第1話 余裕のある朝
冒頭がどうしても退屈なものになってしまう気がします、感想いただけると幸いです。
今日も目覚まし時計のうっとおしい音で目が覚める、ありがたいことに心地よい眠りから俺を抜け出させてくれる枕元の時計を小突き、その音を止めてから起き上がる……寒い。
布団から出るのが少し億劫になる。
さっきまでうるさく騒いでいた時計を見る、6時……ちょうど目覚まし時計をセットしておいた時間に起きたのでそう慌てる必要もない、まだ開ききってはいない目をこすりながら俺はリビングへとむかった。
俺の名前は九十九治高校一年生だ、変わった姓だとよく言われる、姓のインパクトが強すぎて名前をなかなか覚えてもらえないときもある。今は都心の一軒家で三人家族で暮らしているが、父の故郷では祖父が昔は名のしれた職人だったようで、この奇天烈な姓のおかげもあってか割と有名だったりもした。
母と挨拶を交わし、適当に食パンを食べながらテレビをつけてニュース番組を見る、こうしてゆっくりと朝食を食べるのはかなり久しぶりだ、10月に入ってーー少し前までの夏の暑さは何だったんだーーと言いたくなるほど冷え込む朝のせいで、最近は毎日寝坊していた。
「次のニュースです。」
キャスターの声が静かな食卓に響く、いつも聞き流すはずのその声がなぜか今回は耳に残った……
「今日未明、都内の路地裏にて、手足を切断された男の遺体が発見されました、警視庁は1週間前から起こっている連続通り魔事件の犯人と同一人物の犯行とみて捜査を進めています。」
「都内ってすぐ近くじゃねーか……マジかよ、怖えな。」
「あんた、知らなかったの? もうこれで3人目よ……あんたも、明るいうちに帰ってくるようにしなよ」
「俺より静香の心配をしとけよ。」
「どっちも心配に決まってるじゃない、気をつけなさいよ!」
「分かったよ、努力します……ごちそうさま。」
母と会話をしているうちに食べ終わって食卓を立つ、テレビではうってかわって、人間国宝に指定された陶器職人の特集をしていた。興味はあったがそれほど見入っている余裕はないので、俺はリビングをあとにし学校に行く準備をしに部屋へと戻った。
九十九家は会社勤めの父と専業主婦の母、そして俺と妹の静香の4人からなる、いたってどこにでもいそうな家族である。しかし、胸を張って言えるかどうかは分からないが、他の家庭とは少し変わっている点が2つ……1つはお察しの通り、この奇天烈な姓である、そしてもう1つ……これは家族のルールのような物だが、それは
「物を大切にしなさい。」
と、言うものである。
ーー何を当たり前のことをーーと思うかもしれないが、うちは本当にこれが徹底している。例えばさっき俺が止めた目覚まし時計、これとは俺が父の故郷にいた頃……すなわち3歳の頃からの付き合いなのだ。他にも、物心つく前から使っていた物のいくつかは今なお現役で働いてくれている。父が言うことには、これは物の修理を専門としていた祖父の教えらしい。
カバンに今日必要な荷物をいれて玄関に向かう、ちょうど静香が朝食を食べていた。リビングの戸を開けて一言家族に声をかけてから家を出た。
まだまだ、物語が動きそうにないので焦っています(笑)