30話 傲慢かもしれないが販促アイテムを出さずには入れなかった回
思いつきで動くと余計なことになるからあかんね
施設まで、十キロ。
決して近い距離じゃない。
それでも四人の足取りに、焦りはなかった。
「……間に合うな」
焔が前を見たまま言う。
「はい」
守も息を整えながら頷く。
昇は走りながら、腕に付けた四獣バングルを一瞥した。
剣は少し後ろで、全員の距離を自然に保っている。
妙に、落ち着いていた。
⸻
「なあ」
昇が、唐突に口を開く。
「そろそろ使うぞ」
焔が横を見る。
「使うって……今か?」
「今しかねぇだろ」
昇は当然のように言った。
「転送出来るって話なんだから」
「走って行くより、呼んだ方が早い」
守が少し驚いた顔をする。
「……初めて、ですよね?」
「だからだよ」
昇はニッと笑う。
「初使用は、実戦が一番だろ」
剣が短く頷いた。
「判断は正しい」
⸻
施設が視界に入る。
昇は足を止めた。
四獣バングルを見下ろす。
脳裏に浮かぶのは、説明でも理屈でもない、たった一言。
――研究室で、父が差し出した時の声。
「出来る」
理由は聞いていない。
今も、よく分からない。
でも。
「……なら、使うだけだ」
昇は迷わず、腕を上げた。
⸻
四獣バングルを掲げる。
「来い――」
一拍。
「ドラゴンウェア」
⸻
空気が歪む。
青い光が一点に収束し、
次の瞬間、龍の形をした機体が現れた。
圧倒的な存在感。
一瞬、言葉を失う空気が流れる。
ドラゴンウェアは、昇の正面で大きく口を開いた。
次の瞬間、
昇の身体がその中へと飲み込まれる。
装甲が閉じ、
内部で機構が組み替わる。
龍の姿が、人型へと変形していく。
ドラゴンウェア、起動。
⸻
「玄武、前に出る」
守の声は落ち着いていた。
「朱雀、右を抑える」
焔が自然に続く。
「白虎、全体を見る」
剣は短く応じる。
説明は、いらなかった。
⸻
機械兵が動く。
守が前に立ち、進路を止める。
焔の火力が、守の“間”にぴたりと置かれる。
昇は、ためらわず踏み込んだ。
無理に合わせない。
遠慮もしない。
「今だ」
剣の指示は、それだけ。
攻撃が繋がる。
流れが切れない。
自然と、勝ちの形が見えてくる。
「……ああ」
昇が、思わず呟いた。
「そういうことか」
⸻
最後の機械兵が倒れ、
戦場に静けさが戻る。
四機が並ぶ。
息は上がっている。
だが、迷いはない。
「……やったな」
焔が、素直に言った。
「はい」
守も、はっきり頷く。
剣は何も言わない。
ただ、その様子を見ている。
昇は、腕の四獣バングルを上に掲げながら
「俺たちの勝利だ!!」
まだ、完璧とは言えない
それでもーー
今は、それで十分だった。
博士達が完成させたものは他に2個あるよ




