第十五劇『集結』
ネオス「おや?全員揃ってないね。」
シェイリア「すみません。アスフォートは『泉帝山』に行っています。」
ネオス「へぇ…また修業かい?」
シェイリア「そのようです。」
ネオス「本当に彼は強さに貪欲だよねぇ〜。」
ツァビデル「へっ、弱いから修業してやがるんですよ。相変わらず気に入らねぇ。」
ネオス「ふふ…ところで彼は?」
シェイリア「あ…あの…ひ……昼寝の時間らしくて……寝てます。」
ネオス「アハハ!」
ツァビデル「笑い事じゃないですぜ。」
ネオス「まあまあ、彼は仕事はキッチリしてくれたからいいんだよ。」
ツァビデル「は?ということは…もう『カルディナ』を落としてきたのですか?」
ネオス「うん。君達よりも早くね。」
ラーハイド「さすがさ〜。あの軍事要塞の『カルディナ』を一人で落とすなんてさ〜。しかもこの短期間でさ〜。さすがは『闇狼のサイガ』さ〜。」
ツァビデル「く……。」
シェイリア「ですが、ゼロの行方がまだ…。」
ネオス「ああ、ゼロなら仕事中だよ。だから気にしなくて大丈夫。」
(その頃サイガは)
サイガ「へ…へっ…へっくしょいっっ!ああ…この部屋冷房効き過ぎやで。うう…寒っ!あかん、鼻水出てきよった。これぞ水もしたたるええ男ってか!水は水でも鼻水はちゃうやろっ!………寒っ!」
(その頃ミラァは)
ミラァ「ところで、ノアも戦えたんだね。」
ノア「うん。でも驚いたよ。君があんなに強いなんてね。サンゼバル様を助けてくれて、ありがとう。」
ミラァ「いやぁ〜照れるじゃん!」
ウェルカ「ほっほっほ。さすがワシが見込んだ、いいお尻の持ち主じゃな。」
ミラァ「それを言うなぁっ!」
サンゼバル「………。」
ノア「サンゼバル様…。だ…大丈夫ですか?」
サンゼバル「………。」
ノア「サンゼバル様?」
サンゼバル「ん!ああ…大丈夫じゃよ。」
ウェルカ「強がるな。」
サンゼバル「う…!…のう…ウェルカよ。」
ウェルカ「何じゃ?」
サンゼバル「一体何が起ころうとしてるんじゃ?」
ウェルカ「さぁ…の?ただ言えることは、『イリス』を止めなきゃならないってことじゃの。」
サンゼバル「そうじゃな…この老いぼれた体でどこまでできるか分からんが、『イリス』の育ての親として、ワシが果たさなければいけないの。」
ウェルカ「何を言っておる。お主には神官達を導く義務があるじゃろうが。」
サンゼバル「しかし、ワシは!」
ノア「僕が止めます。」
サンゼバル「ノ、ノア…?」
ノア「僕は『イリス』さんが、どんな人なのかは知りません。ですが、『イリス』さんは僕の姉でもあるみたいです。ですから、弟である僕が姉を止めます。」
ウェルカ「サンゼバル…いい息子を持ったの。」
サンゼバル「ノア……『イリス』と…姉と戦うことになるかもしれないんじゃぞ?そのような辛い役を任せ…。」
ノア「サンゼバル様!僕は負けません!確かに…戦うことになるかもしれません。ですが、僕は戦うことから、もう逃げません!姉のすることを止めるのも、家族の義務でしょう?」
サンゼバル「…『イリス』はエルフじゃぞ?」
ノア「サンゼバル様もエルフでしょう?」
サンゼバル「ノア…。」
ノア「何て顔してるんですか!大神官ともあろう方が!…僕に任せて下さい。」
サンゼバル「ワシはワシの……ノアはノアの……それぞれ出来ることをする…か。任せて…よいのか?」
ノア「当たり前じゃないですか!」
ウェルカ「それでは、ワシも、ワシに出来ることをしようかの。」
サンゼバル「ウェルカ……息子達を頼む。」
ウェルカ「任せておけ。」
サンゼバル「だがこれからどうするんじゃ?」
ミラァ「それは大丈夫だよ!『エデン』なら、きっといい情報があるよ。」
