33話 もっと序盤でやっとけば良かった
《警報 敵反応》
短い警告音が鳴る。
「……来たな」
昇が前を見る。
次の瞬間、施設の外縁部から機械兵が姿を現した。
これまでと同じ――
そう思ったのは、最初の一瞬だけだった。
「……でかくないか?」
昇が眉をひそめる。
装甲が厚い。
動きは鈍いが、その分、異様な存在感があった。
「行きます」
守が前に出る。
正面から受け止めた、その瞬間。
「……っ!」
足が、止まる。
「どうした?」
焔が即座に声をかける。
「今までの個体より……重いです」
守が歯を食いしばる。
焔が同じ箇所に攻撃を叩き込む。
――弾かれた。
「……硬ぇな」
焔が低く呟く。
剣が短く言う。
「装甲が違う」
「数値じゃない」
「体感で分かる」
⸻
「でも、動きは単純だ」
昇が前を見る。
「連携で行ける」
「同意」
剣の声が落ちる。
⸻
守が踏ん張り、進路を塞ぐ。
焔の火力が一点に集中する。
派手さはない。
だが、確実に削っていく。
「今だ!」
昇が踏み込む。
流れは崩れない。
装甲にひびが入り、
ついに機械兵が崩れ落ちた。
⸻
一瞬の静寂。
「……倒した?」
昇が確認する。
「反応、消失」
守が答える。
焔が息を吐いた。
「新型にしちゃ、思ったよりいけたな」
剣は、周囲を見回している。
違和感が、消えない。
⸻
《警告 管制区画 異常》
「……?」
昇が振り返る。
「管制室?」
次の瞬間、通信が割り込んだ。
『――っ、昇!』
父の声。
だが、途中でノイズに飲まれる。
『こちら管制――』
映像が切り替わった。
⸻
管制室。
白衣姿の博士たちが映る。
その背後に――
いつの間にか現れていた複数の機械兵。
「……なるほど」
一人の博士が、静かに言った。
「目的は、俺たちか」
床が開く。
光が走り、博士たちの身体が拘束される。
「昇、聞こえるか!」
だが、その声は途中で途切れた。
映像が、黒く染まる。
⸻
「……親父?」
昇の声が、わずかに震える。
「管制室、反応消失……」
守が信じられないように言う。
「誘拐……?」
焔が歯を食いしばる。
「……最初から、これが狙いか」
剣が、低く言った。
倒した機械兵。
あれは――
時間稼ぎだった。
⸻
静まり返った戦場。
勝ったはずの戦いは、
最悪の形で終わった。
守るべき者たちが、奪われた。
そして――
戦いは、次の段階へ進んだ。




