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休日の過ごし方 1

作者: ゆーり秋稀

ミノリの視点 1




シロエさん達が「パルムの深き場所」のさらに奥、新ゾーン「奈落の参道」を攻略して、アキバの街へ帰ってきました。

そして、そこで同じように大規模戦闘に参加した、てとらさんという方が、≪記録の地平線≫に新たに加わりました。



「てとらさんは、施療神官クレリック。マリエールさんと同じ職業なんですね…。」


「そーみたいだなぁー。あ、てとらさんずるい!オレも直継師匠と遊ぶ!!」

直継さんにじゃれついているてとらさんを見つけたトウヤが直継さんにとびついていく。


トウヤにとびつかれた直継さんは、反対側で同じようにじゃれついているてとらさんに加え、さらにトウヤにも飛びつかれたので、「ちょっ!お前ら止めろまつり!って!どわっ!」と、2人を相手にしています。


・・・正直、ちょっとうるさいです・・・。

てとらさんが加わって、さらに≪記録の地平線≫は賑やかになりました。


そのてとらさんは、何かと直継さんのところへ行き、時には追いかけまわしているみたいです。



「マリエールさん…、大変だねぇ~…。」

そんな3人を一緒に見ていた五十鈴さんが声をかけてくる。

「そ、そうですね・・・。ライバル登場というか…。」

「…マリエールさん、なんか最近ちょっと落ち込んでいるというか、なんというか…。」


今、≪記録の地平線≫のギルドホールには≪三日月同盟≫に所属している、森呪遣い(ドルイド)のセララさんも遊びに来ています。

セララさんがマリエールさんの話をしている間、横で話を聞いていたルンデルハウスさん…。いえ、ルディさんが、


「ずばり、マリエールさんは、直継さんに恋をしているということだね!」


と、爽やかにまとめてくれました。もちろん、いつもの決めポーズつきです。


「やっぱり、そうですよね…。」

セララさんと五十鈴さんはうんうん!と頷く。

やっぱり、私もちょっと気になるかな…。

だって、マリエールさんと直継さん…。お似合いだもん。



「うーん。てとらさんって、本当に何者なのかな…?」


てとらさんは、シロエさんやてとらさん本人によると、零細ギルド「ライトインディゴ」に所属する「冒険者」だそうです。「ライトインディゴ」というギルド名はわたしは聞いたことがないので、詳しくはわかりませんが、話していててとらさんがとても感じの良い方なのは確かです。そして、レベルが93と、私達よりも先輩なんですよね…。


…あ、てとらさんで大事なこと忘れてました!



「あの…。でも、てとらさんは男性ですよ…、ね?」


「えっ!?」

「なにっ!?」

「えぇぇっ!?」

あ、あれ・・・?もしかして、みんな気付いてなかった・・・の?


「え、そうですよ…?知らなかったんですか…?」


念のため聞く。

すると、3人は大きく「うん」と頷いた。



「あ、じゃ、じゃあ!マリエールさん、大丈夫だね!!」

五十鈴さんが一番最初に衝撃の事実から戻ってきたようです。


「で、でも…。も、もしかして…。」

「もしかすると、直継さんは、そのことを知らないのではないだろうか…?」

セララさんとルディさんの言葉に、


「あ…。」

「そ、それは…。」


と、わたしと五十鈴さん。



それは、流石に私もわかりません…。

きっとシロエさんやニャン太さんはご存じなんでしょうけど…。きっと、知っていても言わなさそうですね…。

てとらさん本人も…。



「・・・ということはさ、きっと、トウヤも知らないね…。」



…それは、同感です。五十鈴さん。





「あ、だったら、今日みんなで、3人の、…様子を見てみませんか?」


思い切って提案してみる。


「それだったら、他のみんながどんな風に暮らしてるのかも見てみようよ!」

「それはいい!」

「それだったら、三日月同盟や、他のギルドにも顔を出したいですね!」


五十鈴さん、セララさん、ルディさん全員一致の賛成もあって、私たちは アキバの街へ繰り出す事にしました。




ミノリの視点 2


直継さん、てとらさん、トウヤの3人はギルドホールを出た後、アキバの街を散策し始めました。

わたし達も『尾行』と言ってはおかしいですが、3人の様子を見ていたくて、こっそりついていっています。


五十鈴さん、ルディさん、セララさん。それから、わたし。

今のメンバーです。


アキバの街に出てしばらくして。


「あ、あれっ!?マ、マリエールさん!?」

突然、セララさんが驚いた声を上げます。

その声に驚いたわたし達の前には、セララさんの所属するギルド、≪三日月同盟≫のギルドマスターのマリエールさんと、もう1人、同じく≪三日月同盟≫の参謀でもある、ヘンリエッタさんの姿がありました。