ウェルカ「ふむ…もしかしたら、全ての出来事は一つに繋がってるのかもしれんのぉ。」
ノア「案内してくれるかい?え…と、ミラァ?」
ミラァ「うん。ミラァちゃんに任せなさい!」
ノア「ありがとう。」
(旅の支度をして入口に集まる)
ノア「では、行って参ります。」
サンゼバル「うむ。気を付けてな。ウェルカ、頼んだぞ。」
ウェルカ「お主もしっかりの。」
ミラァ「じゃ行こう!」
サンゼバル「ノア!」
ノア「はい…?」
サンゼバル「これを持って行きなさい。」
ウェルカ「…あれは!」
ノア「これは?」
サンゼバル「ただの『ネックレス』じゃよ。」
ノア「え?」
ウェルカ「受け取っておきなさい。」
ノア「あ、うん。ありがとうございます。」
サンゼバル「うむ…。」
ノア「じゃあ行って参ります。………父さ…サンゼバル様。」
サンゼバル「ノア…。」
ウェルカ「それでは行くかの。」
(三人は『マドラド』へ)
サンゼバル「『プリミア』……お前の家族を見守ってやってくれ。」
(その頃天満は)
天満「これからどうしようか?剣斗とミラァに会いに行こうか?」
琴花「う〜ん、もしかしたら『エデン』に新しい情報が入ってるかも…。」
天満「う〜ん…。」
ゼロ「皆さんよろしいですか?」
天満「どうしたんだゼロ?」
ゼロ「先程村の方に聞いたのですが、僕達が来る前に剣斗君らしい方が『マドラド』の方に向かったらしいんです。」
琴花「剣斗が?」
ゼロ「あ、ちなみに綺麗な女性と一緒だったみたいですよ。」
琴花「は?」
ゼロ「何やら、かな〜り親密だったみたいですよ。」
琴花「へ、へぇ…。」
天満「一体誰だろ?」
琴花「知るわけないじゃんっ!」
天満「ご、ごめん!」
アイズ「何を怒っているんだ?」
琴花「怒ってないっ!」
ゼロ「ふふふ……。」
アイズ「まあ、とにかく『マドラド』に戻るか?さっきの奴らの情報もあるかもしれない。」
天満「そ、そうだな。」
琴花「決めたんなら、さっさと行くよ!」
アイズ「騒々しい奴だ。」
琴花「待ってなさいよ〜〜〜剣斗〜!」
ゼロ「これはこれは!楽しみな展開ですね。」
アイズ「ところで貴様、あの子供をしっかり送ったんだろうな?」
ゼロ「ええ。他のエルフ達も一緒に近くの町まで送り届けましたよ。」
アイズ「……ならいい。」
ゼロ「ふふ…。」
天満「それじゃ、『マドラド』に戻るか。」
(『マドラド』に行く)
天満「もうすぐで『マドラド』だな。」
ゼロ「ふ〜む、シャウトさんがいたらどうしましょうか?」
アイズ「何か言ったか?」
ゼロ「いえ!ところでこれ…食べます?」
アイズ「な、それはっ!『風まんじゅう』じゃないか!」
ゼロ「はい!村の方に頂いたんです。お礼だと言って。」
アイズ「貴様、まさか独り占めするつもりだったのではないだろうな?」
ゼロ「嫌ですねぇ。こうして出してるじゃないですか。」
アイズ「ふん、まあいい。一つよこせ。」
琴花「あ、私も頂戴〜!……うん、甘くて美味しい!あれ?扇君は食べないの?」
天満「へ?いや…俺は…甘いモノはちょっと……。」
ゼロ「皆さん、これは許せませんよねぇ。せ〜っかく、エルフ達が丹精こめて作ったモノなのにねぇ。」
天満「へ?いや、だから…。」
琴花「そうだよねぇ。これはこれは、無理矢理にでも味わっていただかないとねぇ。」
天満「いや、だから…ね…?」
アイズ「ふむ、一理ある。」
天満「ア、アイズまで?」
ゼロ「さ〜て、では皆さん、参りましょうか!」
天満「ちょ、ちょっとぉぉぉぉぉっっっ!うぐ……ぐ…むむ……し……死ぬ!」
ゼロ「いやぁ、それにしても意外でしたねぇ。まさか天満君が甘いモノが苦手だなんてね。」
琴花「私は知ってたけどね。面白そうだからノリました。」
天満「あ、あのなぁ…。」
