36話 移動中も付いてくるので外出る時にはデカイぬいぐるみ持った4人組になります
研究室の中央で、四体のAIが静かに浮いていた。
青龍、白虎、朱雀、玄武。
全員、無表情。
そして、遠慮がない。
「……なあ」
昇が腕を組む。
「さっきの続きなんだけどよ」
「お前ら、結局なにが出来るんだ?」
「質問を受理しました」
青龍が即座に答える。
「我々は、四獣王の戦闘補助・解析・学習を目的としたAIです」
「戦闘補助?」
焔が首を傾げる。
「つまり、口出し役ってことか?」
「その認識で問題ありません」
「腹立つな」
焔が即答した。
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「戦闘中」
白虎が続ける。
「我々は、敵の挙動・味方の位置・四獣王の状態を同時に解析します」
「指示は、最低限に抑えます」
「判断の邪魔はしません」
剣が、少しだけ目を細める。
「……本当か?」
「剣」
白虎は即答する。
「あなたの判断精度は高い」
「我々は補助に徹します」
剣は、それ以上何も言わなかった。
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「学習は、どうするんですか?」
守が、恐る恐る聞く。
「戦闘・訓練・日常行動」
玄武が答える。
「すべてが学習対象です」
「あなたが迷った理由」
「止まった瞬間」
「踏み出せなかった時間」
「……それも?」
「はい」
守は小さく息を呑んだ。
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「焔」
朱雀が呼ぶ。
「あなたの火力は、有効です」
「だが、無駄も多い」
「今は、勢いで誤魔化しています」
「おい」
焔が眉をひそめる。
「言い方」
「改善点です」
朱雀は気にしない。
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「青空昇」
今度は青龍。
「あなたは、最も成長速度が高い」
「同時に、最も危険です」
「エネルギー管理が粗い」
「ですが、適応力は突出しています」
「……褒めてんのか?」
「事実です」
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少しの沈黙。
「で」
昇が聞く。
「最終的に、お前らは何を目指してんだ?」
四体が、同時に答えた。
「四獣王の最適化です」
「不足している性能の分析」
「無駄な構造の排除」
「必要な強化案の提示」
「完成した強化パーツの設計補助も可能です」
一瞬、空気が変わる。
「……それ、つまり」
焔が言う。
「俺たちが強くなればなるほど」
「お前らも賢くなるってことか?」
「正確です」
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「ただし」
青龍が続ける。
「我々は未完成です」
「現在の提案精度は、低い」
「誤った助言を行う可能性もあります」
「失敗の責任は、取れません」
はっきり言った。
「……最悪だな」
昇が苦笑する。
「でも」
少し間を置いて。
「嫌いじゃねぇ」
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「一緒に育つってことだろ?」
昇が言う。
「俺たちも」
「お前らも」
焔が肩をすくめる。
「文句言いながらな」
守は、少し安心したように笑う。
「……心強いです」
剣は、短くまとめた。
「使いこなせば、武器になる」
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四体のAIは、同時に浮かび上がる。
「了解しました」
「それでは」
「次の戦闘に備えます」
静かな声だった。
だが、確実に――
戦いは、次の段階へ進もうとしていた。




