第3話 月の機械兵、思ったより普通に強いんだが
3話です
よろしくお願いします
白い通路の先に、見覚えのある影があった。
金属の体。
無機質な関節の動き。
「……いた」
間違いない。
地球で俺から逃げて、そのまま月まで来た機械兵だ。
相手も俺に気づいたらしい。
無言のまま、ゆっくりとこちらを向く。
「今度は逃がさねぇ、ぶっ壊してやる」
ドラゴンウェアの駆動音が一段階上がる。
「――解体ショーの始まりだ」
俺は地面を蹴った。
拳が機械兵の装甲に叩きつけられる。
だが、手応えは薄い。
「っ……硬っ!」
衝撃が腕に跳ね返ってくる。
(なんだこいつ、想像以上に頑丈じゃねぇか)
機械兵は反撃せず、正確な動きで距離を詰めてくる。
建物に当たらない角度。
通路を壊さない立ち位置。
(……街、守ってる?)
そう思った瞬間、脚部に強烈な衝撃。
「うおっ!」
壁に叩きつけられる。
装甲が衝撃を吸収したが、完全じゃない。
体勢を立て直そうとした、その時――
視界の隅に、見覚えのない表示が浮かび上がった。
【エネルギー残量 41%】
「……は?」
一瞬、理解できなかった。
「なにこれ?は?エネルギー? そんなのあったの?」
避ける。
防ぐ。
それだけで、数字がじわじわ下がっていく。
【エネルギー残量 34%】
「ちょ、待て待て待て!」
今まで気にしたこともなかった項目だ。
そんな重要そうな情報、聞いてない。
機械兵は相変わらず無言だ。
ただ、俺の動きを淡々と封じてくる。
致命打は打たない。
だが、逃げ道だけを潰していく。
(……これ、倒す気ないな)
【エネルギー残量 27%】
背後に回られた。
距離は一瞬で詰められる。
「くっ……!」
次の動きを読まれている。
逃げ場がない。
その時、通信が割り込んだ。
『昇、聞こえるか』
「父さん!? 今それどころじゃ――」
『エネルギー残量が減っているはずだ』
「現在進行形で減ってる!!」
一拍置いて、父さんは続けた。
『……ドラゴンウェアには、
まだ使っていない機能がある』
「は?」
機械兵が、ゆっくりと距離を詰めてくる。
『今は説明している時間がない』
父さんの声が、少しだけ強くなる。
『武装を使え』
「――はぁ!?」
俺が叫んだ瞬間、
視界の端に、さらに見慣れない表示が点灯した。
迫る機械兵。
減り続けるエネルギー。
俺は叫んだ。
「いや待て父さん、
それ先に言うやつじゃね!?」
機械兵「硬さが自慢です、命令遂行頑張ります雇ってください」