アイズ「こんなところで時間を潰してる暇なんてないぞ!ほら、遊んでないで行くぞ天満!」
天満「お……お前…なぁ…。」
(『マドラド』に到着)
天満「うえぇ〜、口の中が甘ったるい〜。」
琴花「ん?あれは剣斗じゃん!よ〜しっ!」
剣斗「ん?ようっ!天…ぐわぁ!」
琴花「あんたこんな大変な状況なのに、女と仲良くしてるなんていい度胸じゃないの!」
剣斗「な…何のこと…だ…。」
琴花「とぼけるなんてホントにいい度胸じゃない!ネタはあがってんだよ!」
天満「まあまあ、やあ、剣斗。久しぶりだな…。」
剣斗「もっと早く助けてくれい…。…んん?どうした?元気ないぞ?」
天満「はは……ちょっと地獄を見てね…。」
剣斗「ふ〜ん、まあよく分かんねえけど、こっちはこっちで大変だったぞ!」
天満「どういうことだ?」
剣斗「もうすぐミラァも到着するらしいから、詳しいことはその時話すよ。」
天満「ああ。え…と、そっちの人は?」
剣斗「ああ、この人は…。」
ミラァ「やっほー!みんなー!」
天満「ミラァ!」
ミラァ「良かったー!みんな『マドラド』に居たんだね。というか知らない人がいっぱいだー!」
天満「あ、そうだね…。一応自己紹介しておこうか。」
(自己紹介をする)
ユズキ「というわけで『エデン』の方々の力をお借りしたいと思い、ここまで来たのです。」
剣斗「だからみんな、力になってあげてくれ!頼むっ!」
天満「もちろんだよ!」
琴花「何よ、剣斗の奴…あんなにムキになっちゃってさ。」
天満「はは…。」
(ノアが自己紹介)
ノア「それで、ここに来ました。」
ウェルカ「よろしくの。特にこの……。」
琴花「きやぁぁぁぁっっ!何すんだっ!このスケベ亀!」
ミラァ「またやってるし。」
ウェルカ「ほっほっほ。いい尻じゃのぉ。胸は無いようじゃが。ミラァと同じくの。」
ミラァと琴花「何だとぉぉぉっっ!」
天満「まあまあ。」
ノア「君が天満ですね。」
天満「え?ああ…。」
ノア「よろしくね。」
天満「ああ、こちらこそ。」
(自己紹介続く)
アイズ「最後は僕だな。名前はアイズ、天満に貸しがあるからついてきているだけだ。」
ノア「それだけ?」
アイズ「エルフ嫌いなんだろ?だったらエルフである僕のことなんて、知る必要無いだろ?なあ、エルフ嫌い君?」
ノア「む…!」
天満「まあまあ。アイズもそこまでね。はぁ…前途多難だ…。」
琴花「あれ?一人忘れてない?」
天満「そういや、ゼロは?またいなくなってる…。」
ミラァ「ええ!ゼロに聞きたいことあったのに〜。」
(建物の陰にいるゼロ)
ゼロ「ふぅ…危ない危ない。まさか海の国の者までいらっしゃるとは。これはもう一緒に行動出来ませんね。仕方ありません。…天満君…次に会った時はおそらく…。ふふ…また会いましょう。それでは皆さん、ご機嫌よう…。」
(再び天満)
天満「ゼロに聞きたいことって?」
ミラァ「んとね…。」
?「ほう。大人数だな。」
天満「『シャウト』!」
シャウト「久しぶりだな天満。」
天満「ああ、霊神も身に付けたよ。」
シンセーテン「やあ、自分勝手なシャウト君、久しぶりだねぇ。」
シャウト「シ、シンセーテン……あはは…。と、ところで天満、分かったぞ。」
天満「え?ま…まさか…?」
シャウト「ああ、真雪の居場所を掴めた。」
天満「本当かっ!一体どこに!」
シャウト「ここから遥か北にある、山に囲まれている城に軟禁されている。」
アイズ「おいおいそこって…!」
ユズキ「確か、唯一どこの大陸とも繋がっていない大陸ですよね。」
アイズ「大陸というより、浮島だな。」
天満「一体どういうところなんだ?」
シャウト「エルフ達の間では、こう呼ばれている。『ムゲン島』…。」
次回に続く