーテン「ジアスによろしくだってさ。」


シャウト「手のかかる子だそうだ。」


ジアス「…ふん。」


シャウト「それともう一つ…。」


ジアス「あ?なっ!何しやがる!離せシンセーテン!」


シャウト「ディークの羽よ、その名の下に、かの者の魂を移し給へ。」


ジアス「何しやがる!お前らまで俺を……。」


シャウト「これで本当にいいんだなディーク。」



(現在へ)



剣斗「じゃあ天満に地門を移したのはディークの意思だったのか?」


シャウト「ああ。ディークは言った。ジアスには私のもっとも近くに居て欲しいと。」


ノア「でもジアスはディークの意思を知らない。ただシャウト達が自分を裏切り、天満の体に一種の封印として扱った。そう思ったんですね。」


シャウト「そうだ。アイツは頑固だからな。意思を伝えても、素直に従うとは思えなかったんだ。」


剣斗「でもちょっと待ってくれよ!天満の意思は無視なのかよ!そのせいで天満はどれだけ苦しんだと思う!」


シャウト「ああ…だから天満には申し訳なく思ってる。全てが終わったら、私を好きにしてくれ。」


天満「……ありがとう。」


シャウト「え?」


天満「話してくれて。今までは、ただこんな体に生まれたことを憎むしかなかった。だけど、理由を知ってるのと知らないとでは全然違う。アイツの…地門のコトも知ることができたし。ありがとう。」


シャウト「天満…だが…。」


天満「ああ……俺は母さんの実の子供でも無いんだろ?『星の者』…父さんにディークが俺を預けた。そして、母さんが育ててくれた。」


シャウト「ああ…そうだ。」


天満「真実が、分かって良かった。これで本当に自分の意思で立つことができる。……帰ったら母さんに謝らないとな。」


剣斗「何でだ?」


天満「俺を必死に守り育ててくれた母さんと父さんの想いを無視して、生きることを諦めたことがあったからさ。」


剣斗「天満…。」


天満「俺は生きるよ!そして、母さんの元に帰る!」


シャウト「ディーク…私達が見極めなくても、『ディーノ』にはお前の翼が生えているみたいだ。」


シンセーテン「アイツはどう思ったかな?ディークの意思を知って…。」


天満「さあ行こう!シャウト、シンセーテン、みんな!」


アイズ「どうやら、完全に立ち直ったみたいだな。」


シャウト「もうすぐ『第一景』の頂上だ。」


シンセーテン「う〜ん。ねえシャウト?」


シャウト「何だ?」


シンセーテン「やっぱ居るよね?」


シャウト「……ああ…そうだろうな。」


?「おおっと!ちょっとお待ち!」


天満「何だ?」


シンセーテン「はは……出た…。」


?「ま〜さかアチキを無視して進もうと思ってないわよねん?」


シャウト「はあ…。」


剣斗「誰だてめえ!」


?「むふふん…アチキは『守人バラード』なのよん。」


天満「守人?」


バラード「この先行きたければ、アチキをどうにかすることねん!アンダスタ〜ンド?」



次回に続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