「えぇっ!?こ、こんなところでいきなりなんてぇっ!?」


「・・・これが、修羅場というものか…。」


「ルディさん…。」「馬鹿ルディ…。」「まだ、何も起こっていないですよ…?」


ルディさんのボケに、思わず、わたし達は全員でツッコミを入れてしまいました…。


わたしの横で五十鈴さんがボソッと、「ま、仕方ないか…。あぁーこれじゃこっちもダメかなぁー。」と呟いていましたが、わたしは聞こえなかったフリをすることにしました。


わたしは、ルディさんは五十鈴さんの気持ちに、きっと気付いてると思います…。


「あぁっ!!マ、マリエールさん達が直継さん達と合流しました!」


「えぇっ?マ、マリエールさんの反応はっ!?」


セララさんのわくわくしているようにしか聞こえない実況に、わたし達も慌てて前の方へと目を凝らします。

な、なんて話してるのか、ものすごく気になります…。



「おー、マリエさんに、ヘンリエッタさんも一緒かぁー。」

「うん。今日もええ日やね、直継やん。」

「そーいえば、アキバに帰ってきてから、ちゃんと話してなかったかもな?」

「うん。そやね…。」


す、凄い…。完全に2人の世界になってる…。

直継さんとマリエールさんの会話を邪魔しないように、しているのかな?



「なぁー!師匠!マリエールさん達とさ、このままパーティー組んでどっかダンジョンいかねぇ?」


その、せっかくの2人の雰囲気を壊したのは…。


「トウヤ…。」

「い、いいところだったのに…。残念です…。」

「ミスター・トウヤももう少し場を考えることが…(バシッ!)アイタッ!」

「あんたが言わないの。」


雰囲気を壊したのは、わたしの双子の弟のトウヤでした…。もう、せっかくいい雰囲気だったのに…。


わたしの横では、同じようにあちゃーという表情で見つめているセララさん。その後ろでは、頭を押さえたルディさんとそのルディさんの頭をバシッと叩いた五十鈴さんが見守っています。


「あ―ゆー時は、『俺達、レベル上げに行ってきますね!』って、言って、ヘンリエッタさんとてとらさんと一緒にささっと移動して、2人にしてあげるのが、本当の紳士よ!!」


…五十鈴さんは、ルディさんと居る時に、わたし達にそんな風にしてもらいたいんでしょうか…?


「あ、でもてとらさんは何もおっしゃいませんね…。」

「本当ですね…。」

「おや?あそこだと、彼らの話がよく聞こえるのではないだろうか?」


ルディさんがトウヤ達がいる場所のすぐ近くの建物を示す。

確かに、あの場所なら隠れながら話が聞けるかもしれません。


わたし達は頷くと、建物の蔭へと急いで移動しました。


「ふーん。トウヤも言うようになったな!よし!そう言うなら、ちょうどええし、このままうちらも一緒にパーティー組んでどっか出掛けようか?」

「おう!」

「おいおい・・。って、まぁいいか。マリエさんとてとら。2人の施療神官がいれば怖くはねぇだろ。俺も「奈落の参道」で結構レベル上がったしな!!ちゃんと前衛は任せろ祭りだぜっ!」

「おーっ!師匠!お願いしますっ!」

「…おい、トウヤ。お前もちゃんと前に出ろよな…?」

「わかってるって!!」

「本当かどうか疑いまくりなんだが…。うん?どうしたてとら?」

「ヘンリエッタもどなんしたんー?さっきからずっと、だまっとるで?」


「「・・・・・・」」


「いえいえ~☆直継さんとマリエールさんは本当に仲が良いなぁ~と思ったんです☆」

「私は、なんでもないですわ。…それより、ダンジョンへ行くのでしたら、そろそろ向かいましょう?」


「お、そだなー!うんじゃ、いってくっか!」

「おー!!…あ、ミノリに連絡しとかないと・・・」

「あー。じゃぁ、うちはセララに…。」


「えぇっ?」

「えっ!ちょっと待ってくださいっ!」


ま、まさかとは思っていたけど、わたし達が付いて来てることには全然気付いてないんだ…。

…というよりも、念話が来ちゃう!


