42話 爆散!駄目!絶対!
作戦室の中央に、機械兵の戦闘ログが投影されていた。
映し出される映像は、どれも同じ結末を迎えている。
激突。
破壊。
そして――爆散。
「……毎回だな」
焔が、腕を組んだまま言った。
「派手に壊して、終わり」
「そうしねぇと止まらなかったからな」
昇が肩をすくめる。
「今までは、それで正解だった」
⸻
「ですが」
四獣AI――青龍が淡々と続ける。
「その結果」
「機械兵の内部構造は、ほとんど解析出来ていません」
「ワープ機構についても」
「稼働状態のデータは、皆無です」
守が、はっと息を呑んだ。
「……全部、壊してきたから」
「はい」
⸻
剣が、静かに口を開く。
「つまり」
「俺たちは、一番知りたい部分を」
「毎回、自分たちで消してきた」
その言葉に、誰も反論しなかった。
⸻
「月に行くなら」
昇が、映像を見つめながら言う。
「機械兵が、どうやって」
「ここまで来てるのかを知らねぇと話にならない」
「でも」
「壊したら、何も残らない」
一拍置いて、はっきり言う。
「だから次は」
「捕らえる」
⸻
「拘束、ですね」
守が慎重に確認する。
「稼働したまま」
「逃がさず、壊さず」
「正解です」
四獣AIが即答した。
「ワープ機構の解析には」
「機体の保持が必須条件です」
⸻
「で」
焔が画面を指さす。
「それをやるのは、誰だ?」
四獣AIが、迷いなく答える。
「白虎」
「玄武」
表示が切り替わり、二機のシルエットが強調される。
⸻
「白虎は、制御と間合い」
青龍。
「敵の動きを制限し」
「逃げ道を封じる役割です」
「玄武は、防御と固定」
玄武AI。
「反撃を受け止め」
「拘束状態を維持します」
守は、静かに頷いた。
「……僕の役割ですね」
⸻
「だが」
剣が、低い声で言う。
「今の白虎と玄武は」
「動けない」
画面に、現在の状態が映し出される。
《修復進行中》
《再起動 未定》
⸻
「……つまり」
昇が言葉を継ぐ。
「拘束作戦をやるには」
「まず、治すのが先決だ」
「はい」
四獣AIが答える。
「現時点での最優先事項は」
「白虎・玄武の完全修復です」
⸻
「時間がかかるな」
焔が、少し苛立ったように言った。
「その間に」
「向こうが、何もしないとは思えねぇ」
「……そうですね」
守も、小さく頷く。
⸻
昇は、拳を握った。
「でも」
「それしかねぇ」
「白虎と玄武を治す」
「それが、今出来る最善だ」
誰も反対しなかった。
⸻
だからこそ。
剣は、何も言わなかった。
(……本当に、それでいいのか)
前回。
白虎と玄武は、確かに壊された。
正面から。
力で。
真正面から叩き潰されるように。
(あれは、本当に想定外だったのか)
答えは、出ない。
剣は、その違和感を口にせず、
ただ胸の奥にしまい込んだ。
(……間に合えば、いいが)
その不安を、誰にも伝えないまま。
作戦は、静かに――
動き出そうとしていた。




