40話 四獣合体
四獣王だから40話で合体
シンプルイズベスト
瓦礫の向こうで、敵は静かに立っていた。
白虎と玄武は大破。
通信は沈黙したまま。
残るのは――
青龍と朱雀だけ。
「……撤退を推奨します」
青龍の声が、淡々と響く。
「このままでは、戦闘継続は不可能です」
「逃げろ」
剣の声が重なる。
「今なら、まだ間に合う」
「……はい」
守も必死に続けた。
「無理です、これ以上は――」
⸻
昇は、前を見たまま口を開く。
「なあ」
一拍置いて、続けた。
「剣と守が、俺たちの状況だったら」
「逃げるか?」
焔が、少しだけ口元を歪める。
「……逃げねぇな」
「だよな」
二人の視線は、同じ敵を捉えていた。
⸻
次の瞬間、敵が消えた。
「来るぞ!」
青龍が踏み込む。
同時に――
朱雀も前へ出た。
「「うおおおおっ!!」」
右ストレート。
青龍と朱雀、完全に同時。
同じ軌道、同じ威力。
拳が敵の装甲を打ち抜く。
――ギィン、と鈍い金属音。
そして。
装甲に、わずかな傷が走った。
⸻
その瞬間だった。
四獣バングルが、同時に強く光り出す。
「なっ……!?」
「何だこれ!?」
昇と焔が同時に声を上げる。
四獣AIの声が、重なった。
「条件、成立」
「判断・感情・行動」
「完全同期を確認」
一拍。
「――四獣合体、可能」
⸻
「合体……?」
考える暇はなかった。
敵が、再び加速する。
「……行くぞ」
「おう」
二人は同時に腕を上げる。
光る四獣バングルを――
交差させた。
「「×(クロス)四獣王!!」」
⸻
閃光。
青龍と朱雀が引き寄せられ、
機体が分解され、再構成される。
制御と火力。
冷静と激情。
二つが、一つになる。
⸻
四獣王ドラゴン×フェニックスウェア
⸻
「……視界、共有してるな」
「操作もだ」
動かそうとしなくても動く。
考える前に、判断が一致する。
ズレは、ない。
⸻
敵が動こうとした、その瞬間だった。
――間に合わない。
そう思ったはずの距離を、
合体した機体は、当然のように踏み越えた。
「……速っ」
焔の声に、昇も無言で同意する。
いや、速いなんて言葉じゃ足りない。
さっきまで“見えなかった敵”が、
今は――はっきりと見えている。
敵の踏み込み。
肩の傾き。
次に来る攻撃。
全部、読めた。
そして――
拳を叩き込む。
さっきと同じ動き。
同じ距離。
同じはずの攻撃。
だが。
――バキィン。
鈍い音と共に、
敵の装甲が砕け散った。
「……!」
一瞬、言葉を失う。
あれほど硬かった装甲。
さっきは、殴っても
“傷がつくだけ”だった場所。
それが今は――
内側まで、完全に破壊されている。
敵が、わずかに体勢を崩した。
初めてだ。
敵がこちらの一撃を受けて、
“踏みとどまれなかった”。
さっきまでとは、
完全に立場が逆だった。
⸻
敵が突っ込んでくる。
「一気に倒すぞ!」
加速。
今までとは、次元の違う速度と火力。
《警告 エネルギー消費 急上昇》
「……燃費最悪だな!」
「文句は勝ってからだ!」
⸻
懐へ。
腰部から、展開される。
「……久々だな」
ドラゴブレード。
蒼と紅の光を纏った刃を振りかぶり、
二人の声が完全に重なる。
「「クロスブレイク!!」」
刃が走る。
交差する光が敵を包み込み、
次の瞬間――
敵は、完全に切り裂かれていた。
⸻
爆音。
勝利。
だが――
《エネルギー残量 限界》
「……来たな」
光が消え、
機体が分離する。
青龍と朱雀は、同時に膝をついた。
「……一瞬で、持ってかれたな」
「だな……」
⸻
四獣AIの声が、静かに響く。
「四獣合体は、極めて高負荷です」
「現状では」
「継続使用は不可能」
それでも。
昇は、前を見た。
「……でも」
「勝てた」
焔が、頷く。
「ああ」
⸻
切り札は、示された。
だが――
代償も、はっきりと刻まれた。
戦いは、
まだ終わらない。