そのすぐ後にかかって来た念話に答えるのと、わたし達が付いて来ていることに気付かれないようにするため、わたしとセララさんは建物の陰に隠れて、今までの話を聞いていなかったフリをして、それぞれの念話をやりすごしました。



こうして、トウヤ達はダンジョンへと直継さんやマリエールさん達と出掛けて行ってしまいました。


「ミノリちゃん…。てとらさんのこと、マリエールさんは気付いているのかな…?」

「・・・多分。気付いていると思いますよ。それと同時に、てとらさんも、マリエールさんの直継さんへの想いを知っていると私は思います。」


…あの時、直継さんとマリエールさんが話していた時、「いいなぁ」という表情をして見守っているような感じがしたと、わたしは思っています。てとらさんが直継さんにじゃれている時に、マリエールさんが近くにいるかいないかで、てとらさんの態度がちょっと違うと思うんです。





「うーん。それにしても、この後どうしようか?」


そうでした。その問題がありました。

トウヤも一緒とは言え、トウヤ以外のメンバーは全員90レベル以上の冒険者。

そのパーティーで行くダンジョンに、私たち4人が、いくらお互い知っているとは言え前衛がいないこの状況で、トウヤ達と同じダンジョンへ向かうということは、わたしたちにとっては、神殿送りになるということです…。


「うーん。どうしましょう…。」



「おや、セララっち達ではにゃいですか?こんな所で、どうしたんですかにゃ?」



「あ!にゃん太さんっ!!」


わたし達の前に現れたのは、≪記録の地平線≫の料理担当にして皆の胃袋の番でもある、にゃん太さんでした。


「にゃん太さんこそ、どうしたんですか?」


「私は、今日の夕飯をどうしようかと考えて、買い出しに出ているところですにゃー。五十鈴っちたちはどうしたんですかにゃ?」


五十鈴さんの質問に答えるにゃん太さん。

ど、どうしよう…。なんて答えようかな…。まさか、直継さんたちのことが気になってって言えないよね…?


「え、えぇぇっっと!マ、マリエールさんのことが気になって!!」



「セ、セララさんっっ?」「ミス・セララー!?」「ちょ、ちょっとここで言っちゃうのー!?」



本当に、驚きです。

自分のこと、言えないですが、『恋する乙女』って、凄いんですね…。



「マリエールっちですか…?ははん。事情はわかったにゃ。女の子はそういうお話が好きですにゃ。」

「うっ…。」

「あ、あのにゃん太さんは何か…?」


うぅ。もうこうなったら開き直って聞いちゃおう!


「…それは…、てとらっちのことですかにゃ?」

「うむ。」


「てとらっちのことは…。シロエちも含めて、みんなももう知っているですからにゃ…。言うことは何にも無いにゃ。」


あ、にゃん太さんもやはりご存じだったんですね…。


「あの、直継さんには言わないんですか?」

「それは。てとらっちが決めることだにゃー。モテル男、直継っちも大変ですにゃ。」


わたし達は顔を合わせる。やっぱり知ってたんだね。と。



「そうだったにゃ。セララっち、これから買い物があるのですが、手伝っていただけないですかにゃ?」


セララさんに提案をするにゃん太さん。

セララさんは目を輝かせて「本当ですかぁっ!?」と言ってから「あっ」とわたし達の方を見る。

どうしようと言う顔です。


「ミス・セララ、一緒に行くといい。ボク達でもこの先は大丈夫さ。」

「うん。ルディの言うとおりだね。後で連絡するからさ。」


五十鈴さんとルディさんも良いと言うなら、わたしだって同じです。


「セララさん。わたし達のことなら大丈夫ですよ。街を見て回るだけですし・・・。」


というと、セララさんは「あ、ありがとうございますっ!」と、言いながら何度も頭を下げ、にゃん太さんと一緒に買い物へと向かいました。



「あの、どうしましょうか?」


「そうだ!ミス・五十鈴、ミス・ミノリ。ボクはアキバの街のギルドを見たい!」


このルディさんの主張によって、わたしたちはアキバの街のギルドを見て回ることにしました。




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