37話 AIの声は一体一体違います
《警報 敵反応》
施設外縁に、複数の機械兵が姿を現した。
「数は……五」
守が状況を確認する。
「普通だな」
焔が肩を回す。
昇は四獣バングルを握った。
「行くぞ」
四獣王が同時に動き出す。
⸻
「前に出すぎです」
青龍の声が、即座に響く。
「一歩、下がってください」
「了解……?」
昇が応じた瞬間。
「出力、上げてください」
今度は朱雀。
「今のままでは削りきれません」
「いや、どっちだよ」
焔が思わず返す。
⸻
「防御を優先してください」
玄武が言う。
「その攻撃、受け止めるべきです」
「回避した方がいい」
白虎が続ける。
「次の動きが読まれています」
「……ちょっと待て!」
昇が声を上げる。
「一気に言うな!」
⸻
一瞬の迷い。
その隙に、機械兵の攻撃が重なる。
「っ……!」
守が踏ん張る。
「大丈夫です、受けられます!」
「その判断は正しいです」
玄武が即答する。
「ですが――」
「まだ言うのか!」
焔が叫んだ。
⸻
それでも、戦いは続く。
指示は正しい。
だが、タイミングが合わない。
「今、踏み込めます」
「待ってください」
「出力を上げてください」
「下げてください」
「……もう!」
昇が歯を食いしばる。
「考えさせろ!」
⸻
最終的には――
これまで通りの連携に戻った。
守が止め、
焔が削り、
昇が詰め、
剣が全体を見る。
四獣AIの声は、自然と減っていった。
最後の一体が倒れる。
爆音が消え、静けさが戻った。
⸻
「……勝ったな」
焔が息を吐く。
「はい」
守も頷く。
「ですが」
青龍が言う。
「効率は、良くありません」
「分かってるよ」
昇が即答する。
「でも、あれ全部聞いてたら」
「もっと酷くなってた」
「……学習が必要ですね」
朱雀が淡々と言う。
「そっちもな」
焔が返す。
⸻
剣が、短くまとめた。
「使える」
「だが、今はまだ噛み合っていない」
「同意します」
白虎が答える。
「調整が必要です」
⸻
昇は空を見上げた。
「便利だけど」
「楽にはならねぇな、これ」
四獣AIは、何も否定しなかった。
ただ、静かに浮いている。
次の戦いに向けて――
学習を、続けながら。




